針釘崎光流の行動
桃月兎
第1話 皇帝ペンギンと北極熊について
小学校の教室内、社会科の授業中。
「それじゃあ世界の地理にちなんだ問題を出すよ。
皇帝ペンギンの雛ペンギンは体重が800キロもある北極熊にも負けない、これはなんでなのか分かるかな?」
教師の問い掛けに対して、一人の男子生徒(針釘崎光流)が挙手し、指名されたので、立ち上がり答え始めた。
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南極、そこは皇帝ペンギンの楽園。だが、皇帝が皇帝たるにはキチンとした理由があるのだ。
皇帝ペンギンである父ペンギンは、卵から雛が孵るとスグに、雛ペンギンを南極千尋の谷と呼ばれる崖に連れて行き、谷底へ突き落とす。
雛ペンギンは即座に世の中の非情さと無条理を理解する。理解できなかった雛ペンギンは残念ながら脱落、そのまま短い生涯を終える事となる。食物連鎖の餌食となるのだ。
自身の置かれた状況を理解した雛ペンギンは懸命に立ち上がり、崖の上を目指す。
一方の父ペンギンはコタツに入って熱燗を一杯やっている。
酒のツマミにスルメを用意して。
「今年の蜜柑は甘いなー。100年に一度の出来栄えだ」
等と宣っている。
話を戻して、崖下の雛ペンギンは懸命に崖の上のを目指す。
ところがどっこい、そうは問屋が卸さない。
余談ですが、南極の問屋はシロップをメインに扱っています。噂では一番人気はブルーハワイらしいです。
閑話休題、崖の上を目指す雛ペンギンですが、そう簡単には行かないのです。南極トウゾクカモメがいるからです。危うし、皇帝ペンギンの雛。此処で命を落とす雛ペンギンも居ますが、南極トウゾクカモメを返り討ちにして、その血肉を喰らい、鴎南蛮を美味しく頂き、成長するのが雛ペンギンです。
南極トウゾクカモメを撃退した雛ペンギンに襲いかかるのが南極クロコダイル。この戦いで命を落とす雛ペンギンも多数居ます。南極クロコダイルを撃破した雛ペンギンは鰐の刺身を酢醤油で堪能し、崖の上を目指します。
その後も、南極コンドル、南極タスマニアンタイガー、南極ライオン、南極虎、南極ハイエナ、南極アナコンダ、南極駝鳥、等等、様々な猛獣が雛ペンギンを襲います。
雛ペンギンは倒した敵を捕食し、ドンドン強くなりつつ、崖の途中の温泉で傷を癒します。
雛ペンギンは
「フー、駝鳥の温泉玉子は最高だペン」
と感想を言い終えると、再度、崖の上へと向かいます。
危険な猛獣以外にも、雛ペンギンの行く手を阻むものがあります。
低酸素ゾーン、高重力ゾーン、有毒ガスゾーン、マキビシゾーン、マグマ地帯、電流床、高速回転床、竜巻地帯、サイクロン、台風、ハリケーン、モンスーン、タイフーン、嵐、灼熱地帯、乾燥地帯、底無し毒沼、トリモチ地帯、落雷地帯、豪雨、豪雪、冷気、ブリザード、アイスバーン、ダイヤモンドダスト、アイスバーン、絶対零度、吹雪、雪嵐、氷柱、オーロラ、クレバス、流氷、等等、様々な過酷な環境が雛ペンギンを待ち構えています。
そうして、どうにかして全ての障害を乗り越えて、崖の上に到達した雛ペンギン。
だが、雛ペンギンの前に最大の宿敵が待ち受けている。
そう、父ペンギンが仁王立ちで待っているのだ。
この父ペンギンもかつては、崖底から這い上がって生き延びてきた猛者なのだから。
雛ペンギンと父ペンギンは戦い合い、雛ペンギンは更なる強さを手に入れる。
即ち、南極最強となった皇帝ペンギンに対して、北極で生活する北極熊は手出しが出来ないのである。
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「結論を言いますと、居住区域が違うので、皇帝ペンギンと北極熊は出会わないので、勝負が成立しません」
「針釘崎、正解だ。それはそれとして、やり過ぎだ、廊下に立ってなさい」
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