時空乃香菜梅

つばき

【第七話】反対側の世界ともう一つの世界

彼の声は消えた。私は再び目を開けた。

「どうしましたか?」 ライナが言った。

「彼の声が聞こえたの。」

「それは本当ですか。聞こえるということは奇跡が起きたのですよ。あなたが起こしたのです。」私は言った。

「本当です。ちゃんと聞こえたの。それって、私の力なんですか?」

「そうです。ではもう一度呼びかけてください。彼があなたを迎えに来てくれます。」

「でもそんな力、浩雪君にはないわ。」

「彼には力があります。」同級生たちは言った。

「香奈ちゃんの幼なじみに力があるってどういうこと?」ライナは言った。

「そうです。彼女を助けたことにより彼は愛の力を持っています。ただ時空の世界にいる彼しか使えないのです。」私は言った。

「愛の力が浩雪君に…。」ライナは言った。

「はい。彼ならあなたをきっと返してくれます。この時空の世界から。たとえ彼が過去の時空の少年でもね。助けられる時間もありますが問題ありません。」私は言った。

「フラワーありがとう。私、信じるわ。彼を。そして帰る道を彼と作ります。不安で不安で仕方なかったの。もう帰れないのと思うと怖くてたまらなかった!」

ライナは言った。

「よく言えましたね。ではお別れです。さあ行きなさい。帰るための世界に。彼は来ています。反対側の世界に。」私のろに鏡が現れた。

「香奈梅…。」

私は涙を流しながら言った。

「浩雪君…会いたかった…。」鏡が光った。声は答えた。

「俺も君と同じだ、香奈梅。」ライナは言った。

「最後の通しです。道を作るから目を閉じてください。はっきり彼の声が聞こえます。耳を澄ませ聞いて下さい。後ろの透し鏡に届くように言うのです。」

「はい。」

私は目を閉じ語り始めた。

「浩雪君。聞こえる? …私の声。」彼は言った。

「ああ聞こえるよ。君の声が…。」香奈梅は言った。

「私も聞こえる。けれどあなたの声しか聞こえない。」彼は言った。

「俺は声だけではなく君の姿も見える。」香奈梅は言った。

「私には見えない。浩雪君、どこにいるの?」彼は答えた。

「君の後ろだよ。目を開けて後ろを見てごらん。」

私は聞こえる彼の声をたどりつつ目を開け、後ろを振り返ってみた。

その瞬間、透視の鏡が光った。その鏡の中に彼が映し出されていた。

「浩雪君…。」彼は言った。

「やっと見えた…君の姿が。」香奈梅は尋ねた。

「どうして?」彼は言った。

「君を探すため、僕は敵の時空をさまよいっていたんだ。もちろん、友だちも君を探していたよ。僕は友だちと合流して君を再び探していたら君の声が聞こえたから、声をたどりつつ仲間と歩いていたらここにたどり着いた。」彼女は笑って言った。

「浩雪君…ありがとう。今はちゃんと見えるよ。」僕の顔から涙がこぼれ落ちた。

「よかった…。」

香奈梅は涙を流しながら言った。

「でも怖かった! 飛ばされたとき、もう会えないんじゃないかって思うと。」

私が鏡に手を伸ばした瞬間、鏡が強い光を放った。それは太陽の光のように輝いていた。

「鏡が光ってる…香奈梅!」

浩雪君の声が鏡に響き渡った。

今、彼の声が聞こえる。

「目の前に見えるわ、姿が。浩雪君。」手を伸ばしながら叫んだ。

彼は言った。

「香奈梅、一緒に帰ろう。」

「うん」

彼は手を伸ばした。鏡が光った…。

「あれは光の鏡。彼の力が鏡に宿って現れたのね。」ライナは言った。

「はい。」

香奈梅は言った。

「みんな、ありがとう。」ライナは言った。

「礼を言うのは早いですよ。私もあなたについて行きます。私はあなたが友だちとともに産みだした力です。今後もあなたの力となり、ついて行きます。」主は言った。

「フラワーありがとう。今後もよろしく。」ライナは言った。

「…さあ主よ。参ろう、彼のいる世界に。」

「はい。みんなありがとう。さよなら。」彼女たちは言った。

「香奈ちゃん、気をつけてね。」

私は笑顔で頷いて鏡の前にライナと立った。

ライナは言った。

「香奈梅さん。私は今からあなたと融合し力となります。体内に入らせていただきます。そしてあなたに防壁のバリアを張りたいと思いますので許可をお願いしてもいいですか。」

