第1章 初クエスト実戦
森の入口はひんやり薄暗く、木々の間を抜ける風が小さく鳴いた。
その中に、低い唸り声が混じる。
「来るぞ。三体……いや、四体か」
ガルドが剣を抜き、前に立つ。
リリアは杖を構え、セラは弓を引き絞った。
俺は——息を整え、手を胸の前に掲げる。
闇から、獣型の魔物が飛び出した。
「行くぞッ!」
ガルドが駆け出した瞬間——魔法を放つ。
「――《脚力増強》!」
光が走り、ガルドの脚へ吸い込まれる。
直後。
「……っ速ぇ!?」
ガルドの身体が風を裂き、魔物の横へ滑り込むように到達した。
振るわれる剣が、まるで重さを増したような圧で唸る。
ドッ——!
一振りで一体が叩き伏せられた。
「次、リリア……! 《魔力安定》!」
胸の奥から光が広がり、リリアの杖に吸い込まれる。
「……え、なにこれ。魔力の流れが……整ってる?」
リリアが笑った。
普段は暴発ぎみだという魔法が刀の切っ先のように鋭く集束していく。
「なら、撃つよ――《フレアショット》!」
炎弾が一直線に走り、二体の魔物を貫く。
爆ぜた火花の中、リリアが驚いたように息を呑んだ。
「私が放ったのに……狙いがブレない!?」
次の瞬間、背後の茂みが揺れた。
「まだいる……!」
セラが矢を番えるが——敵は動きが速い。
俺は迷うより先に動いた。
「セラ……《集中補助》!」
視界が透明になるような光がセラを包む。
「……っ!? 視界が……広い……?」
セラの瞳が見開かれる。
矢が放たれた瞬間、風を切る音が鋭くなった。
ヒュッ——!
矢は魔物の額へまっすぐ吸い込まれ、倒れる音が静かに響く。
——気づけば、すべての魔物が沈んでいた。
俺は呆然と立ち尽くす。
ほんのわずか光を放っただけで——
仲間たちが、こんなにも強くなるなんて。
「……これが支援魔法の本気ってやつか」
ガルドが剣を肩に担いで、豪快に笑った。
「すごい! ユウの魔法、相性最高!」
リリアが俺の手を両手で包んだまま、跳ねるように喜ぶ。
セラは胸に手を当て、小さく微笑む。
「……あなたの魔法、すごいです。戦場の“迷い”が消える……」
三人の視線が向けられる。
(俺でも……誰かを強くできるんだ)
胸の奥が熱くなる。
世界が少しだけ明るく見えた。
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