血塗られたエピローグ

◆◆◆


「M小学校図工室の児童殴打事件って知ってる?」


授業で置き忘れたクロッキー帳を取りに図工室まで付き添ってくれた友達が急に言い出した。


「M小学校ってうちの学校のこと? この学校で事件があったの?」


「昔の話だけどね。進学校だから世間にはあまり知られていないけど。私たちが入学するずっと前、この図工室で女子生徒が生徒たちに血まみれになるまで殴打されたんだって。いわゆる集団リンチだよ」


「じゃあここは曰くつきの図工室ってこと?」


ていうか忘れもの取りに来たのにそんな話しないでほしい。


「……いじめ、とか、なの?」

「それが奇妙なことに暴行に参加した生徒は覚えてないんだって。“気づいたらこうなってた”って。被害者の子も『藁人形が藁人形が』っ血だまりに浮く紙切れに叫ぶばかりで証言にならなかったらしい。そのまま転校しちゃったし結局事件はなぜ起きたのか真相は闇の中……だけど」

「だけど?」


言葉の続きを求める。

すっかり忘れ物のことより話に夢中だった。


「事件があった同日に被害者と同じクラスの女子生徒が行方不明になってる」

「もしかして、重要参考人?」

「被害者と図工室で言い争ってるのを聞いた生徒がいるからその子も関係してるんじゃないかって説はある。まあ今も行方不明で見つかってないし死んでるかな」


死、というワードが出た途端急に寒気を覚える。やっぱり聞くんじゃなかった。


怖くなって無理やり他の話題に変える。


「ねえ、ここってずっとぬいぐるみ置いてあるよね。持ち主はいないのかな?」


図工室にはかわいいクマのぬいぐるみが置いてある。


「私たちが入学する前からあるんだって。持ち主は不明だし、かわいいから皆のものってことで置きっぱなしにしてるらしい」

「図工室のアイドルだねクマちゃん」


目の前のクマのぬいぐるみを愛でると、私は忘れ物であるクロッキー帳を抱えて図工室から出ていった……――。



◆◆◆

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人形シール(呪) 秋月流弥 @akidukiryuya

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