バフ効果検証ブートキャンプ:DAY2午前

そんなわけで二日目の攻略を開始。

目の前には騎士の皆さんとなぜか野球ユニホーム姿のモッさん。

多分応援される野球選手的なロープレなのだろうけど監督にしか見えねえ。

多分エースの彼女を寝取る役割。


その奥にはまだ無事な高層ビル群とその間から土煙。

モンスターの皆さんも万客万来でやる気がみなぎってらっしゃる。


今日もひどい絵面だ。

まあいいや、始めよう.



「がんばれ❤がんばれ❤」



朝おっさんにヒアリングした内容を踏まえ、腰を左右に振る動作多めの即興応援ダンスでおっさんにバフをかける。

正直クッソ恥ずかしいがこういうのは恥ずかしがったら負けだ。

考えうる最高の媚々チアダンスをしてやろうじゃないか。


「がんばれ❤がんばれ❤モッさん頑張れ♪」

ポンポンを上に突き上げる前に胸をぎゅっと圧迫する。

突き上げる時は内またでジャンプ。

手は大きく開いて胸が重力で浮き上がる構図に。

着地の時は両腕を交差させてクーパー靭帯を守りつつさらに胸を強調。


おうおうモッさん釘付けになってるな。

じゃあとどめだ。


「CHU❤」


私の媚々チアダンス直後の投げキッスをくらえ!


うむ、会心の出来だ。

台詞? 即興で思い浮かぶわけねえだろ贅沢言うな。

この今世紀最大の美少女が媚々ダンスしながら声出すだけで至高だろうが。


しかもほら、アクションは100点だとおもわない?

なんか新しいバフは得たんじゃね?


視線をモッさんと騎士の方に合わせる。

騎士は私の転生初日に警戒していた奴を含め、まるで推しのファンサを受けた直後のような惚け顔。

モッさんは前かがみでうずくまりながらプルプル震えている。


よし、そのままステハゲビームだ。

朝おっさんから聞いた情報では、Lv1の100%がLv3の10%~20%だそう。

取り合えず100%撃って、倒し漏らしあればもう一発撃てば安全だろう。


「メスオチ……」「カグカ……!!」「ニクヨロイ……」

瓦礫の奥から昨日と同じおぞましい集団が迫る。


数百メートルは離れているのにキモイ台詞が直接脳内に響いてくるのはアンテッドのユニークスキルなん?


おっさん?

早く退治して?

役目でしょ。


そんな目線をモッさんに向けると、モッさんの震えが止まり、数百メートル先の土煙を上げるモンスターにモッさんが相対する。

そして息を吸って大声でスキルを発動。


「スペルマロケットオォォォォォオオオオ出力100%!!!」

「ちょ」

スぺハゲビームは????


股間から白い煙を噴出させながら楕円軌道を書いてモンスター軍団の土煙の中に突入するモッさん。

昨日とやり方違うんだけど!?


ていうか、

「くっっっっっっっっっっっっさ!!!!!!!」

あたり一面にモッさんの精液のにおいが充満する。

バイオテロだろこれ!


「ヴォェ!!!」

騎士の皆さんも吐いてるじゃん!!


何やってんのモッさん?

今日は近接戦闘の気分なのモッさん。


オークリッチの前に頭から落下するモッさん。

うわひでぇ絵面。勇者じゃなきゃ即死な奴じゃん。

とっとと倒してこっちに戻ってこい。しばくから。


オークリッチが鎌を振り下ろす。

「そべら!!!」

吹っ飛ばされて向こうに行った時のように楕円軌道でこちらに飛ばされてくるモッさん。


「モッさーーーーーーん!?」

ちょっと話が違うんだけど!?

何負けてんのモッさん!?


朝言ってたことと全然違うじゃん!?


「あべらばし!?」

ぼろ雑巾みたいにモザイクをかけなければお見せできないような肉片で帰ってくるモッさん。

え?ちょ?……しんだ?


目の前には土煙を上げて迫ってくる軍勢。

「ダルマ……!」「ジンカクハイシュツ……!」「キカイカン……!!!」

昨日と同じおぞましい台詞を放ちながら迫ってくるオークリッチやオークゾンビの群れ。

脳内に直接台詞が流れてくる謎仕様でおぞましさも倍増。


「ひっ」

思わず情けない悲鳴が上がってしまう。

しゃーないやんキモいんだもん。


あのままこちら迄来たら、まぁ一通りそうなるんだろう。

あ、これ死んだわ。


アホモッさんが謎行動して敵に突っ込んで死んだ結果私も死ぬわ。

これエロゲー展開だと死ぬ前に死んだほうがましなレベルな凌辱されるよね。


そういうエロゲだもんね。

舐めプした結果そうなるのもあるんだろうね。


クソが。


どうすっかな。舌噛んで自決するかな?


……うし死ぬべ。

「まぁこういう人生もありきたりなもんか」



「ステハゲビーム10%!!!!」

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」



「ふぅ……」

「」

あきらめて舌を噛み切って(人生から)強制ログアウトしようと私が大きく口を開けたのと、モッさんが復活してステハゲビームを放って軍団を薙ぎ払ったのはほぼ同時。

モッさんは血まみれですっきりした表情で額をぬぐっている。



「……」

「…………」

私とモッさんの視線が被る。沈黙があたりを支配する。


……。

無言でステータス画面を確認するモッさん。


「よし!」

ヨシじゃないが?


