手紙を出したのは
伊達ゆうじ
手紙を出したのは
月曜日の今日、学校から帰ってくると、机の上に手紙が置いてあった。
何か違和感を感じ、よく見てみると、この手紙、差出人の名前がない。
住所と僕宛の
中に名前が書いてあるのかと思い、開封してみる。
〇月〇日〇時に
お待ちしております。
文面はこれだけ。
差出人の名前はなかった。
一体誰からだろう。
しかし筆跡を見たって誰が書いたかわからない。
いたずらだろうか。
指定された金曜の夜は確かに空いている。
ちょうど塾が終わる頃の時間だ。
さてどうするか。
金曜日覚えてたらこっそり行って様子をみようかなと思った。
金曜日、どうしようか迷ったが結局気になって、
塾が終わったら指定された鐘の前までやってきた。
ただ誰かがいたずらでその様子を見ていて、
あいつほんとに来やがったなどと、
そういうことをされたら嫌だなと思った。
鐘の前は休日などは大変な賑わいであるけど、
平日はちょっと人が多いかなぐらいである。
手紙を出した人は、自分の知ってる人だろうから、見つけられるかなと思った。
時間になると知ってる顔を見つけた。
以前塾で一緒だった
というのは彼女は先日塾を辞めてしまったのだ。
理由は知らない。
花を持ってる松江さんと目が合った。
「松江さんこんにちは。塾どうしてやめたの?」
「浦路さんこんにちは。ちょっと家庭の事情で」
「そうなんだ。ところで松江さん、僕に手紙を出した?」
「手紙ですか?私は出してないです」
と話してたら
「あれ?浦路くんじゃん」
と声をかけてくる人がいた。
見ると
ちょっとびっくりした。
彼女は同じ学校で別クラスなんだけど、明るくてかわいいのでとても人気がある。
お互い顔と名前は知っていてたまに話す程度の関係だが…
「その人浦路くんの彼女?」
と和歌月さんは聞いてきた。
「いや違うよ」
松江さんを見ると、少しびっくりしてるようだ。
「浦路さんの彼女さんですか?」
と松江さんも聞いてきたので、また
「いや違うよ」
と答えた。
和歌月さんを見ると
「え~違うの?」
と言ってからかってきた。
「和歌月さんからかわないでよ。それでどうしたの?」
と聞くと
「浦路くんが女の子と
「なんですかそれ。和歌月さん、てっきり僕に用があるのかと」
「別に用はないよ。ただなんとなく喋りたかったんだよ」
僕と和歌月さんのやりとりを聞いていた松江さんは
「それじゃあ私は…」
といって去って行ってしまった。
「ありゃあ悪い事しちゃったかな」
と和歌月さん。
「そうだよ。色々聞きたいこともあったのに」
「ごめんごめん」
「和歌月さんはなにしてたの?」
「ちょっとぶらぶらとね。気になる?」
「いや別に…そうだ僕に手紙とか出したりしてないよね?」
「手紙?
「そっか。だよねえ」
「えっラブレターもらったとか?」
「違うよ。ちょっと気になる手紙もらっただけ」
「やっぱラブレターじゃないの?それとも呪いの手紙、
「なんで!呪いではないよな、たぶん」
「ふ~ん変なの。じゃあ私、用事あるから。じゃあまた今度デートでもしようね」
と言って和歌月さんは去って行った。
やっぱりからかわれてる。
「浦路、和歌月さんと仲良かったんだ」
声をした方を向くと、
みるきとは小中高と一緒だ。
高校の今、クラスは違うけど。
「別に普通だよ。和歌月さんとは」
「そうは見えなかったけどね」
「からかわれてただけだよ。みるきは何してるの?」
「ちょっと散歩してたら、浦路が女の子二人と楽しそうに喋ってたから見てたの」
「いや僕はただ、偶然二人と会って確認したいことあっただけだよ」
「確認?ただデレデレしてただけにしか見えなかったけどね」
「ひどい!そうだみるき、僕に手紙出した?」
「手紙?出すわけないじゃん。請求書でもきたの?」
「なんで。まあ出してないならそれでいいけど」
「まさか和歌月さんからラブなのもらったとか?」
「もらってないから。てか和歌月さんが僕に渡すわけないじゃん」
「ああ、それもそうね」
と納得した様子。
ひどいよ。
「じゃあ僕は帰るから。またな」