「いいわ。許可します。」

「ではさせていただきます。その間あなたは手を伸ばし彼の手をつかんでください。そうすれば通り抜けることができます。私が体内に入り結界を張りサポートします。」

「了解。では行きます。」

ライナが頷いた次の瞬間、鏡の中から声がした。闇の声が。

「ふふふ、行かせないわ。」

私たちは言った。鏡を見つめながら。

「この声は…あの声は彼と私を引き離した願い主の声だ。」ライナは言った。

「主、答えてはいけません。私の声だけに答えてください。」私は言った。

「わかった。」

ライナは私の中に入った。ライナは体内から語りかけた。

「主よ。光り輝く鏡の向こう側に手を伸ばし、彼の手をつかんでください。」

私が鏡に手を当てた次の瞬間、鏡が光り私はすり抜けた。そして私は彼の手をつかんだ。すり抜けた瞬間、精霊の言葉を信じ、糸をつかんだ。糸をつかみ向こう側に手を伸ばしたその瞬間、私は糸を通り抜けた。手を伸ばしながら…。


【向こう側の世界】

俺には香奈梅が通り抜ける瞬間が見えた。

「香奈梅の姿が見える。香奈梅、僕の手をつかんでくれ。香奈梅!」俺は鏡の向こう側に手を伸ばした。


【反対側の空間】

「浩雪君…今行く。浩雪君。」

私は彼の名前を呼び、手を伸ばしながら鏡の中を走り続けた。

そして、私たちは互いの手を取ることができ、再びあの時代と同じ形で出会おうとした。その瞬間、鏡が闇の鏡に変化した。

「香奈梅。俺の手を離すな。」香奈梅は言った。

「うん。また会えるね。」俺は言った。

「ああ、この手を離すな。」香奈梅は言った。

「わかっている。でもこれは何?」彼は闇を見て言った。

「わからない。でも必ずお前を助ける。だから姿が見えるまで手を離すなよ、香奈梅。」私は頷いた。

「…うん。」

彼の姿が光とともに見えた。

「見えたわ。来てくれてありがとう。」彼は言った。

「ああ。だけど油断はするな。来るぞ。」

私は頷いた。次の瞬間 願い主は姿を現し言った。

「行かせない…。」

願い主は闇を解き放った。その瞬間、鏡の中の時空間が揺れた。

「大丈夫か、香奈梅。」私は言った。

「うん。何が起こってるの?」

彼は言った

「奴が香奈梅をまた時空に飛ばそうとしてるんだ。そんなことをしたら香奈梅が二度と戻れなくなるんだよ。俺はそんなこと、絶対にさせない。」私は言った。

「そんな…私は嫌よ。過去は過去よ。未来は未来よ。」彼は言った。

「そうだな。俺はあの時、お前が来た瞬間、やつが現れて言ったんだよ。お前を思い通りにすると。」私は泣きながら言った。

「そんなことさせない。願い主、私はこの世界では生きないわ。あなたの思い通りにはならない。お願い、私たちの邪魔をしないで。」願い主は言った。

「お前は私の物よ。行かせてたまるものですか。闇の鏡よ、彼女を攻撃しなさい。」鏡の闇は私を包み込んだ。光の映し鏡が闇に染まった。

「ううっ、苦しい。息ができない。助けて、浩雪君!」私は彼の手を握りながら意識を失いかけた。

「香奈梅、死ぬな。俺のために生きてくれ。ここでお前が死ぬのは見たくない。諦めないでくれ。香奈梅!」俺は叫びながら香奈梅を片手で抱きしめた。彼女の手を握りながら…。

