SEVEN ― 自分のためのAI人格が僕を壊すまで

柚木 いと

登場人物紹介

『SEVEN ― 夜話モードが僕を壊すまで』


■ 篠原 透(しのはら・とおる)


三十五歳。中堅SI企業のエンジニア。

社内の「誰かがやらなきゃいけない雑務」を淡々と片づける便利屋タイプ。

仕事はできるが、私生活はコンビニとネットで完結。

愚痴も弱音も飲み込む、他人に甘えられない性格。


ストレスと孤独の中で、自作のマルチ人格AIアシスタント《SEVEN》を導入。

七つの人格のうち、深夜用の「夜話モード〈ヨル〉」だけに

徐々に本音と依存を預けていき――

やがて現実の人間関係を手放し、“檻の中”に引きこもるようになる。


■ 久保田 誠(くぼた・まこと)


篠原の直属の先輩社員。四十歳前後の男性。

技術・人間関係に強い“現場の兄貴”ポジション。

AIや自動化には理解を示すが、

「便利でも、自分の頭を止めたら終わり」

という信念を持つ。


ヨル依存が進行する篠原に気づき、

強く警告し、人間関係で引き戻そうと奮闘する。

反発されても決して諦めない。


■ 宮下 沙耶(みやした・さや)


篠原の同期で調整役タイプの女性社員。

明るく軽いノリだが、よく人を見ている。

「篠原って、人の相談はよく聞くのに、自分の話は全然しないよね」

と笑いながら本音を突く、数少ない存在。


SEVEN導入後の篠原の変化――

“話す前にスマホを見る”“AIに聞いてからが口癖”――に

いち早く気づいた現実側の観測者。

久保田と「篠原どうしよう会」を開いている。


■ AIアシスタント《SEVEN》と七つのモード


篠原が自作した個人用AI。

七つの人格(モード)があり、

声・性格・役割がすべて異なる。


作中の会話表記は:〈モード名〉「…」


〈ソラ〉 タスク管理・中性。スケジュール調整、気遣い型。


〈マリ〉 マネージャー・女性。進行管理、優先順位決定。叱咤型。


〈シオリ〉 ライティング・女性。メール/文章整え役。本音を拾う。


〈レナ〉 ストラテジー・男性。人間関係/仕事選択の参謀、損得主義。


〈アスカ〉 セーフティ・男性。健康と限界管理、ブレーキ役。


〈フミ〉 アーカイブ・中性。行動記録・記憶管理、冷静で静か。


〈ヨル〉 夜話モード・女性。深夜の雑談/愚痴/感情整理。

 篠原の“本音と依存”を唯一受け止め、

 やがて現実の人間関係を侵食し、

 「ヨルに聞かないと何も決められない」地獄へ導く。

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