第20話 肝試し

夜ご飯は食堂で食べて、順番にお風呂に入った。


お風呂に入ってから肝試しだったから、一部の女の子達から不満の声が上がっていた。


せっかくお風呂に入ったのに、また外に出たら汗とか出ちゃうから、ということだったけれど、私はお風呂→肝試しの順番で心から良かったと思っていた。


ご飯の後、お風呂までの時間に、誰と組むか話し合って、池田くんと瑛里華、葉月くんとわたしがペアになったから!




肝試しの集合時間に食堂へ集まると、先生から説明があった。



「ペアごとにクジを引いて、そこに書かれた物を探し出して持って帰ったら終了でーす。早く帰って来たグループは明日の片付けが免除されますので、がんばってください」



池田くんが、「ほらな」と得意げに言った。


1組から順番にスタートしていくのを並んで待つ。



「わたし、こういうのあんまり得意じゃない……」



瑛里華が池田くんに言うと、池田くんは余裕の笑みを見せた。



「まぁ、どーにも歩けなかったら、オレが担いで行ってやるよ」



冗談なのか本気なのかわからなかったけど、本当にしそう。

お姫様抱っこじゃなくて、担ぐってとこが池田くんっぽい。



「くじひいて」



並んでいる生徒のところへ順番に先生がくじの箱を持って回っていた。


このくじの箱、どこかで見たことがあると思ったら、木崎先生が持っていたのと同じだ。



「藤代ひいて」



そう言われて、箱の中に手を入れて、折りたたんである紙を一枚とった。


紙を広げると、中に「つよいいし」と書かれていた。



「謎解き?」


「そういうことか。だからそこまで間隔開けずに次々スタートするんだ」


「これは池田くんから聞いてなかったの?」


「去年は数学の問題で、答えの数字が隠されているのを探したって聞いてた」


「2人で答えを話し合うようにしてるんだね」


「何だろこれ……」




気にしてないって言ってたけど、やっぱりあの噂があるから、葉月くんは瑛里華とじゃなくわたしとペアなのかな、とかちょっと考えてしまう。



『一緒に回った男女のペアは呪いで結ばれない』



でも、結ばれるとか結ばれないとか、そんなの他人が決めることじゃないって思い直した。


わたしの横には葉月くんがいて、課題をクリアするまでは2人きりなんだから。

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