欲望のままに。
シマエナガ
プロローグ
プロローグ
「ハァ…ハァ…」
興奮した女の声。
薄暗い六畳ほどのスペースにダブルサイズのベッドだけが設置された部屋の中。
肌と肌をぶつけあったような乾いた音と湿り気のある水音が響いている。
何度目になるのか、今のイカれた状況を再確認する。
自身の体躯は全裸で仰向けの体勢。
手足はベッドの四隅につながるようにロープで固定され、ほとんど身動きが取れない状態。
腰の上には全裸の女が跨っている。体にびっしりとタトゥーが刻まれた女だ。
女は体感で1時間以上も狂ったように腰を振り続けている。
いくら果てようとも、
小さくなろうとも、
大きくなろうとも、
中に入っていようとも、
中に入らなくなってしまおうとも、
おかまいなしに腰を振り続けている。
静止の声をかけようが、女が止まる気配はない。
俺にできることは、女が満足するのを祈ることだけだった。
――それから6時間後。
強制的な2人の交わりは、警察が部屋に突入してくるまで終わることはなかった。
絶望はまだ終わらない。
生まれ育った場所が放火され、帰るはずの家は全焼。
そして俺を育ててくれた最愛の人。
その人が意識不明の重体と聞かされた俺は目の前が真っ暗になった。
◇
桜舞い散る街頭を一人歩く。
周りから粘着質な視線を感じるが、さすがに十年以上も経験すると慣れてしまった。
この世界に生まれ落ちて十五年。
前世の男にとっては天国のような、地獄のような世界。
どうせ地獄が待っているならと好き勝手にやってやると決めた。
思いを新たに街頭から切り替わった巨大なロータリーの端を歩く。
目線の先には壮大な校門と、それに見劣りしない立派な校舎。
ロータリーには続々と車が入り込み、品のよさそうな少女や妙齢の女性達が校門をくぐっている。
今まで関りがなかった高貴な人種達。少し気後れを感じながらも歩を進める。
男子生徒が一人も在籍していないという元お嬢様学校。
俺は今日、この
ふと校門前に立っている一人の少女と目が合う。
「
黒い髪を高めの位置で結い上げたツインテールの少女。
平均よりも小柄な体躯のその少女が、髪を振り乱して走り寄ってくる。
「え?」
あまりの勢いに俺は立ち止まり、困惑した顔で彼女を見つめた。
彼女は俺の反応も気にせず、走る勢いそのままで胸元に飛び込んでくる。
「ずっと……ずっと会いたかったっ!」
抱きつきながら、涙交じりの声で彼女は言った。
俺は困惑しながらも彼女を抱きしめ返す。
「は、
瑠璃ノ宮学園 の制服を着た幼馴染が俺の胸元に収まっていた。
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