「カクヨムくんコンクール発表会:熱狂と困惑、そして『チャージマン研!』」

志乃原七海

第1話:新人作家コンクール、伝説の発表会!



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## エピソード:新人作家コンクール、伝説の発表会!


それは、若き才能の発掘を目指して開催された、年に一度の新人漫画コンクール「フレッシュマン・グランプリ」の最終選考作品発表会だった。会場には、出版社の編集者、ベテラン漫画家である審査員たち、そして、固唾を飲んで結果を待つ応募者たちが集まっていた。


司会を務めるのは、編集長であるベテランの木村。彼は緊張感と期待に満ちた顔で、手元の発表リストを手にマイクの前に立った。


「えー、それでは皆さま!大変お待たせいたしました!最終選考に残った、珠玉の作品群を発表いたします!」


会場の照明が少し落とされ、期待の拍手が響き渡る。


「まずは、最初の作品です!『**サーキットの狼**』!!」


「うおおおおおっ!!」「来たーっ!」「まさか新作で!?」会場からは、早くも熱狂的な歓声が上がる。往年の名作のタイトルに、多くの者が興奮を隠せない。


「続いての作品は!『**グランプリの鷹**』!!」


「わあああああ!!」「これまた懐かしい!」「王道を行くのか!?」再び歓声が上がる。モータースポーツ漫画の金字塔が続く。


「そして!『**チャンピオン鷹**』!!」


「うおおおっ!!」「鷹シリーズ来るぞ!」「熱い展開間違いなし!」会場のボルテージは最高潮だ。


「さらに!『**ふたり鷹**』!!」


「っっっはぁぁぁ!」「まさかの続編!?」「期待しかない!」歓声はやや懐かしさやニヤつきを帯び始めるが、勢いは衰えない。


そして、司会の木村編集長は、にやりと笑って次のタイトルを読み上げた。


「次は!『**モデナの剣**』!!」


「おおっ!」「出た!」「スーパーカーと剣の融合か!?」このあたりから、会場の歓声には、なぜか懐かしさとともに、**ほんのわずかなスローダウンと、妙なざわつき**が混じり始める。まるで、かつて名車が走った栄光の時代を思い出すかのように。


「………そして、次の作品は…」


木村編集長の読み上げも、なんとなくテンポが落ちていく。


「『**六三四の剣**』!!」


「……………お、おう…」

「えーと、剣士モノか…?」

歓声は途切れ、拍手もまばらになった。場には、微妙な空気が漂い始める。「剣」の連想が、名作から遠のき始めていることに、皆が気づき始めたのだ。


「続いては…『**ゴッドハンド輝**』!!」


「…………」

「あー…あれね…」

「今度は医療モノか…?」

もはや歓声は皆無。誰もが顔を見合わせ、首を傾げている。作品そのものの評価というよりは、このリストアップの意図を測りかねているのだ。空気は完全に停滞し、スローダウンはピークに達していた。


そして、ついに木村編集長は、最後の発表へと移った。彼は、手元のリストを凝視し、小さくため息をつくと、意を決したようにマイクに語りかけた。


「さて、最後となりますが…今回のコンクールでは、審査員の独断と偏見により、特別賞が設けられました…」


ざわめく会場。特別賞とは何だ?

木村編集長は、やや震える声で、その特別賞の作品名を読み上げた。


「……特別賞作品は……『**チャージマン研!**』!!」


**「…………は?」**


会場は、一瞬の静寂の後、どよめきに包まれた。

「チャージマン研だと!?」

「いや、あれは…」

「まさか、新作でやる気か!?」

「しかも、なぜ特別賞…!?」


応募者たちは困惑し、審査員たちも顔を見合わせている。

「い、いや!私じゃない!私は入れてないぞ!」

「私もだ!誰だ!誰が票を入れたんだ!?」


木村編集長は、苦虫を噛み潰したような顔で、その犯人を暴くべく、声の主を探した。そして、会場の隅で、ニヤニヤと笑いながら手を上げている、**一番偉そうなベテラン漫画家審査員**が一人。


「あ、すみません。私です。なんか、**一周回って新しい**かなと…一票入れちゃいましたテヘペロ」


審査員たちの怒号と、応募者たちの呆れと、木村編集長の頭を抱える音が混じり合い、発表会場は、もはやカオスと化していた。


一体、この新人コンクールは、どこへ向かおうとしているのか。

新人作家たちの前途は、まるで『チャージマン研!』の物語のように、予測不能な展開を予感させるのだった。


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**このエピソードのポイント:**


* **初期の盛り上がり:** 往年の名作タイトル(サーキットの狼、グランプリの鷹、チャンピオン鷹、ふたり鷹)で一気に会場のボルテージを上げる。

* **徐々にズレていく選定:** 「モデナの剣」あたりから「あれ?」という空気になり、「ムサシの剣」「ゴッドハンド輝」で完全にスローダウン。選定基準の謎が深まる。

* **オチの爆発力:** まさかの「チャージマン研!」というカルト作品が特別賞として登場。この不意打ちが最高の笑いを誘う。

* **「誰だよ、入れたの(笑)」の再現:** 犯人が判明し、その理由が「一周回って新しい」という、いかにもな理由である点。

* **審査員と司会の反応:** 審査員たちの怒号と司会の困惑が、カオスな状況をさらに際立たせる。


これは、漫画好きにはたまらない、非常にニッチで面白いエピソードになりましたね!

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「カクヨムくんコンクール発表会:熱狂と困惑、そして『チャージマン研!』」 志乃原七海 @09093495732p

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