第1話 『ヒト』


父と母を埋葬し、私は北を目指すことにした。学校で理科を習っていたおかげで太陽の昇る方向と降る方向で北の方向はだいたいわかっていた。


たった3ヶ月で街がここまでボロボロになっていた。ガラスは割れている。人の気配はない。所々から煙が上がっている。

目立った緑もない。

世界は何か大きく変わったのだろう。

歩けど歩けど風景は変わらない。

たまにボロボロの店に入ったりして薬なり食料なり銃弾なりがないかを探す。


3日。

私は3日歩いた。

暑さなどもあり進んだ距離は大したものではない。

4日目の日が落ち始めたころ、私はそこを寝床にするためにコンビニエンスストアに入った。

ただいつもと違いレジ前にヒトが倒れていた。

「あの、、大丈夫ですか?救急セットならありますよ?」

するとヒトは起き上がる。

それはヒトでなかった。

ヒト型の何かであった。

身体は細く変形し、黒く変色し、目が真紅に充血している。何も喋らない。ただジィイイイイイイイイイと羽音のような鳴き声を出してこちらを見ていた。私はすぐに逃げながらリボルバーを取り出し、それに向ける。

向かってくるそれに2発リボルバーを撃ち込む。それの頭と右肩にヒットし、頭は破裂し、右腕は吹き飛び、それは死んだ。

こいつだ。

こいつが人の血を求めるヒトだ。

その晩私は眠れず、コンビニエンスストアのトイレに篭っていた。

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