魔法少女は正義の味方

mqfuyu.

第0話 魔法少女はみんなの味方

この世界には魔女がある。


その魔女と戦い、世界を守る者たちがいる。


魔法少女と呼ばれる少女たちは、アマツキョウと


言う世界を守る団体から授かられた力により変身


し、その魔法で悪に立ち向かう。


アマツキョウはかつての大魔戦から、人々に信仰


されている。


魔法少女は適性の高い人間から選ばれる。遥か昔


大魔戦で戦った者たちの子孫にほとんどは適正が


ある。名家と呼ばれる。ごく稀に、高い適性を持


つ者が一般人に現れることもある。





 ずっと現れていなかった魔女が最近になって現

れ出し、アマツキョウは2つの名家の少女と、高い適正値を出した少女を招集した。


 いきなりアマツキョウの人が家に来て本部に呼ばれた黒江未来は困惑していた。しかし他の2人は明るく話している。


「いやー、家族から伝えられてはいたけどまさか自分の代でなるとは思わないよね。それじゃあこの私が世界を救っちゃいますか」


「まさかだねー!」


 そんな2人だったので未来は尚更戸惑う。そこにアマツキョウのおそらく位の高いと思われる者が来る。


「天崎凛様、三津叶様、黒江未来様。あなた方には魔法少女になって魔女と戦っていただきます。魔女が世界の核を破壊してしまうとこの世は滅んでしまいます。どうかお願い致します」


「な、なんで。嫌だよ、怖いし」


 未来は動揺しながらもしっかりと拒否する。


「申し訳ございませんが拒否権はございません。私方にはどうしようもございません。適性のある者以外には変身できません」


 その後儀式を行わされ、拒否権もなく無理やりその任につくことになった。正直恨む。だが、最初の戦いで気持ちが変わる。


「未来ー!援護頼むぞ!魔女があの核にたどり着いたら終わりだ!」


 未来にそう言う金髪でひたすらに明るいのは天崎凛だ。


「分かってるよ!よく初陣でそんなに無茶できるな!」


 魔女は形体は様々だがなんともおぞましい。

 核は結界の中にある。結界は世界から隔離された場所にあるが、魔女が結界に侵入した場合は魔法少女に知らされる。魔法少女は簡単に結界内に行くことができる。

 最初の知らせが来て結界に入った3人は、変身し、凛がすぐさま魔女に向かって突っ走っていく。


「魔法少女パーンチ!」


「魔法少女なら魔法使いなよ、」


 魔女を吹き飛ばした凛を追う未来と叶。苦戦しながらもパンチとキックの凛、援護射撃の未来、なんか色々できてよくわからない叶の3人で魔女を倒す。魔女はサラサラと消えていく。


 未来はこの戦いで世界の終わりがどう言うことか知る。拒否権なく自分を魔女と戦う役目にしたのは許せないが、実際、私がしないと世界は終わるのだろうし、適性がないとどうしようもないのならなかなか恨むこともできない。


 しかし魔法少女の力には代償があった。魔法少女が強い魔力を使いすぎると魂がすり減り寿命が減る。魔法少女の源は魔女の核だった。


 真実を知りアマツキョウを恨んだが、それでも世界を守るために戦う2人を見て未来も戦う。


 魔法少女になって半年、強大な魔女とぶつかる。魔女は圧倒的な力で3人を吹き飛ばし、核に辿り着こうとする。


「魔力解放」


 凛が立ち上がる。強大な魔力を纏って。


「凛、?だめ、そんな力、凛が」


「凛さん、だめだよ、私も、」


 しかし凛は即座に2人を気絶させる。


「なんで、凛、、」


「私は家族を守る。友達を守る。みんなを守る。だって私は、魔法少女だから。」


 2人が目を覚ました時には魔女は消えており、そこには血だらけで動かない凛がいた。


 凛は死んだ。2人は泣いた。だが、もう1体すぐに魔女が来た。2人は凛を思い、戦った。凛が守った世界を死んでも守ると。


 その後、凛の葬式がアマツキョウで行われる。世界を守るお役目を全うした凛を皆が崇める。


 式の途中、1人の男の子が叫んだ。


「凛を返せ!なんで凛が死ななきゃならないんだ!アマツキョウ!返せよ!」


 凛の弟だった。


 泣き叫ぶ凛の弟に、未来は。


「アマツキョウに文句を言えるのは私たち魔法少女だけだ。お前は何を言ってるんだ。お姉ちゃんが戦ったのが間違いだったのか?じゃあ今すぐ死ねよ。なあ、早く。あいつが戦わなかったってことはもう世界が滅んでんだぞ?あいつを返せってことはそういうことだよな?早く死ねよ。なんで守られてるだけのカスの分際でそんなに偉そうなんだよ。世界守ってる順番で言えば魔法少女、アマツキョウ、お前らだよ。お前らはアマツキョウにも全く及んでねえよ。

こいつだけじゃねえよ。何もしてねえくせにアマツキョウに不満があるてめえら全員だよ。そこのテメェだよ。私はアマツキョウを憎んでるよ。でも世界は守ってる。テメェらは文句を言える立場じゃねえんだよ」


 未来は叶が止める隙もなく言い放った。

 

 未来は凛の死からこの葬式までの短い期間で世界の醜さに気付いた。悪意がある、知能が低い、魔女との違いが大してわからないような人間たちばかりだ。未来の考えに同調するやつも同じだ。そんな守る方もない世界のために、人のために戦った凛を思い、弟の言動で限界が来た。


 未来は凛の弟と両親の首を吹き飛ばして去った。


 今話したのは今から5年前になる、この世の全ての人間に絶望した黒江未来という魔法少女についてだ。

 

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