恋の行方 ◇悠太◇
クラスで人気者の
彼女とは、たまたま席が隣になったことで、話す機会が増え、同じアニメが好きだということが分り、更に話すようになった。
そして、話しているうちに俺は
でも、恋愛経験ゼロの俺にはどうすればいいか分からず、幼馴染の
『好きな人が出来たから、相談乗ってくれない?』
『いいよ』
それから、
そして、一ヶ月が過ぎたある日、告白しようと心を決めた。
「
「私で良ければ」
高校二年の冬、俺の恋が実った。
その夜、すぐに
『無事に付き合えた!ありがとう!』
「
「ごめん、
次の日も、そのまた次の日も、急いでいるからと言って俺を避けていくようになった。
「み…」
どうせ話そうとしても避けられるからと、廊下ですれ違っても話しかけることはなくなった。最初は少し寂しいと思ったけど、慣れって怖い。
時の流れは早く、卒業式を迎えていた。
「ゆう、写真撮ろ」
「いいよ」
「はい、チーズ」
撮ったばかりのツーショットを眺めながら笑顔を浮かべている
そんなことを思っているとスマホの通知がなった。
『ちょっと時間ある?体育倉庫裏で待ってる』
何か話したいことでもあるのだろうか?
そんなことを思いながら、体育倉庫裏へと向かう。
「卒業おめでとう!」
「ありがとう!
「ふふ。うん。ありがとう」
久々に話したけど、変わってなくて安心した。
「話って何?」
「…
「小さい頃にした約束?…なんだっけ?」
幼い頃の記憶から約束事を探すが、これといった約束事は思い出せない。
「何?何か大事なことだった?」
少し焦りながら言う。けど
「ううん。全然。」
「そっか。驚かすなよ~」
「ごめんごめん」
「ゆう~?」
直後、俺を呼ぶ声がした。声の主は
そういえば、卒業式終わったらゲーセン行くって約束してたっけ。
「あ、ごめん。もう行くわ」
「うん。あ、彼女と幸せになってね!」
予想外の言葉が飛んできたて、少し驚く。
そうだよな。あれだけアドバイス貰ったんだから、
心の中で覚悟を決めて、満面の笑みで返す。
「おう!またな!」
それから、
「お帰り。あんたまたデート?いいわね〜若いって」
「別にいいじゃん」
「それより
「え…知らない」
「えー!知らないの?
そういえば、
保育園から高校一年までずっと一緒にいたから、今まで
『そういえば、進路どうしたの?』
いつもはすぐに返信がくるのに、この時は返信が来なかった。
夜が明けて返ってきたのは人さし指を立てて、しーっとしている女の子のスタンプだった。
秘密ということだろう。納得はいかなかったが、とりあえず朝食を食べようと思い、リビングに行った。
「おはよ」
「おはよう。ねぇ、
「え、まじ?」
「そう。もう会うことが少なくなっちゃうからって少しいいお菓子くれたのよ!私はそんなのいいって……ちょっとあんたどこ行くの?」
「
気付いた時には足が動いていた。
そんなことを、考えているうちに
「あれ、悠太くん。こんな早くにどうしたの?」
「
「ええ。」
「
「……始発の電車で行ったからもういないのよ」
「そんな…じゃあ、何か聞いてませんか?」
「実は、あの子から二つ頼まれたのよ。一つは、
「そんな…じゃああと一つは何頼まれたんですか?」
「これ」
そう言って、一つの封筒を差し出した。
「もし、
「理由なくそんなことする子じゃないから、何からしら理由はあると思うんだけど、話してくれなくてね。」
少し悲しそうな表情を浮かべながら言う
「早くにすみません。ありがとうございます」
「気にしないで。何も話せなくてごめんね」
もうちょっと
自分の部屋でグルグル考えていると幸来おばさんから渡してもらった封筒が目に入った。
封筒を開けて中を見ると手紙が入っていた。
「っ!……」
手紙は所々滲んでいた。
美幸ごめん。ずっと美幸の優しさに甘えてた。俺が鈍いせいでずっと辛い思いをさせてしまった。必ず幸せになるから。
ごめん。ありがとう――
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