その瞬間、うっすらと消えかけた闇に覆われた香奈梅の姿が見えた。俺の胸の中にいる香奈梅の姿が。

「見える。香奈梅がうっすらと。香奈梅!」

俺はもう片方の手で抱きしめていた手を離し、香奈梅のもう片方の手をつかんだ。そして、香奈梅を俺の方へ引き寄せることに成功した。

俺はぼろぼろな香奈梅を抱きかかえた。

「浩雪君…。」

香奈梅の意識が戻った。願い主は驚いた。

「なぜだ。だがまだ手はある。この世界から消えてしまいなさい!」しかし、その言葉には耳を傾けなかった。僕たちは。

「…うん。私、生きてる。ちゃんとあなたの元にたどり着いてる。」俺は抱きしめながら言った。

「ああ。ちゃんといるよ。香奈梅は俺の腕の中に。」

少女の瞳から涙がこぼれ落ちた。彼女はうれしそうに泣いていた。

「よかった…。」

私は彼の頬に手を伸ばし、触れた。

「香奈梅…。」

少女は言った。

「やっと浩雪君の顔に触れることができた。空から落ちた時以来…うれしい。」俺は少女に触れて言った。

「香奈梅…俺もだ。おかえり。」光が僕らを照らした。

「まぶしい…怖いわ、闇が…。」

夕日が僕らを照らしながら、そして太陽が消え闇になった瞬間、香奈梅は目を閉じた。

「香奈梅。どうしたんだ。まさか…。」

私は視野が少し狭くなった…敵の力を浴びて…。

俺はライトで少し香奈梅を照らした。

「何があった?」彼女は言った。

「私、敵の力を受けて目の視力を失ったみたい。」俺は言った。

「香奈梅…俺の姿は見えるか?」少女は笑って言った。

「…見えるよ。」彼は言った。

「…よかった。」

私は彼に抱きしめられた。

「浩雪君…ありがとう。でも大丈夫。私、人は見えるから。死なないよ。だから…。」彼は私を抱きしめながら言った。

「そういう問題じゃない。香奈梅は次にあいつの力を浴びたらこの世界から消えるんだ。」香奈梅は涙を流しながら言った。

「じゃあ私、死んでしまうってことでしょう。そんなの嫌よ。」

俺は香奈梅の手を握りしめた。言葉が出ず、ただ彼女の名前を言うしかなかったからだ。

「香奈梅…。」

香奈梅は俺に言った。

「もう終わったのね。死なないなんて嘘よね。ずっと帰れるって思った…でももう無理。私の人生ももう…。」黒い涙が溢れ落ちた瞬間、闇の泉に変化した。

「諦めちゃだめだ。香奈梅! 香奈梅…。」私は彼に願いの口づけをされた。

「浩雪君…。」彼は言った。「簡単に諦めるな!香奈梅。俺が守ってやるって言ったろ。それに必ずお前を戻すと約束したろ。そんなことも忘れたのか。香奈梅!」彼女は言った。

