第27話 めげないで!シズクちゃん!

ナガレの武器を調達したあたし達は、北地区の門との境に来ていた。


北地区は学園に通う貴族子息もいるため、他の地区とは違い、入る際は、街に入る時と同様に身分の証明が必要らしい。


特に冒険者は目的を明確に提示しなければ入れないようだ。


「冒険者か、ギルドカードと目的を明確に述べよ」


「北地区ギルドでダンジョンの依頼を受けながら仲間のランク上げをするつもりだ」


門番はあたしとナガレのカードを見比べ納得したようだ。


「確かに獣人の彼女はEランク。ここのダンジョンならランク上げにはうってつけだな。よし通っていいぞ」


何事もなく無事に通過できた。


ここのギルドは、門から直ぐのところにあった。


おそらく冒険者と学生のいざこざを無くすためだろ。


ギルドに入ってみると、時間帯もあって冒険者は居なかった。


「北地区の冒険者ギルドへようこそ。ご用件をお伺いします」


メガネをかけた美人の受付嬢は笑顔で応対してくれた。


······もうなにも言うまい。


「仲間のランク上げに丁度いいダンジョンでの依頼はないか?」


「常時募集の依頼がございます。主に薬草の採取とランクEからDの魔物の討伐となっております」


「ランク上げの目安とかは?」


受付嬢の話を簡単にまとめると。


同ランクの依頼を受ける場合は10回達成でランクアップでき、上のランクだと5回達成で上がるらしい。


主に出てくるのは、Eランクだとスライム、ゴブリン、ウルフ


Dランクがオークとなっている。


「お2人は一緒に行かれますか?」


「そのつもりだ」


「その場合ですと、ランクが離れ過ぎていますので、こちらから職員を1人同行することになります。ランクの差が1つなら問題ないのですが、3つも離れていますと····」


受付嬢は申し訳なさそうにしていた。


まだ人間社会になれていない、ナガレとシズだけだと、いざって時に心配だからな。


ナガレ達との別行動は論外だ。


同行者を承諾して、次の話に進んだ。


「ダンジョンは初めてなんだが、ルールや注意することはあったりするか?」


受付嬢は簡単に説明をしてくれた。


 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


ルール


一つ、既に戦っている冒険者の魔物の横取りは禁止。


ただし助けを求められれば介入してよし。


一つ、アイテムの所有権は最初に発見したパーティーにある。


注意


無闇に他のパーティーとの接触をしないこと。


 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


外の魔物との違いも教えてくれた。


どうやら、ダンジョン内の魔物は倒すと、黒い霧になって消滅し、倒した魔物に関するアイテムをドロップするらしい。


「あとここには記載されていませんが、最下層にあるダンジョンコアには触らないようにお願いします。もし何かの弾みで壊れてしまったら、ダンジョンが消滅してしまいます。東と西のダンジョンも同様ですので、注意して下さい。この学園都市はダンジョンで成り立っていますので」


説明も終わり、同行する職員の元Cランク冒険者の女性を紹介してもらい、ダンジョンへ行く事になった。


 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ギルド職員Side


私は北地区冒険者ギルドの職員をしている人族のカンナです。


今回、東地区冒険者ギルドで登録をした、Eランク冒険者のナガレという獣人の女性がランク上げでダンジョンに入るため、同行することになりました。


なぜ、わざわざこんなことをしているかというと、学園に通っている貴族の方が、強い冒険者をつれて代わりに依頼をさせ、ランクを上げる行いをした前例がありそれ以降、防止のために行うようになりました。


この方達が不正をするとは到底思いませんが、念のためにと同行しました。


今、私たちはダンジョンの入り口で自己紹介をするところです。


「はじめまして、今回あなた方と同行する北地区冒険者ギルドの職員のカンナと言います。よろしくお願いします。」


「あたしは忍だ。で、この子が従魔のアカツキだ」


「くぅーん」


カワイイですね。


確か登録証によるとBランク魔物のブラッディーベアーでしたか、子供とはいえ、よく従魔にできましたね、羨ましいです。


何を隠そう私も、もふもふが大好きなのです。


「我はナガレだ。我のこ····従魔のシズクだ」


「キャンキャン」


我のこ?何を言いかけたのでしょう?


今はそれより、こちらの子もカワイイです。


ダークウルフ、同じくBランクですね。


どのように従魔にしたのかが気になりますが、今は仕事中なので諦めましょう。


「では、参りましょうか、今回はどのようにして行く予定なのですか?」


歩きながら、リーダーであるシノブさんに聞いてみた。


「そうだな?····ナガレどうする?そのままオークがいる所まで行くか?それともEランクの奴らで慣らしてからにするか?」


どうやらナガレさんは不慣れのようですね。


「武器を慣らしたい、それにシズクにも経験を積ませる」


「てなわけでよろしく」


「わかりました。では、2層に参りましょう。そこならゴブリンとウルフがいい具合に出現しますので」


皆さんの承諾をもらい、2層を目指しました。


1層の草原エリアは無視して行こうとしましたが、丁度スライムが出てきましたので、提案してみました。


「スライムが出ましたがどうしますか?シズクちゃんに経験を積ませるなら丁度いいと思いますよ」


「ふむ、シズク殺ってみろ」


「キャン」


シズクちゃんは彼女の腕から華麗に飛び降り、臨戦態勢になって、スライムへ向かっていきました。


それにしても、あんな指示で意志疎通ができているのでしょうか?


シズクちゃんはそのまま、体当たりをしてスライムを吹き飛ばし、止めに爪で核を切り裂き倒すことができましたが、戻ってきたシズクちゃんに、ナガレさんは『バカものが』と頭を小突きました。


「いくらスライムとはいえ、バカ正直に正面から行く奴がいるか!」


「くぅぅぅん」


ああ!耳としっぽが垂れ下がっちゃってます。


可哀想ですが同感でした、それにしてもナガレさんは、厳しい方なんですね。


逆に後ろで見ていたシノブさんは、『オロオロ』と心配そうにしていました。


シノブさんは、見た目とのギャップがすごいですね、彼女には私と同じ波動を感じます。


「では、気を取り直して2層に向かいましょう」


シズクちゃんも、めげないで頑張って下さい。


私達は2層を目指すことにしました。

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