一速の9000RPM「終わったあとに」

「ふぅ...つかれた...」

 3日前にル・マン24時間レースを完走した私と...この後輩。やっと日本に戻れてた。学校からは「学生が24時間レース完走するって偉業だから、しばらく休んでていいよ。もちろん出席判定でいいからね」と言われて少し安心した。

『すぅ...すぅ...』

 後輩は日本に着いてからずっと寝てる。決勝ではあんな元気だったのに...やっぱり疲れるんだね。

「よしよし...がんばったね」


《キュッ...キュルィィィイイ...ガオォォォンッ》

 よし...エンジンついた...燃え尽きなくてよかった...。また一緒に戦える。次は...プロトタイプとして。




《ガチャッ》

「ただいまぁ...」

『おかえりなさい!無事でよかったわ...』

 そうだよね...ずっと連絡してなかったし...。

「ちゃんと見てた?」

『もちろん!凄かったわね!』


《ぼふっ》


「ベットあったかい...」

 あっでも...パソコンパソコン...。




『今回は取材に応じていただきありがとうございます』

「はい...」

 ビデオ通話でインタビューなんて...初めて...。


《シンッ...》


『...ということですね?』

「はい...でも、ガレージ56とはいえ完走できたのは、仲間やジャガー、デザイナーの方々のおかげです」

 事実、あの人たちが1人でも欠けていたら完走できなかった。今思えば...ジャガーに結構頼ってたなぁって...。


『ありがとうございました』

「はい!お疲れ様でした」


「行くか」

 堅苦しいインタビューよりも...。

《キュルィィィイイ...ヴォォォオォンッ》

「行こう...コルベット」

 あっでも...疲れてる時に乗ってはダメか...やめよう。事故ったら大変だし...。

《シンッ》

 エンジン切ろう。


 レーシングスピード...350km/hの世界を体験したから、これが出来る。もしレースに参戦してなかったら...無茶してたんだろうな。


「成長...してるのかな?」


 自分の限界を知れて...でも...ファイナルラップは...「自分とは違う別のチカラ」が出た...。なんだっだだろうね...。表彰式とか...は熱中症で出れなかったけど...。


「楽しかったな...」


《朝》




「!?」

『あら...おはよう、テレビであなた出てるわよ』

「なっ...」

 うそ!ピットで爆睡してるところ撮られてる!?恥ずかしい!

「うぅ...」

『どうしたの?可愛いじゃない』

 ファイナルラップで...最後の最後に全力で叫んでるところも...撮られてる...。もしかしてこれ全国放送!?

「ああああっ!」

『かっこいいわね...』

「おかあさんっ!」

 熱中症でぶっ倒れるところも!?なんで!何処にカメラあったの?疲労で見えなかったかもだけれど!うぅぁあああっ!


 ...でも多分後輩ちゃんも恥ずかしがってるんだろうな...あの子、暗い中走ってて...すごい頑張ってたから。余計に...。

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