「うん。またね。本気にしたら後で泣きみるだけだよ~」
そういうとみるきも帰って行った。
三人と別れた後、家に戻ってきた。
手紙で指定された時間と場所に、三人の女の子がきた。
松江さんも和歌月さんも、みるきも手紙のことは否定したが、
このうちの誰かが手紙を出したのだろうか。
それとも別の誰かのいたずらで、三人とはただの偶然出会っただけなのだろうか。
三人との会話を思い出しながら、考えてみたけどわからない。
結局なんだったんだろうと思いながら小腹がすいたので、
何か食べることにしたのであった。
浦路達が通っている学校は、考査明けの1週間は午前中だけの授業である。
月曜日午前中だけの授業が終わってから塾まで、
どうしようかと思って
松江さんは別の学校だけど、そちらも午前中だけなのかなと思っていると、
松江さんから声をかけられた。
「浦路さんこんにちは」
「こんにちは」
「今何しているんですか?」
「学校が終わってやることないんでぶらぶらと」
と正直に答えた。
そして
「松江さんは?」
「私は神社へお参りに。おくまんの方です」
「そうなんだ。今から行くの?」
「ちょっと喉が渇いたので何処か寄ってその後に。あのもしよかったら一緒に行きませんか」
まさかの誘いが。
正直塾で一緒の時は二人でいたことがなかったのでびっくりした。
だけど予定もないので
「うん。いいよ。まず何処で飲み物飲む?」
「そうですねえ。ス〇バはどうですか?」
「うん。そこでいいよ」
ちなみにここのス〇バは街並みの
純和風の作りになっている。
2020年には世界で行ってみたいス〇バ20選に選ばれている。
二人でス〇バに向かう途中、あるお店の前で僕がチラ見をした。
そこにはおからドーナツが売っている。
松江さんが
「浦路さんドーナツ食べる?」
と聞いてきたけど、なんか寄り道は悪いと思って
「別に…」
と言ってしまった。
しかし松江さんは
「うん。わかった。一緒に食べよう」
「なんでだよ」
「だって食べたそうに見えるから」
結局二人で買って食べることになった。
ここのドーナツは安くて美味しい。
松江さんと一緒に
「「美味しい」」
と言い完食。
そしてすぐ近くにあるス〇バに向かった。
店に着くと僕はカプチーノを頼んだ。
「松江さんはコーヒーアレルギーなんだっけ?」
「えっとそうですね…私は抹茶ティーラテを」
二人は飲み物を持って落ち着いた席に着いた。
「そうだ松江さん。タメ口でいいよ」
「はい。ただこっちの方が今は落ち着くので」
「こっちって敬語?」
「はい」
「それの方がいいなら構わないけど」
「そうします。浦路さん。この前の人本当に彼女じゃないんですか?」
「ああ和歌月さんか。もちろん違うよ。彼女は人気者だからね。
からかわれただけだよ」
「そうなんですか。別に彼女はいるんですか?」
「いないよ。欲しくないといえば嘘になるけどね。松江さんは?」
「私はいません」
「なんか寂しい二人だね」
「浦路さんはすぐ出来ますよ」
「いやいや難しいよ。松江さんこそ、もてそうだけどね」
「…」
(なんかまずいこと言ったかな…)
「松江さんて一人っ子?」
と話題を変える為に言ってみた。
「あ…妹がいます」
(なんで言葉に詰まったんだろ。またまずいこと言ったかな…)
また話題を変える為に
「松江さんは手紙とか書いたりする?」
「手紙ですか。まったく書きません。この前もなんか聞いてきましたよね?」
「うん。ちょっと気になることがあってね」
「気になること?」
「僕宛に手紙が来たんだ。でも差出人がわからなくて」
「差出人書いてなくても手紙って届くんですね」
「みたいだね」
さらっとまた手紙の事をきいてみたけど、
松江さんではなさそうだと思った。
時計を見て
「そういえば神社へはお参りで行くんだっけ?」
「はい。どうしても神様にお願いしたくて」
「じゃあ僕はくじでも引こうかな。あそこの神社色々くじあるし」
「そうですね。私も引いてみます」
その後は○○のお店のあんバターサンドが美味しいとか、
進路のこととか色々話して
「じゃあそろそろ行こうか」
