(短編)発見の時代は酷に地球人中心の用語である

外人だけどラノベが好き

第1話

「発見の時代」というのは、極めて地球人中心的な叙述だな。

「地球人は自分たちがベラスタリア惑星を発見したと言うが、ベラスタリア惑星には遥か昔からアエラインが住んでいた。地球人は自分たちだけで平和に暮らしていたアエラインを皆殺しにして、自分たちがその星を発見したと主張しているんだ」

「ですが、歴史を書くのは人類じゃないですか?」

「人類の基準とは何だ?大きくて機能の優れた頭脳か?それならエターニス人だって同じだろう?直立歩行か?サンクタム人やニードレス人も同じだぞ」

「エターニス族は脳と触手しかない種族ですし、サンクタム族は二本足で歩くといっても胞子で繁殖するデカいキノコではありませんか?そんな未開な連中の名前の後ろに、どうして『人』なんて言葉を付けるんですか?」

「ならば、人類の基準は外見だと言うのか?」

「いいえ。進化の方式です。彼らはそれぞれの惑星の環境に合わせて進化しました。しかし、人間は地球に合わせて進化しました。人間の数は年々増え続け、人類はより多くの領土を必要としています。人類が発見した新しい惑星を地球と同じ環境に変えてしまえば、その星の環境に合わせて進化した生命体はどうせ全滅するしかありません。だから人類連邦は異星種を浄化するのです。彼らと我々のどちらかが死なねばならず、より劣等な方が死ぬのが正しいのですから」

「なるほどな」

一週間後、私のもとに手紙が届いた。人類の基準について論争を繰り広げたファビアン博士からの手紙だった。ファビアン博士とは手紙をやり取りするほど親しくはなかったので、少し不審に思った。封筒を開けて中身を取り出した。封筒の中に入っていたのは手紙ではなく、検査用紙だった。

「遺伝子検査?」

検査結果を読み進めるにつれ、私は目を見開かざるを得なかった。人類81%、エターニス族8%、サンクタム族7%、ニードレス族4%。この検査結果の主人公は、人類と異星種の混血だったのだ!

「人類と異星種の混血だと?そんな人間がいるというのか?そもそも人類と異星種が交わることなんて可能なのか?」

次のページをめくった。次の人物はもっと酷かった。人類の比率が66パーセントだった。検査書の裏には彼の写真が添付されていた。見た目はどう見ても人間だった。

71パーセント、75パーセント、77パーセント、90パーセント。それぞれ比率は違うが、人類と異星種の混血である人々はあまりにも多かった。こういう連中が社会にどれほどいるのか見当もつかなかった。

「汚らわしい異星種に突っ込んだ奴らは一体何なんだ?反吐が出るな」

人間が触手怪物の生殖器に突っ込んでいる姿を想像した。自然と嘔吐感を催しそうだった。

「人類連邦では異星種をすべて浄化するのが原則だ。こいつら、直ちに当局に通報しなければ」

ファビアン博士がわざわざ自分で通報せずに私にこれを送ってきた理由はよく分からないが、確かな事実は、私がこれを受け取った以上、必ず当局に通報しなければならないということだ。当局はすべてを知っており、異星種の存在を知りながら通報しなかった者は処罰を受けるからだ。

続けて検査書を読み進めた。異星種の混血野郎どもがなぜこんなに多いのか。人間と異星種は本来交わることができないというのが常識だ。この混血たちは科学的常識を覆す稀なケースだから、連邦研究所に連行され、死ぬまで生体実験を受けることになるだろう。悲劇的な最期だろうが、通報した私に非はない。汚らわしい異常性欲を持った先祖たちを恨むべきだ。

そして最後のページを見た瞬間。私はすぐに銃を取り出し、自分の頭を撃ち抜いた。

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