『転生したら“未来の俺”が神になってて、全部決め打ちで運命操作してきたんだが!?』
紫亜
第1話:『神と名乗る俺、初対面すぎる』
目を覚ますと、そこは天井も床もない白い空間だった。
「……え、ここどこ?」
返事はなかったが——声はあった。
『よ。やっと来たか、俺』
「俺!? いや声の主は誰!?」
『だから俺だって。未来のお前。正しくは“未来に神になったお前”。ややこしいから神ユウでいい』
意味が分からない。未来の俺? 神? 転生? 何の冗談だ?
「いや待って、未来の俺が神って何? そんな急成長あんの?」
『あるんだよ。異世界で調子乗ったらこうなった』
「雑すぎ!」
神ユウは軽い口調なのに、語る内容は重すぎた。
『お前、これから異世界に転生する。安心しろ。わりと楽しいぞ』
「安心材料ゼロなんだが!?」
『まあ聞け。俺は“お前が幸せになるように”世界の運命をいじった』
「運命をいじった!?」
『そう。主人公だからな。出会いも成功も、割と俺が用意した』
「は???」
その瞬間、白い空間の中心で黒いノイズが走った。
ザザッ。
『……時間だな。ヴォイドに見つかる前に説明する。お前に与える能力は——』
神ユウは指を鳴らした。
『“
「え、それだけ!? もっとこう、魔法とか無いの?」
『無い』
即答。
『じゃ、後は頼んだぞ、俺。ヴォイドが来る。もう行け!』
黒い亀裂が空間を引き裂く。
伸ばされた未来の俺の手は、何か言いたげだった。
——次の瞬間、ユウは光に飲まれた。
そして異世界の森の中で目を覚ます。
頭の中に、誰のものでもない文字が浮かんだ。
〈修正跡:本来ここで死ぬはずだった。神ユウによって“生存”に書き換えられた〉
「……嘘だろ。マジで未来の俺が全部いじってんじゃん……!」
その直後、森の奥から黒い靄が、こちらに向かって歩いてきた。
ユウは直感で悟った。
“運命をいじられた存在=俺を、世界のバグとして喰いに来てる”
「話が違うじゃねえか未来の俺ぇぇぇ!!」
——こうして、運命の修正跡だけが見える能力を持った青年の、自分自身との戦いが始まった。
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