と、お互い飲み終わったのを確認してから声をかけた。
「はい。行きましょう」
二人は店を出て神社に向かった。
神社に着くと松江さんは少し
きっと大事なお願い事があるのだろう。
参拝中も松江さんは真剣だった。
しかもちょっと長い。
参拝が終わると二人でくじを引くことに。
ここのくじは種類が多く20種類以上はある。
僕は
学問は早めに全力で。
恋愛はあきらめなさい…
複雑な気持ちになった。
まあくじに入っていた黒色の勾玉が、なんかよかったからまあいいか。
松江さんは
ちなみにその名の通り扇子の形をしたおみくじで、扇子を開くと色々と書いてある。
そして願い事と健康運のあたりを見ている。
ちょっと渋い顔をしている。
良くなかったのだろうか。
中吉なのに。
神社を出ると松江さんはスーパーに行くと言うので、
僕も付き合うよと言って一緒に行った。
スーパーでは、タオルやティッシュに缶コーヒーと
ミネラルウォーターを買っていた。
その後は、僕は一旦家に帰ってから塾が。
松江さんも用があるらしいので、別れることになった。
また今度会おうと約束をして。
翌日の火曜日。
午前中、しかも10時頃には授業が終わった。
すると僕がいるクラスに和歌月香織さんがやってきた。
そして…
「浦路君、今から映画観に行こう!」
クラス中の視線が集まった。
学校で人気の和歌月さんが僕を映画に。
一瞬フリーズしてしまった。
「和歌月さんどうしたの?」
「だからこれから一緒に出掛けようよ」
「なんで?」
「いいでしょ。この前デートしようって言ったじゃない。ダメなの?」
「いや…別にいいけど」
「じゃあすぐ戻ってくるね」
と言って自分のクラスに戻って行った。
周りを見るとみんな僕を見ている。
親友である
「おい!どういうことだよ」
と言ってきた。
「いや、こっちが聞きたいぐらいだよ」
「さっきデートって言ってたぞ」
「だからこっちが理由聞きたいんだよ」
そうこうしてるうちに和歌月さんが戻ってきた。
「お待たせ。じゃあ行こっか」
クラス中の視線を集めながら二人は教室を出たのであった。
学校をでて駅方面に歩きながら
「和歌月さん映画って何処へ行くの」
「〇〇へ行こう」
と4駅ほど電車に乗って、
そこからバスで行く大型ショッピングセンターの名前をだした。
「そこならごはんも食べれるし、色んなお店行けるでしょ」
「そうだね。ところでなんで急に誘ってきたの?」
「一緒に出掛けたかったから。色々と気になってたしね」
言葉が出なかった。
この前はからかわれてるだけと思ったけど、なんか違う気がする。
色々と妄想しながら考えこんでしまった。
「どうしたの?」
その言葉で我にかえり
「何の映画観るの?」
とりあえず思いついたことを口にした。
「行ってから考えようよ。それとも観たいのある?」
「特にないかな。和歌月さんにお任せするよ」
そして駅に着いたので電車に乗り、それからバスに乗り換えて目的地へ向かった。
移動中は学校の話や、僕の趣味などを聞かれたりした。
趣味とかの話に興味を持ってくれるので、話をしていて楽しい。
僕も和歌月さんの趣味を聞きたかったけど、
目的地へあっという間に着いてしまった。
和歌月さん聞き上手すぎる。
目的地へ着いた。
映画館はここの3階だ。
さてさて今やってる映画はと…
恋愛・アニメ・アクション・ホラー・ファンタジーなどなど
和歌月さんを見ると、恋愛とファンタジーを見比べている。
「和歌月さん決まった?」
「う~んこの2つのどっちかがいいなあ。浦路君的にはどう?」
「そうだね。両方面白そうだね。和歌月さんが決めていいよ」
「じゃあこっち。男子なら恋愛よりファンタジーの方がいいでしょ」
観る映画が決まったのでチケットを買って映画を観た。
平日昼間ということもあり、席は空いていた。
そして映画館で和歌月さんと隣りどうしで観る。
ドキドキしながら観たのであった。
映画を観終わった後はちょっと遅くなったけど昼食になった。
同じフロアのレストラン街を見て回り、定食屋ぽいお店に入ることにした。
僕はお肉のランチに鳥のから揚げを追加で。