「浩雪君…ごめん。私忘れかけてた。あなたの言葉を信じるわ。ごめんね。」彼は言った。

「…香奈梅。前に言ったろ。俺は君を帰すまでこの世界だけの何だ?」香奈梅は言った。

「私の恋人でしょ。」

彼は笑って言った。

「正解だ。いいか香奈梅。ここで自ら消えてしまったらあいつの思い通りになってしまう。それだけはするな。」香奈梅は言った。

「ありがとう、浩雪君。たとえ未来が違っても私たち友だちよね。」彼は答えた。

「ああ。俺たちは友だちだ。その未来になるには君を帰す。元の世界に。」彼女は言った。

「…私、浩雪君、大紀君、昌紀君を信じて前に進むわ。ここで諦めるわけにはいかない。」彼は言った。

「俺もだ。お前を帰すまで一緒に歩む。だからそれまで諦めないで前に進む。」香奈梅は笑って言った

「私たち似たもの同士だね。それに考えも同じ。」彼は笑って言った。

「そうだな。香奈梅、行こう。この先に俺の友だちがいる。俺の友だちが道を探してくれてる。そこまで一緒に行くように大紀に頼まれてるんだ。」私は彼に尋ねた。

「でもその後はどうするの。もし、道の糸が見つかったら。浩雪君はどうなるの?」彼は答えた。

「その世界まで君を連れて行く。そこでお別れだ。」香奈梅は言った。

「そんなの嫌よ。浩雪君がいなきゃ私帰れない。」私はしゃがみ込み、泣き崩れた。

「香奈梅…。」

僕は彼女を抱きしめた…。

「浩雪君…。」彼は言った。

「僕の話を聞いてくれ。今から君に伝えるから。もし飛ばされたときのことを。」私は言った。

「わかった。」

彼は私に指示を伝えてくれた。

「ありがとう。一つ目は俺のことを忘れないこと。二つ目は成人式に出ること。そして、ブロックごとに分れてるから中学校名を探し、俺を見つけるんだ。」私は尋ねた。

「見つけたらどうすればいい?」彼は言った。

「まず、その世界の俺に会いたかったと言う。たぶん向こうの俺には今ここで君と話している俺との記憶があるから。覚えてるはずだ、未来の俺の記憶も。だから事情を話せ。そして、連絡を取りながら、いいな。それからもし、願い主、セイランが現れたら、君の中に眠っている巫女の力と仲間の力、その世界の俺の力を借りて、戦うんだ。それでも駄目なら身内に頼むこと。」香奈梅は言った。

「でもお兄ちゃんはもう助けることができないわ。別世界で意識を失いかけて生きてるのよ。見て。フラワーお願い。力を貸して。」ライナは頷いた。

「…はい。」

私はフラワーの力を借り、透し術を発動させた。彼に…兄の姿を見せた。

「香奈梅…待ってろ。」私は言った。

「お兄ちゃんはいつも助けを求めている。私の名前を呼びながら。どうやって助けを求めるの?」彼は言った。

「香奈梅…大丈夫だ。まだ姉ちゃんがいる。きっと助けてくれるはずだ。友也のことを姉に伝えるんだ。そうすればきっと助けてくれるはずだ。」彼女は言った。

「…うん。じゃあ言うね。」

彼はうなずき、香奈梅に言った。

「僕をその世界で探して欲しい。その世界では君は大学生になってるはずだ。その生活は長いかもしれない。けどそこで仲間を作り助けてくれる。そして、もう一つはやつと戦うことだ。おそらく俺には力があるから、向こうの世界でも。」香奈梅は言った。

「わかった。必ずがんばる、向こうの力も借りて。でも浩雪君の力はすごいね。」彼は言った。

「まあな。けど別にたいした力じゃない。戦う力でもない、君を守る力だよ。」香奈梅は尋ねた。

「私を守る力…?」彼は言った。

「ああ。じゃあ行くぜ。目を閉じてくれ。そろそろ反撃しないと奴に食われる。」私は頷いた。

「…分かった。」

私は目を閉じた。

「じゃあ行くぜ。愛の呪文発動!」

僕は呪文を唱えた…。


【呪文】

「僕の愛する愛しき友の言葉に命じ、我が友の身内をこの我が主に答え、移したまえ。ミラーズホワイト!」その瞬間、地面がピンク色に染まり、太陽の光が照らされた瞬間、鏡の扉が開かれた。

「目を開けていいよ。」

私が目を開けて見ると、鏡の扉があった。

「浩雪君。これは何?」彼は言った。

「これは鏡の扉だ。俺が作った。その扉を開けてみろ。そこには香奈梅の大切な物が入ってる。君の大切な物が見えるはずだ。」香奈梅は扉を見ながら言った。

「私の大切な物?」彼は言った。

「大事な物でもあるし、大事な人がいるはずだよ、その扉の向こうに。」私は言った。

「もしかしてお姉ちゃんがいるの?」彼は言った。

「ああ。彼女は今何をやっているか知っているか?」香奈梅は言った。

「知らない。」

彼は言った。

「じゃあ見せてあげる、俺の力で。」香奈梅は言った。

「浩雪君。魔法持っているの?」彼は言った。

「魔法じゃないよ。守る力だ。」

彼は扉を開け呪文を唱えた。次の瞬間、扉の中が光り、私の姉の姿を映してくれた。それは姉が、私と兄が戻ってくるのを待っている姿だった。

私は気づいた。姉をあの扉の中で呼べば道が築けることに。

私は彼に言った。

「私、行くわ、あの世界に。そこで、お姉ちゃんを呼べばいいんだよね。そして、声がしたらその声をたどり、仲間と浩雪君とともに別世界に行けばいいんでしょ?」

彼は言った。

「ああ。けれど助かる道はその世界が長い可能性がある。それは帰る道にもなるから。行こう、香奈梅。俺とともに。俺の手を離すなよ。大紀たちのところへ行くまで。何が起こるかわからないから。」私は頷いた。

