第4話 距離を稼ぐなら海路ですよね
距離を稼ぐなら海路ですよね-1
無事、西に向かう交易船の乗客となった千桜は船の舳先に立つと、どこまでも深い海の青と透き通るような空の蒼、そしてその両者が溶け合う水平線を眺め、恍惚とした。
帝都の御所に引きこもっていてはこんな素晴らしい光景を見ることはできなかった。結界を抜けた
ライトは生まれて初めて船に乗るということもあるのだろう。船酔いに苦しみ、船倉の個室に閉じこもったままだ。魔法で楽にしてあげましょうかと申し出たのだが、代償が高くつくと考えたのか、慣れるまでがんばると言って千桜を個室から追い出した。
(うん、わかっているねえ)
千桜はくすくすと笑う。船酔いを止める魔法の代償を彼のおちんちんを見せて貰うことにしようかと考えていただけに、千桜は笑うと同時にちょっと残念にも思う。こんなことならアンデッドモンスター城の攻略で更に恩を押しつければ良かった。
ライトはアンデッドモンスター城攻略に1ヵ月近くを要した。まず理由としてあげられるのが、ライトは自分の助力を拒んだからだ。回復魔法もライトは自前縛りにし、そのため、結構な回数、街に戻って体力回復のために宿に泊まった。次の理由が、アンデッドモンスターの親玉であるリッチーを倒さないと部下のアンデッドモンスターが何度でも復活してくる仕様だったことだ。戦闘経験を積むために、ライトは何度も何度も戦いを挑み、結局最後はリッチーとその部下たちのアンデッドとも意気投合し、仲良くなった。
そしてライトはリッチーたちに、基本的には城からは出ず、出ても街道を往く人をたまに驚かす程度と約束させ、アンデッドモンスター城の探索を終えた。なお、元々城はリッチーの元になったエルフ族の魔法使いの持ちものだったので、死んだ後も所有して何が悪いとリッチーは主張し、この土地の執政官を納得させたのだった。
報奨金を貰い、懐が豊かになったところで千桜とライトは交易船に乗り込んだ。海賊に襲われたときは戦力になるという約束で割引きして貰ったが、基本的には2等個室の乗客である。なにもないなら働く理由はない。
そんなわけで千桜は海を眺めている。
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