第2話 潜入開始2

(落とす⁉脅迫?まさか正体がばれたのか。あいつ実は結衣に変装した敵の諜報員なのか?いやそれでは大声で宣戦する意味はないしむしろ不利になるし…)あれこれ考えていると後ろから一人男子生徒が来た尾田翼。こいつも俺と同じスパイの後輩だ。




「先輩いったい何をそんなに思い詰めているんですか?」




「いやこの年代の心理がわからん」




「そういえば先輩中高の時もずっとうちにいましたもんね」




「ところでお前何でここにいる?」




「いや今回の任務の名簿確認したんですけどその中にどえらい人がいたんですよ」そう言って一枚の名簿リストを見せてきた。意外と知る名前も多い。




「ここですよ!ここ!!!」とエリオット・ハウゼンの文字を指す。




「あぁエリオットか。確かお前は初めてだったよな」




「ああじゃないですよあの伝説の諜報員エリオット・ハウゼですよ‼っていうか先輩あったことあるんですか」




「あぁ恩師だからな」




「いつ何処でですか?かっこよかったでしょ?」




そうエリオットにあの時拾ってもらえなかったらここにはいなかった。いまだに鮮明に覚えている。いや忘れられない。あの時…あのとkっ




「先輩?肩で息をしていましたよ。何かあったんですか?」




「ん?あっあぁ何回か任務を共にしたことがあってな。というか担任だからもうすぐ会えるだろ」




「まあそうですけど…」




「あと…このことについてはあまり触れるな」後輩は首をかしげていた。




 「Hello everyone!しばらく鹿嶋田先生は入院するので今日から私ロバート先生が担任を務めます。短い期間ですがよろしくお願いします。」後輩は憧れエリオットさんだーと目が釘付けになっている。




「さて今日はなんと3人の転校生がいます。黒板の前にどうぞー」席を立つトクラスの視線が集まるとともにとてもざわつく。




「はいっじゃあ自己紹介どうぞー」順番的に最初は後輩だ。




「えー僕の名前は尾田翼です。あまり長所はありませんが体力だけは自信があるので皆さん僕にどんどん荷物任せちゃってください。よろしくお願いします」クラスに多少笑いが起こる。次は




「私の名前は風間美幸。よろしく」こいつもCIA諜報員コードネーム:ナイト。何回か共同任務をしたことがあるが毎回エリオットと話しているときなどになぜかすごい目線でにらんで来るのが不思議だ。




「神崎海斗。よろしく」一応拍手が起こる。が、みんな自己紹介短すぎないかという顔をしている。ちらっと結衣を見るとなぜか少し顔を赤らめムッとした様子。俺が何かしただろうか?改めて席に座るとまだじっと見てくる。その後の授業中もずっとなぜか見てくる。結衣の学力の低下はこちらの都合上非常にマズイ。護衛が理由で学力低下などさせたら依頼金は取り消しの可能性もなくもないのだ。もし自分に非があるのなら改善するまで‼




「俺なんか悪いことしたか?」




 お!?やっとしゃべったー!!!でも…悪いこと?




「いいえそんなことないわよ」




「じゃあなんでずっと見てくる?バレてるぞ」えっうそ。できるだけ感づかれないように見てたのに…




「いやあなたが少し気になっただけ」ん?ちょっまおあj何言っているんだ私これじゃあまるで告白のようなものじゃない!!!




「ふーん」それに「ふーん」て何よ「ふーん」ってふつう私みたいな超ド級美少女天才令嬢に告白みたいなこと言われたら絶対顔を赤らめて逃げ出すのにっ




「ちっ違う。あれよ。あの転校生ってうちの学園試験難しいからなかなか来ないの。だからきっとすごい子なんだろうなって」




「まあ別にどんな風に思ってくれても構わないが勉強には励めよ」




「私が馬鹿だっていうの?」




「誰だって授業中よそ見してたら内申点も減点されるし(任務にも悪いし)いろいろと大変だろ」




「別に内申点ひかれても問題ない成績なんですけど」




「はいはいそうですか。また明日な」




「ちょっちょっと待ちなさいよー」廊下に結衣の声が響く。追いかけてももうどこにもいなかった。




 屋上に行くとエリオット、後輩、ナイトがいた。




「よう久しいなハイド君」




「お久しぶりです」




「ナイトもひさし…」と言いかけたところで「どうも」とだけいいサッと端のほうに行ってしまった。相変わらず冷たい(自分も結衣に同じように接しているので人のことは言えない)。




「しっかし結構結衣とお前いい感じになってきてるな」エリオットがコーヒーを渡してくる




「ただの任務です。そういうんじゃありません。」一杯飲むと予想以上に甘かった。相変わらずの好みである。




「ちなみに今回の現場エリオットさんから見てどう思います?」後輩がエリオットに問う。




「じゃあ君はどう思う?」と今度はナイトに話を振る。




「えっと。なんか平和な感じ…です」ん?さっきとなんか雰囲気変わってない?目輝いてるし…




「君は?」




「んー僕は特に引っ掛からなかったですけど…」




「ハイド君は気づいてるだろう」




多分エリオットも気付いているのだろう。




「この学園にも黒鴉機関特有の動きがある」




「でも特有の動きってほぼ情報ないんですからやつらがよく使うch24型時限爆弾でも見つからない限り…」




「いやさっき見つけた」




え?!ちょっそれどういうことですか何で僕らに教えてくれないんですか?」後輩が驚いてコーヒーを吹きだす。




「いや実をいうともうエリオットが潜入し始めた時からこんな暗殺未遂が続いてるらしい」




「そんなこと僕ら聞いてないですよ




「まあ落ち着け君」




「そうよ報告なんてしなくても支障ならすぐに任務達成できるんだし、コネで任務に就いた身で言わないでくれるかしら」とナイトが謎に後輩に突っかかる




「でもこれ必須共有事項でしょ。というかコネじゃないし!!!」




「悪い悪いもちろん何回も報告したが毎日あるもんでな…まあその暗殺方法がだんだん過激になってきたから君らを呼んだんだし…」確かにこれを報告しないとは重大な違反だがそれが看過されるのはエリオットが優秀そのものだからである。昔同じ任務をした時も敵一の情報を報告し忘れて機密資料が焼かれそうになったことさえあった。それはともかくなんか後ろでものすごい口喧嘩が起きている。このままではCIA との関係が悪く理想なので止めに入ろうとしたところ。先にエリオット両者の間に立ち




「まあ…」と言って場を鎮めた。春風が彼のコートを揺らす




「この学校はもう戦場だ。気を抜けばいつでも死ぬ。せいぜいがんばれよ」




「はっはい‼」校庭に楽し気な生徒たちの声が響いている。そうこの声も俺たちが裏で動いているから保てるものなのである。

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