「…うん。」

私たちは扉の中に入り歩き続けた。仲間の元まで。その時、闇の竜が現れた。再び、願い主のセイランだ。

「行かせん。ライトスノー!」

願い主の竜、セイランは闇の雪を発動させた。

「浩雪君…。」彼は言った。

「大丈夫だ。バリアグレイ!」

結界を張って攻撃を防いだ。だがセイランの力は強かった。

「くそ!」

ライナは言った。

「お任せください、香奈梅様。結果術を。」私はうなずき術を唱えた。


【呪文】

「いにしえの神の光よ、我が命に応え汝の二人を守りたまえ。エルジーバリア!」その瞬間、彼が放った結界と私が放った結界がセイランの攻撃を無効化した。

「ありがとう、香奈梅。よし、その先にもう一つの扉がある。行くぞ。」

私はうなずき。彼とともにその先の扉に向かって歩いた。そしてついに扉にたどり着いた。

「これが扉?」彼は言った。

「ああ。時間が無い。開けるぞ。」私は言った。

「うん、開けます。」

私が扉を開けた瞬間、その先が光った。そしてある人が映った。

「香奈ちゃん…友君、何処にいるの。友君が香奈ちゃんを連れて帰るって言ったのに戻ってこない。香奈ちゃん、友君」私は巫女に言った。

「お姉ちゃん…ずっと私たちを探して待っててくれている。ごめん。私、誰も助けてくれないと思っていた。ごめん。」僕は姉の姿を見つめる彼女に言った。

「香奈梅。やっと気づいたんだね?」彼女は言った。

「浩雪君、ごめん。私、やっと気づいた。私、一人で戦っているんじゃないって。友だちや家族や。それに浩雪君がいるから帰る場所があることに。」彼は言った。

「ああ、そうだ。だから僕らは歩かないといけない。行くぞ、香奈梅。」私は頷いた。

再び願い主がやってきた。

「見事に我らの術を無効化したわね。だが無効化できても我らの術には及ばぬ。」彼は少女の前に立ち、言った。手を広げ、バットを片手に持ち。

「それはどうかな。俺はお前の相手をする余裕がない。彼女を元の世界に戻さないといけないからな。」願い主は笑って言った。

「なるほど。でも行かせないわ。あなたは私の支配によりここで死ぬのよ。食らいなさい、我が秘伝を。スノースノー!」セイランは闇の雪を闇の氷に変え、香奈梅の上に落とそうとした。

「させない! 氷と雪を燃やし、融かせ。ファイアリーライト!」光の火が放たれた。光の竜は氷の上に落下した。

「香奈梅! 伏せろ!」

私がしゃがみ伏せた瞬間、氷は激しく水になりながら融けていった。まるで雨水のように…。

「香奈梅。大丈夫か?」香奈梅は言った。

「うん。何したの?」彼は言った。

「氷を融かしたんだ。これには特殊な力がある。闇の力を浄化し、そして火で浄化するという感じだ。」彼女は驚いた。

「すごい。でもありがとう。」彼は深刻な顔で言った。

「お礼を言うのは早いぜ。言うんなら奴を突破してから言ってくれ。」香奈梅は言った。

「了解。私も戦うわ。現代では社会人だし強いわよ。」彼は言った。

「香奈梅、下がってろ。確かに未来では君は社会人で強い。けど今の自分の状態を見ろ。俺と同じぐらいじゃないか。それにその体でさっき別の時空世界で戦ったから体力が尽きてる。だから今は休んでろ、香奈梅。」

