002 「生き残り生活~Survival Life~」
さて、これからどうしようか。
手元には何もない。
ズボンにはポケットも何もない。
身体ひとつで森の中って一体どうしたらいいんだろう。
周囲を見渡したけど荷物らしいものは何もなかった。
「ちなみに、このあたりって危険はないの?」
(回答。情報が不足しているためお答えできません)
使えねぇ!
英知の書……とは? 今度から残念サポートさんと呼ぶようにしよう。
(回答。適切なサポートを行えないためスリープモードに……)
「すすすす、すみませんでしたぁ!!」
ただでさえ見知らぬ土地で、いくら頭の中だけとはいえ話し相手がいないのはやはりさみしい。
とりあえず。話しかけてくれるだけでもありがたい。
そうだ。他人に頼ってばかりじゃだめだ。しっかりと、自分の力で生きていかないと。
とりあえず食べるものと水の確保だ。特に水。たとえ食べ物がなくても一週間程度は動くことはできるが水がないと三日ともたない。まずは水の確保が大事だ。
(推測。水分を確保するためには川や湖を探す方が賢明です。低い土地を探す方が確率は上がります)
おお、サポートさんのまともな回答。
俺はとにかく低い土地を求めて森の中を探索することにした。
■ ■ ■ ■
それから約二時間ほど……
ただ歩き回って体力を消耗しただけでした。
やばい……疲れた。歩き始めて感じていたことだけど……この身体体力少ない!
ため息をついていると俺の背後でガサガサと音がした。
動物か何かか? と振り返る。動物だったら可愛い動物だったとしても申し訳ないけど俺の食料になってもらうしかない。この世は弱肉強食、「いただきます」と「ごちそうさま」の気持ちで命を糧にして俺は生き残らなきゃいけない。非情だと怒ることなかれ、世の摂理には逆らえないのだ。
ガルルル!
低い唸り声。振り返ると、そこには黄ばんだ牙をむき出しにした獣がいた。
体格は俺と同じくらい、目は赤く濁り、背中から黒い毛が逆立っている。
(解析。牙狼。難易度Dランク。この森に住む獣の一種で肉食。その鋭い牙はやすやすと肉を切り裂きます)
なんでこんな時だけすらすらと説明してくれるのサポートさん!
(回答。サポート機能がレベルアップしました。今後より高度なサポートを提供することができます)
――STATUS――
NAME:???
LEVEL:1
JOB:世界の管理者
SKILL:管理者権限Lv1・英知の書Lv2・復元Lv1
おお、頼もしい。
じゃあ、さっそくこの危機的状況を打破する方法を教えて下さい。
(回答。情報が不足しているためお答えいたしかねます)
使かえねぇぇ!!
言い方が丁寧になっただけで、残念サポートはそのままじゃないか!
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