和歌月さんはお魚のランチにカステラのいちごソースを。
食事をしながら映画の話になった。
「妖精さん達かわいかったねえ」
と和歌月さん。
「魔法のシーンがすごかった。悪の魔法使いが攻めて来た時、
妖精達と一緒に戦うのがもう」
と僕も感想を述べた。
それから雑貨店などに入って色々見てまわったりしたのだけど、
下着コーナーを一緒に入ろうと言われた時は流石に全力で否定した。
やっぱりからかわれてる。
別の店ではかわいい
「そういえばこの前手紙がどうこう言ってなかったけ?」
「うん実は僕宛に差出人の名前がない手紙が来たんだ」
「それで?」
「時間と場所が指定されてて、そこに行ってみたら和歌月さん達と会ったんだよ」
「なるほど。私は違うよ。私だったらそんなまどろっこしいことしない。
私の前にいた人じゃない」
「彼女も違うって言ったんだよ。となると誰なんだろ」
それから僕が塾があるからと言って、帰ることになった。
帰りの電車で和歌月さんが言いだした。
「浦路君、少し前に中学生ぐらいの男の子と一緒に落とし物を探してたでしょ」
「うん。なんで知ってるの?」
「その男の子私の弟だよ」
「え」
「弟が帰ってきて浦路さんて人が一緒に落とし物を探してくれたって言ってきて、
特徴聞いたらね」
「そうだったんだ」
「その時思ったの。浦路君てほんと良い人なんだなって。で興味が出た訳」
「そっかあ」
「それで今日のデートは私なりのお礼。ありがとう」
「あの子和歌月さんの弟だったんだ」
「うん。あとは浦路君よく見るとかわいい顔してるのもあったしね」
と言って和歌月さんは笑った。
僕はなんかかわいいと言われて、ちょっと複雑なでも少し照れてしまった。
「今日は楽しかったなあ。浦路君また一緒にどこか行こうね」
「うん」
そして電車は駅に着いたのでさよならをした。
駅で別れる時、何か視線を感じたけどあたりを見回しても知ってる人はいなかった。
翌日の水曜日。
学校へ行くとクラスのみんなから質問攻めにあった。
昨日和歌月さんと何処へ行ったのだの、どういう関係だの、
一緒に電車に乗ってるとこ見ただの…
質問には答えず、別になんでもないよとだけ言って席に着いた。
ただ親友の大沼和成だけは最後まで、質問攻めをしてきたが。
午前だけの授業が終わると、加賀桃胡姫がやってきて
「今日は私と付き合って」
と言ってきた。
「えっなに?」
と聞くと
「昨日和歌月さんと何処か行ったんでしょ。
月曜日も別の女の子と一緒だったみたいだし」
なんで知ってるんだ。
和歌月さんはあれだけ話題になったからわかるけど、
松江さんのことまで。
「いいでしょ。行くよ」
と強引に手を引っ張られ、外に連れ出された。
「いや、僕は塾があるし」
というと
「夕方からでしょ。まだ時間あるじゃん」
「わかったよ。で、何処に行くの?」
「遠くまでは行かないよ。その辺ぶらぶらしよ」
時間がお昼と言うこともあって、まずは食事をすることになったのだが。
「私○○のおにぎり食べたい」
「いいねえ。じゃあ行こうか」
という訳でまずは店頭でおにぎりを焼いているお店に来た。
大き目のおにぎりに自家製出汁醤油を塗り、
かつお節又はいわし節をたっぷりかけて食べるのである。
みるきはかつお節にしたので、僕はいわし節。
ふわふわの見た目に醤油の香り。
一口食べると
「うん。美味しい」
と思わず言ってしまうぐらい。
みるきも美味しそうに食べていたが
「私もいわし食べたい」
と言って、僕の食べてるおにぎりを一口食べた。
「私のも一口いいよ」
って言ってきたが、女の子の食べかけを食べるのは、
なんか照れ臭いというか、食べにくい。
僕が断ると、みるきは不機嫌そうになった。
その後は名物のプリンを食べ歩き、神社へ行くことになった。
この前松江さんと行った神社とは別の神社だ。
ちなみにここの
参拝などをしたのち、くじを引くことになった。
僕は
みるきはいもみくじ。
鯛みくじは専用の釣り竿で、鯛を釣りしっぽ部分におみくじが入っている。
いもみくじはさつまいもをザルなどですくうと番号が入っていて、