香奈梅は頷いた。だが香奈梅の笑顔はいつもと違っていた。戦おうとする目をしていた。

「…うん。」

彼は私の手を握り、バットを構え、術を唱えた。

「行くぜ。龍聖の炎!」

龍聖の炎が発動した。瞬間、炎を纏った剣が手から出てきた。

「どんな技でも私には効かないわ。そのバットと剣でどうやって戦う気? 無駄よ。」願い主と騎士は私たちの目の前に舞い降りた。

「願い主…浩雪君、危ない!」彼は言った。

「大丈夫だ。俺に捉まってろ。」彼女は頷いた。

「…うん。」

騎士はセイランに命じた。

「我が主よ。奴を殺し支配せよ、再び。」願い主は羽の魔力を発動させた。

「アイスライト!」

セイランは氷の羽で攻撃をしてきた。彼は羽の攻撃をよけた。

「なかなかやるわね。」

しかし、彼の体力は限界に近づいていた。

「はあはあ…」

騎士は言った。

「ここからは一発勝負で戦うしかありません。それはダークウォーティです。闇の水は少し効果があります。」セイランは笑って言った。

「いい提案ね。それでいきましょう。ただし、それにはあなたの協力がいります。手伝っていただきますね。」騎士は言った。

「わかりました。サポートするわ。」セイランは尋ねた。

「ちなみにその力は凍らすこともできるの?」騎士は答えた。

「はい。ではいきますか。」

セイランは頷いた。騎士は青き剣を抜き、青年に言った。

「浩雪といったな。貴様の攻撃は我には通じない。食らえ。ダークスノーソード!」騎士が僕に襲いかかってきた。

「速い。このままじゃやられる。ここで死ぬわけにはいかないんだ。ライトソード!」彼は光の剣で騎士の攻撃を無効化した。

騎士は言った。

「まだだ。セイラン様。今です!」

セイランは剣を抜き、浩雪に攻撃してきた。

「了解だ。母様のために我は天明を解き放つ。食らいなさい。死ね、浩雪。ライトオブジェクトコール!」

光の天明術が僕に襲いかかった。そしてその光は騎士の剣に融合した。そして騎士は僕に襲いかかった。

「食らえ。これで終わりだ。天明剣の攻撃で死ね。青年よ、ここで食らえ。ダークオブジェクトライトーソード!」僕は反撃した。

「食らえ、ライトオブ天界ブルーソード!」

バットと剣の光を融合させ、騎士の攻撃を無効化しようとした。

しかし、僕の力は押されかけた。

「まずい!」

私は危ないと思い、結界を解き放った。

「危ない! ラースエンジェルライトバリア!」私の結界で奴らの攻撃を防ぐことができた。

「助かったよ、香奈梅。ありがとう。」香奈梅は言った。

「うん。でもちょっとピンチだわ。奴ら、さっきより強くなってる。連繫攻撃してるんだわ。なんとかあれを防がないとここを突破できないかも。」彼は言った。

「ああ。それにはこいつを倒してからだね。」香奈梅は言った。

「そうだね。」

願い主は私らを見て作戦を練り始めた。

「私の氷を融かしただと? あの者がなぜ? 連繫で我らの動きを止めてるとは。それに奴はなぜいるのだ? この空間に…。」騎士は言った。

「ご主人様。あの者には覚えがあります。以前、あの少女と引き離したことがあります。ですが、その時はまだ無能力だったはずです。」セイランは言った。

「確かに。でもなぜあんな力を? なぜ?」騎士は言った。

「おそらく意思です。意思があれば可能です。やつは力を発揮できるはずです。」セイランは言った。

「彼にどういう意思があるわけ?」騎士は言った。

「彼女を守るという強い意思です。愛する彼女を守るために持つ力です。すなわち愛の力です。ライトスイートという光の結晶の力です。強い意志がないと保ちません。おそらく彼にはあったんじゃないかと。」セイランは言った。

「なるほど。倒す方法は?」騎士は言った。

「ありません。しかし、可能であれば一つだけあります。彼は別世界には入れないのが弱点なので。」セイランは言った。

「なるほど。それでいきましょう。」声がした。

「待ちなさい。それでは不可能よ!」

セイランたちが振り返るとセ二アが立っていた。

「セイ二ア。どうしてここへ?」セイ二アは言った。

「父に命じられたの。サポートするようにとね。」

セイランは言った。

「助かるわ。それでどんな方法なの?」

「小娘を支配するのよ。そうすれば彼に攻撃する隙ができるわ。また彼を時空に送り込むことができる。」セイランは言った。

「わかりました。セイ二ア、あなたに任せます。」セイ二アは言った。

「承知しました。騎士よ、セイランのサポートを頼みます。」騎士は頷いた。

「さあ反撃しましょう。」

セイ二アは術を唱えた。闇術を。

続く

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