運命と言うにふさわしかった物語

大学生

第1話「出会い」

この作品を読んでいるすべての読者に少しだけ考えてほしい。

「恋」というのは何だと考える?

経験したことがある人もしたことがない人でも何となくそれらしき自分の答えはあると思う。


僕という名の春樹は恋について「妄想」だと考えていた。

そんな僕の考えを大きく変えてくれたのはある一瞬だと僕は思う。



 春になり新たな生活が待っているものもいれば同じような生活が待っていると考える人たくさんいるが僕は前者だ。新たに自分のしてみたいこともないまま親の言うことに従って大学生にまでなってしまった。就職し、自分のしたいことをするのがいいと思っていたが親が、未来がと説得され今に至る。実際に習いたいこともなかったので使える資格よりは興味があることを取得したいと思い中国語や英語などを学べる外国語大学を志望した。


いざ入学式になるとさすがの自分でも緊張し、手汗をかいてしまい自分には少し似合わないと感じるスーツのシワがないかを気にしながら、講堂の硬い椅子に腰を下ろす。周囲には、期待と不安を同じ割合で抱えた顔が並び、誰もがまだ名もない物語の主人公だった。拍手の波に包まれた瞬間、私はふと、自分が昨日までの自分ではないことを知った。窓の外では桜が揺れ、これからの時間を祝うように花びらを落としていた。


入学式が終わり次はそれぞれの言語でのオリエンテーションではほとんどが教員の説明で生徒は終始無言で座って聞くだけという作業をしていた。終わってみると少しづつではあるが席の隣同士で軽い挨拶などが始まり内心「僕もしないといけないのか」と緊張していると隣りにいる同級生らしき女性が話しかけてきた。


「はじめまして、私広島から来ました柳井凛と言います。よろしくお願いします。」

「こちらこそ始めまして、僕は北海道から来ました大垣春樹と言います。よろしくお願いします。」

「同じ同い年ですよね?」という質問に思わず頷くと「前に一度あなたにあったことがあるんです」


普通疑問から始まるが。何故か嬉しかった。期待した。胸が高鳴った。今までにない緊張が僕を襲った。


「どこで会いましたか?」と返すとすぐに「高校生の夏のあの時に私はあなたを見たことがあるんです。」と



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運命と言うにふさわしかった物語 大学生 @bluemoon121

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