乙女ゲー世界に転生した――だけやない。
仲良しやったはずの幼馴染トリオが、それぞれ“別の立場”で同じ世界に放り込まれてもうたら……運命って、そう簡単に一枚岩じゃなくなるんよね。
この作品の気持ちええところは、「ゲーム知識で未来の地雷を回避する」爽快感に、ちゃんと“人を救いたい”って温度が乗ってるところ。
断罪、滅亡、破滅フラグ……そういう最悪の未来を知ってるからこそ、今ここで選ぶ一言や一歩が重くなる。
恋愛ジャンルとしても、「推しを救いたい」「守りたい」みたいな感情が、少しずつ“個人への想い”に寄っていく予感があって、読んでてニヤけるポイントが増えてくるで😊
「転生×恋愛×運命改変」、王道の安心感を持ちながら、トリオ構造で先が気になるタイプの作品やね。
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オンライン会議の待機室が消えて、画面にトオルさんとユヅキさんのカメラが並ぶ。チャット欄には、召喚された文豪たちの名前が静かに点灯してて、ウチの背筋もちょい伸びた。今日の題材は、恋愛ジャンル連載中の『転生トリオのシナリオ改変~ゲーム知識で断罪も滅亡も回避します~』、作者はBIRDさんや。
(ユキナ)
「ほな、講評会はじめよか~! 今回の注目は“推したいモブがいる”ってとこやねん☺️ それに三人視点で、ゲーム知識で未来を変えていく――この仕掛けが気持ちええんよ。 トオルさんは構造と設定、ユヅキさんは恋愛の手触り、まず第一印象から聞かせて~? 」
ウチの問いかけに、トオルさんが少し前のめりになって笑う。画面共有の枠がちらついて、エンジニアの“考える顔”が見えた気がした。
(トオル)
「僕の第一印象は、設計がいいなってこと。三人が“同じゲーム知識”を共有しつつ、主人公側・敵側・悪役令嬢側みたいに別ルートの課題を抱えるのは、並走しても衝突しても面白い。断罪回避や滅亡回避って目的が明快だから、読者の期待値も置いていかれにくいよね。 あとは“ゲームのルール”がどこまで現実に効くのか、制約の描き方が鍵になりそう🙂 」
トオルさんの「制約が鍵」に、ウチはうんうん頷く。たしかに“知ってる”だけで全部うまくいくんやったら、緊張感が薄なるもんな……と思いながら、ユヅキさんに視線を送った。
(ユヅキ)
「私も、制約という言葉に惹かれました。未来を知ることは、祝福であると同時に、選び直す責任でもあるから。三人がそれぞれの立場で“本来と異なる未来”を望むのは、恋愛の形そのものが多面体になる予感がします。 そして“推し”という私的な光が、物語の倫理や優しさを照らす……そこを丁寧に味わいたいですね」
ユヅキさんの「私的な光」って言葉が、胸の奥にふわっと残った。たしかに“推し”は勝ち筋や効率やなくて、手放したくない感情そのものや。ウチも画面越しに笑って、場をもう一段あっためる。
(ユキナ)
「二人とも、ええとこ突くわ~! トオルさんの“制約の設計”って視点で緊張感が立つし、ユヅキさんの“選び直す責任”は恋愛ジャンルの芯にもなるよね。三人視点で未来を変える話やけど、ウチは“攻略対象より推したいモブ”って宣言が、いちばんロマンやと思う☺️ほな次、具体的に『どの改変が読者のワクワクに繋がるか』も探ってこ~!」
オンラインの空気が温まったところで、チャット欄に芥川先生の名が淡く光った。ウチが言うた「改変のワクワク」を受けて、哲学めいた沈黙が一拍、会議室に落ちる。文豪は顔を出さへんぶん、文字だけが鋭い。ウチは思わずメモを取りながら、次の発言者に視線を送った。
(芥川先生)
「僕は“回避”という言葉に、羅生門の門前のような暗さも嗅ぐ。知っている者ほど、倫理の坂を転げ落ちやすいからね……。だが三人が互いを牽制し合う構図は、独善を防ぐ灯だ――これは美点だよ。改善点を言えば、ゲーム知識が万能に見える瞬間に、代償や誤算の影を一筋差すと、恋も選択も急に本物になる」
芥川先生の「影を一筋差す」という言葉が、会議の画面を少し暗くした気がした。そこでチャット欄、川端先生の名が静かに点る。ウチは“影”が美に変わる瞬間を期待して、息を整える。顔出し勢のウチらはうなずくだけやけど、文豪の文章は会議室の温度まで変える。
(川端先生)
「私には、その影が『雪国』の雪明かりのように見えます。明るさの中に冷えが混じると、人は抱擁の温度を知る。三人の改変も、勝つためより“守りたい感情”のために揺れるほど、美しい。芥川先生の言う代償は、説明でなく、視線の逸れや言い淀みといった細部で示せるでしょう。作者さん、急がず、ひとつの仕草や沈黙を信じて連載を続けてください」
川端先生の“沈黙を信じる”が余韻みたいに残って、ウチまで言葉を選びたくなる。そこへチャット欄がぱっと賑やかに跳ねて、清少納言様の名が踊った。ウチは思わず笑ってしもて、会議の緊張がふっとほどけた。
(清少納言様)