受付のところで該当の番号の短冊をもらう。
結果にお互い一喜一憂したのだった。
そして神社を出るとみるきに言った
「みるき最近変じゃない。小学校からずっと一緒だったけど、
正直あまり仲良かったって訳では」
「…」
みるきは何も言わなかった。
ちょっと気まずくなって、僕は言って後悔してたら
「浦路が和歌月さんと仲良く喋ってるのがなんか嫌だったの」
「和歌月さんと僕が?」
「そう。和歌月さんみたいなかわいい人が浦路と喋ってるのをみるとなんかね。
昨日も駅で楽しそうにしてたでしょ」
昨日和歌月さんと駅で別れる時感じた視線はみるきだったか。
「だからなんていうか、ちょっかいだしただけ」
「和歌月さんと僕は、ちょっとした出来事があったから、
昨日出かけただけ。それ以上はないよ」
「ふうん。浦路が言うならそうなんだろうけど、なんかモヤモヤする。
もう一人の女の子とは?」
「彼女は塾で一緒だっただけ。今は辞めてるからもう一緒じゃないけどね」
そして
「ちょっと気になることがあったから二人に確かめたかったってのもあったし」
「気になること?」
「この前会った時言ったこと、手紙のこと。僕宛に差出人のない手紙がきたんだ」
「内容は?」
「会ってくれませんかってだけ」
「それであそこにいたんだ」
「そしてらみるきも含めて三人来たから誰なんだろうと」
「ふうん。私じゃないよ。私なら直接言うだろうし」
「そうだね」
結局全員に再び否定された。
となると、別の誰かか、いたずらか。
その後、塾へ行くからとみるきと別れた。
しかし塾へ向かう途中にある違和感に気づいたのだ。
違和感を感じたのは松江さんにだ。
松江さんは昔、塾の
それなのに、コーヒーチェーン店のス〇バに行き、
帰りには缶コーヒーを買っていた。
それに昔は敬語ではなかった。
そう思っていると、松江さんを見かけた。
声をかけて今の疑問点を聞こうと思ったがやめて、後をつけることにした。
すると病院に入って行く。
僕も病院に入り、後をつける。
松江さんは3階にある部屋に入って行った。
部屋にある名前を見ると…
松江歌音の名前が。
僕は混乱した。
松江歌音さんが外から部屋に入っていったのに、部屋の名前には松江歌音と。
すると松江さんが出てきて顔を合わせてしまった。
松江さんは驚いている。
そして
「どうして浦路さんが」
「ごめん。外で見かけて、つい後をつけてしまって」
と正直に話した。
「そうですか」
と言い
「実は私は松江
そういえば姉妹がいるとは言っていたが、そっくりである。
でもどうして。
「姉は土曜に、くも
僕はとても驚いた。
そしてなんて声をかけていいのかわからなかった。
「姉は姉は…」
松江さんはとても悲しんでいる。
しばらく二人とも無言でいた。
「この前姉の日記を観たんです。浦路さん手紙が来たと言ってましたよね。
出したのは姉です」
そうだったのか。
「姉は浦路さんの事が好きで、差出人を書かないで手紙を出し、
来てくれたら告白するみたいでした。
住所は昔塾で、浦路さん宛の資料に住所が書いてあってて覚えたそうです。
その後すぐ倒れて…それで塾も辞めました」
そういえば指定された場所に言った時、詩音さんは花を持っていた。
今病室にある花だ。
「あとごめんなさい。姉のふりをして。
姉が起きたら、浦路さんと良い関係になってたらと思って」
そして詩音さんは一度姉の代わりに塾に来たことがあるとも言っていた。
それで僕のことも知っていたのだという。
謎は解けた、けど…
「歌音さんの症状はどうなの?」
「わかりません。今は少し落ち着いてるようですが」
「部屋に入ってもいいかな」
「はい。姉も喜ぶと思います」
部屋には歌音が横たわっていた。
頭の包帯と体中の点滴が痛ましい。
僕は涙がでた。
そして
「僕を好きになってくれてありがとう」
と言った。
意識のないはずの歌音がほほ笑んだように見えた。
(完)
手紙を出したのは 伊達ゆうじ @date_yuji
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