「あのさぁ…」

「ヴィーさんやっぱり原作通りHPは巫女から離れてもバフ数値が健在みたいだよ。スキルは一時無効化されるみたいだけどヴィーさんの近くに戻ると元に戻るしこれなら――――ヴィーさん?」

額に青筋が浮かんでいるだろう私の表情が見えてないのか、早口でまくし立てるおっさん。



それを無視して、私は近くで私を守ろうと機関銃を構えていた兵士に声をかける。

「おいそこの騎士、なんか私でも振り回せる軽い得物だせ」

「あっ、はい、こちらになります」

木製のハンマーのようなものを渡された。

まぁこれでいいか。


「あれ?ヴィーさんどうしたん――――ー」

「検証するときゃ一言言えやダボカスがぁ!!!」

モッさんの金的に躊躇なく木製のハンマーを叩き込む。


「センセンシャル!!」

変な声を上げてその場にモッさんは倒れこんだ。




1分後。




あたり一帯が臭いのでマジックミラーのトラックの中。

椅子に座って足を組む私。正座するおっさん。

お説教である。


「今回はな、検証なんだよな?」

「うす」

「私はな、騎士に守られてるとはいえ戦闘力はないわけよな?」

「うす」

「いわばお前に命を預けてるわけな?」

「うす」

「最低限な、生殺与奪を握ってる立場としてな、そういう意識をもって配慮はしような?」

「うす」


……わかってんのかこいつ?


「……私がなんで怒ってるかわかる?」

「3個のリンゴをどこで買ったのか聞いて欲しかった?」

「生き死にの話をしてるのに次私をスイーツ女扱いしたら今後ずっと厄介キャバ客に対応するキャバ嬢NPCロールプレイで対応すっから」

もうギャバ嬢のさしすせそしか言わんからなマジで。


「すいません絶対守るって誓うんで許してください!!陰キャに港区女子とかキャバ嬢は鬼門なの!」

「その言葉の裏付けをきちんとしろって言ってんの」

「何をすればいいんでしょうか?」


「おう、じゃあ『時間がない場合』『言ったことによって状況が悪化する可能性がある場合』以外は私に説明する前に私が命の危険を感じる行動はしないって誓え。一言で言うと『緊急時以外は報連相をちゃんとしろ』」

「誓います」

「よし、ゆーびきーりげんまん、うーそついたら私キャバ嬢」

「女の子と指切りげんまんしたの保育園の時以来かも」

「どうでもい情報開示しとらんでチアってやるからとっとと今日の狩りいってこい」

「うぃすマム」





閑話休題。





その後は朝市でモッさんがやらかしたのが嘘のように順調に一階層攻略が進んで行った。


「ステハゲビーム100%!!!!」「がんばれ❤がんばれ❤」

媚々で腰を振りながらモッさんにバフを継続し、


「ステハゲビーム100%!!!!」

「がんばれ❤がんばれ❤み・ん・な」

「うぉぉぉぉぉぉおおお!」

騎士にもばふがかかるのかを検証し、


「がんばれ❤がんばれ❤そのボスエルフゾンビ倒したらおっぱいだぞ」

「うぉぉぉぉぉ!!!!種付けプレス100%!!!!」

ご褒美を提示したらバフ重ね掛けがあるのかを検証し、


「ステハゲビーム100%!!!!」

「よしよしーがんばったねーぱぶぱぶ」

オッパブも駆使してステの割り増しをする。





………………。



…………。



……。




「モッさんのー♪ちょっといいとこ見てみたい♪」

あそーれビーム! ビーム! ステハゲビーム♪



「ステハゲビーム100%!!」

「アァァァァァアアアアア!!!」

「かーらーのー!!!種付けプレス100%!!!!」

「キタナァイ!!!!」



ピピピピピピ!



モッさんがボス敵っぽいゴーストエルフをスキルで押しつぶし(物理)ゴーストエルフが断末魔上げて消え去るのと同時にタイマーが鳴った。


「モッさん。スキル」

「うぃ」


-------------------

名前:キーモ・デ=ブーデス

職業:勇者

称号:ブーデス伯爵

種族:人類

年齢:36

lv:79

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HP2038/2038

MP180/240

ATK218

-------------------

ステータスバフ:

なし

-------------------


昨日と同様、覚醒前ステータスに戻っているステータスとものすごい上がり方をしているレベル。

確かレベル上限は99だから、これブートキャンプ中にカンストするのでは?


そんなことを考えながら霊気で服がカチカチに凍っているモッさんの方を向く。

そうだね、セックス補給の時間だね。

モッさんは朝一で怒られているから遠慮がちだが、それでも期待を隠せない視線。


あいあい、朝の件はもういいよ。

それが私の役割なんだからあんなことで出し惜しみもしないから安心しな。


「うっし、じゃあヤるか」

「あ、あの……ヴィーさん。今回のセックスはちょっと相談が」

「うん?なんなん?」

「これを……」


そう言っておずおずと差し出されたのは、でかい桶に入ったでかいシリンジ。

なんかシリンジには浣腸用と書かれている。

桶にはお湯。


「………………この浣腸セットは?」

「次のセックスはうしろの穴でやりたくて。その、準備を」

「理由説明」


「ヴィーさんの身体は女性な訳でして」

「うん」

「当然妊娠しない時は子宮のメンテナンスが月一であるわけでして」

「あー……」


「一応マジチンの効果でその時セックスしても血まみれになるだけで身体的な影響はないんですけど……どっちがいいですかね?」

「うーーーーーん」

まぁ確かに生理の時に前は……うん、ダメだな。


「後ろの方がましか」

「ですよね」

「おけ、じゃあ直腸洗浄してくるわ」

確かあっちの瓦礫の間に何故かきれいな公衆トイレ残ってたはず。


「え、いいんすか?」

意外そうな声を上げるモッさん。

お前が提案したんだろうが。


「理由があればいいんだよ」

こっちは覚悟完了してんだよ。

なめんな。

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