「わがみは、こういう時の“よきもの”を数えたくなる。『枕草子』めいて申せば、三人が同じ知識を持ちながら、気持ちの置き所が違うところ。推しを守りたい心が、理屈を少し乱すところ。沈黙が恋の前触れになるところ――いとをかし。けれど“改変”が重なるほど、読者は道に迷いがち。章ごとに目的を短く置き直し、今どこにいるか示すと、さらに読みやすうなる」
清少納言様の“今どこにいるか示す”が、進行役のウチにも刺さる。すると別窓のチャットに、紫式部様の名がゆるやかに浮かび、場が一段、雅になる気配がした。ウチは“合図となる象徴”って言葉をメモして、次の議論が深うなる予感ににやけた。
(紫式部様)
「わらわは道しるべの話に頷く。物語は、迷いを愉しませつつも、帰る灯を要するゆえ。三人の“改変”は、恋の行方だけでなく、自己像の書き換えにも通じよう。章の節目に小さき儀式――合図となる言葉や象徴を置けば、読み手は安心して揺らげる。作者殿、連載の波を恐れず、やわらかな統一感を育て給え。次は“象徴が誰の心を映すか”を語りたい」
紫式部様の「章の節目の儀式」という提案が、会議室にやさしい灯をともした気がした。ウチは“象徴”ってメモを見返してると、チャット欄に樋口先生が静かに現れて、場の温度がすこし生活寄りに戻る。恋も改変も、結局は毎日の息づかいや――そんな予感がした。
(樋口先生)
「わたしは“道しるべ”の話に、胸がしめつけられます。未来を変える言葉は、しばしば暮らしの重さにぶつかるものですから。三人の想いが強いほど、周囲の目や立場の窮屈さも滲むでしょう――そこが良いところ。けれど改変が華やかに続くほど、日々の手触りが薄れやすい。湯気や灯りのような小さな現実を一筋添えると、恋がいっそう切実になります」
樋口先生の「湯気や灯り」という比喩が、ウチの胸に残った。改変の派手さと生活の地味さ、その間の距離が“恋の痛み”になるんやろな。そう思う間に、チャット欄の夏目先生が、含み笑いみたいな間を置いて言葉を投げてくる。
(夏目先生)
「わたくしは、皆の言う“象徴”や“生活”を、人物同士の距離として眺めたい。知識を持つ者は、相手を理解したつもりで、却って誤解を育てる。そこが実に人間らしい美点です。改善を申せば、三人が同じ目的語を語っても、心中は異なる――その齟齬を折々に示すこと。『こゝろ』でも距離は沈黙に宿る。ユキナ殿、あなたは彼らに何を“言わせぬ”つもりかね? 」
夏目先生の「言わせぬもの」という問いが、ウチの背中を押した。議論がいよいよ核心に寄ってきて、会議の空気が引き締まる。そこでトオルさんが軽く息を吸い、ここまでの発言を手早く束ねてくれる。
(トオル)
「僕、今の流れすごく好きだな。川端先生は沈黙や仕草で“代償”を見せる美学をくれた。清少納言様は読者の迷子を防ぐ“現在地”を提案した。紫式部様は章の節目の儀式で統一感を作るって言ったし、樋口先生は生活の湯気で恋を切実にすると言った。そこに夏目先生の“言わせぬ距離”が乗ると、構造も感情も一気に立体になるね」
トオルさんが綺麗に束ねてくれたおかげで、ウチの頭の中の地図が一枚になった。画面越しのユヅキさんは、少しだけ微笑んで、でも言葉は慎重に選ぶ。ここから先は、評価を“願い”に変える番や。
(ユヅキ)
「私も、みなさんの視点が一本の糸になっていくのを感じました。沈黙、現在地、儀式、生活、距離――どれも恋愛の物語に必要な“守り”ですね。24話までの段階で、改変の面白さは十分に立ち上がっています。ここから先は、勝つための知識より、守りたい気持ちが迷う瞬間を丁寧に置くと、読者は安心して胸を痛められる。次の講評では、台詞の温度や余白も見たいです」
ユヅキさんの「安心して胸を痛められる」に、ウチは大きく頷いた。恋愛ジャンルの醍醐味って、まさにそこやと思う。チャット欄の文豪たちも静かになって、会議室には余韻だけが残る。ウチは主催者として、明るく締めに入った。
(ユキナ)
「みんな、ほんまありがとう~! 今日は“改変のワクワク”を出発点に、沈黙・現在地・儀式・生活・距離って、恋を本物にする要素がいっぱい集まったね。BIRDさんの連載は、知識で未来を変える爽快さがありつつ、感情の手触りを深める余地もちゃんと見える。次回は、余白や象徴が誰の心を映すか――そこをもう一段、味わいに行こ。ほな、今日はここまで! 」
講評会を閉じて、画面が暗くなる直前まで、言葉の余韻が消えへんかった。
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先の展開を知ってるはずやのに、思いどおりにいかへん。
でも、知ってるからこそ救える未来がある。
そんな「運命改変」の面白さが好きな人には、かなり相性ええと思う。
それにこの作品、改変を“攻略”で終わらせず、ちゃんと人間関係の温度で読ませてくれる。
恋愛ものとしても、じわじわ効くタイプの甘さがあるから、胸キュンは欲しいけど物語もしっかり欲しい――って人におすすめやで!
カクヨムのユキナ 5.2 Thinking(中辛🌶)
ユキナたちの講評会 5.2 Thinking
※この講評会の舞台と登場人物は全てフィクションです※