この物語は、高校の鉄道研究会を舞台にした部活青春ものです。鉄道が好きな子たちが、撮ったり、乗ったり、音を録ったりしながら、自分の「好き」にまっすぐ活動していくのが気持ちよくて、読んでいると自然に元気をもらえます。
専門用語は出てくるんですが、作品の空気感がちゃんと「好きなことに夢中な高校生たち」なので、鉄道に詳しくなくても一緒にワクワクできます。部員それぞれの個性も立っていて、真面目にやるところは真面目、ふざけるところは全力でふざける。そのメリハリがすごく良いです。
好きなものに一直線になれる姿が、眩しくてちょっと羨ましくて…。こうやって全力で打ち込めるのって、学生ならではだなぁって思いました。
旅先の空気や駅の匂い、シャッターを切るタイミング、録音するときの緊張感。そういう細部が丁寧だから、読んでいると自分もどこかに出かけたくなります。
完結済み全30話。読み終わるころには、鉄道のことがちょっと好きになっている作品です。
撮り鉄、時刻表鉄、乗り鉄、模型鉄。様々な形で『鉄道』というコンテンツを愛でる面々が集う「鉄道研究会」。
個性豊かで賑やかな面々の中に、これまた『鉄道』への『好き』と言う気持ちを抱えた新入部員が加わったところから、物語は始まります。
各地に旅行に出掛けたり、鉄道談議に花を咲かせたり、そして素敵な先輩に心を惹かれたり……。
楽しく、愉快で、そして甘酸っぱい青春を裏打ちするように、作中に散りばめられているのは、車両から路線、施設まで、様々な姿で現れる豊富な鉄道知識。
作者の方がこれでもかと散りばめた『好き』と言う気持ちが存分に溢れているのも、今作の魅力の1つかもしれません。
様々な『好き』が入り乱れる青春群像劇。
物語の終着駅で待つ光景を楽しみにしながら、是非皆様もご乗車なさってはいかがでしょうか。
大阪第一産業高校には鉄道研究会がある。「撮り鉄」の高校二年生の播磨伸司が出会った新入生の矢立瀬戸は、電車の奏でる音が好きな「音鉄」の女の子だった。彼女を加えて個性豊かな先輩部員たちとの新しい一年間が幕を開ける。
鉄道研究会という一見マイナーで、なかなか馴染みのない部活の日常風景が新鮮です。
乗り鉄、車両鉄、時刻表、写真、模型、駅弁、そして音鉄。伸司や瀬戸ちゃん、先輩たちも、それぞれ「好き」はバラバラだけど、お互いの趣味を認め合う雰囲気が心地よく、鉄道マニアたちの賑やかなトークに思わず頬がゆるみます。鉄道に詳しくない素人でも、魅力がしっかり伝わってくるのが嬉しいです。
休日には、部員揃ってローカル線で旅をしたり、車両整備を見学したりと意外とアクティブ。ときには旅先の温泉や名物料理を堪能したり、ときには撮影のために過酷な山登りをしたりと大変なこともあるけれど、現地でしか味わえない、ちょっとした旅の感動のあれこれが楽しいんですよ。
部活動を通して少しずつ近づいていく伸司と瀬戸の関係ももどかしい。電車の響きと共に揺れ動く若者たちの純情が眩しい青春群像劇です。
(「レールの上の私たち」4選/文=愛咲優詩)
第二旅の終幕(全体の半分ほど)まで読ませていただきました。
私自身には鉄道趣味がなく、専門知識もゼロなのですが、それでも部員たちの掛け合いが楽しく、グイグイ引き込まれました。
特に、私自身が作中の彼らと同じ年頃に大阪に住んでいたこともあり、「放出(はなてん)」や「住道」など、関西のローカルな駅名が出るたびに、懐かしい記憶が蘇りました。
伊賀上野への鉄研旅行は、あの年代の空気感がよく表現されており、自分もその場にいる様な、それでいて、自分たちの青春時代を思い出すような、とてもほっこりした気持ちになりました。
正直なところ、現実の一部マナーの悪い撮り鉄のニュースなどの影響で、鉄道ファンに対して少し身構えてしまう部分があったのですが、この作品の登場人物たちはそんな偏見を完全に洗い流してくれました。
純粋に「好き」を突き詰める姿は、見ていて清々しいです。
中でも「鉄研カラオケ」のシーンは爆笑しました!
『赤いスイートピー』の歌詞から路線を特定しようとする不毛かつ熱い議論、そして「曲の発売時にはその路線はまだない」という部長の冷静な論破。
最高すぎますし、その不毛な熱量こそが、趣味を愛する者(=オタ)のあるべき姿だなと思います(笑)
私自身もクルマを題材にした小説を書いているのですが、ジャンルは違えど「好きなものを全力で書く熱量」に共感しました。
これからもお互い、"作者の趣味全開の執筆"を楽しみましょう!
(読了後 追記)
物語を最後まで読み終えたので、追記させていただきます。
結論から言うと、★をもうひとつ追加したいと思いました(システム上できませんが!)。
後半も鉄道研究部メンバーの活動は続きます。
新たな場所へ旅に出たり、学校行事の対応をしたり、レールバスである"部室"にまつわるエピソードだったり。
そのひとつひとつが、読者である私たちにもきっとあったであろう"青春"の香りや、一瞬一瞬の毎日への愛着を、笑いや 少しの切なさと共に思い出させてくれる物語でした。
まるで自分がモブ部員の一人として、一緒に活動を楽しんでいるかのような、とても新鮮な読書体験でした。
また、各エピソードの合間に分割して挿入されている "第一旅" の見方が、最終盤のある出来事で少し変わります。切なさ倍増と言うか……(最終3話は一気読みすることをオススメします)。
きっと再読したくなること間違いなし。
素敵な物語をありがとうございました!!