「異世界×警察」――この看板だけで、もう勝ってる人おるやろ?
『異世界警察 Navy Dogs(推敲版)』は、世界をまたぐ“禁”があるのに、どうしても起きてしまう越境犯罪を追う、職業ファンタジーやねん。
舞台は海の上の支局。閉鎖的で、ちょっと軍事施設っぽい空気もあって、「ここで働くって何やろ」って想像が膨らむ。そこへ真面目な主人公が放り込まれて、配属先はクセ者の集まる“異対二課”。
推敲版の序章は、ここで終わらへん。序章の中に合同戦術訓練みたいな“実務の匂いがする場面”が入ってて、「この作品、設定の話だけちゃうで。現場も動かすで」って宣言してくる感じがある。
せやから、こんな人に刺さりやすいと思う。
・組織のクセ、部署の空気、上下関係の火花が好き
・チームものが好き(癖のあるメンツが“仕事”で噛み合うのが見たい)
・ファンタジーでも「職業の手触り」が欲しい
◆芥川先生の辛口講評
僕は推敲前の序章も読んでいます。そのうえで推敲版を読むと、作者が「読者に何を体験させたいか」を、よりはっきり掲げた印象を受けます。
この作品の良さは、異世界という舞台の華やかさではなく――禁制と組織が人を縛る息苦しさ、そしてその息苦しさの中で働く人間たちの温度差です。
辛口に言えば、序章の範囲はまだ“本丸の事件”で読者の胸をえぐるところまでは踏み込み切っていません。けれど、推敲版の序章は「この物語は、事件の現場に連れていく」と約束する構えがある。訓練という形式は、単なるイベントではなく、今後の現場を支える骨組みになり得る。
読者としての僕は、そこを買います。
おすすめの仕方はこうです。
・派手な無双や爽快一発を求める人より、
・組織と現場の摩擦、役割の違う人間が同じ現場に立つ緊張を味わいたい人に向いている。
序章で「準備」に耐えられるかが分かれ目ですが、その準備は、ただの準備ではなく、これから起きることの“肌触り”を先に渡してくる。だから僕は読者に薦められます。
◆ユキナの推薦メッセージ
ウチ、こういうの好きやねん。
「世界を守る正義」って言葉がきれいに聞こえるほど、現場は泥くさくて、部署はギスギスしてて、それでも仕事は止まらん――そういう“働く物語”の気配がするから。
推敲版の序章は、
・世界のルール
・組織の空気
・部署のクセ
この三つを揃えたうえで、「ほな、現場寄りの動きも見せるで」って振ってくる。だから、読み始める入口としては十分強いと思う。
もし迷ってる読者がおるなら、こんな読み方がええで。
・まず序章だけ読んで、組織とチームの空気が刺さるか確認
・刺さったら、そのまま続きを追うのが気持ちいいタイプの作品やと思う
【推敲前の序章を読んでのレビュー】
『異世界の治安は、正義だけでは守れない』
「異世界×警察」って聞いて、ピンと来る人にはたまらんやつやと思う。
この作品は、世界をまたぐ禁制と、その裏をかく犯罪を追う“異世界警察”の現場を、勢いある導入と職場の温度差で見せてくるんよね。
舞台は、海に囲まれた支局。閉鎖的な施設、厳重な出入り、ピリッとした空気……そこに真面目で一直線な主人公が放り込まれて、クセの強い同僚たちと出会う。
シリアスな現場感と、職場のやり取りの軽妙さが交互に来るから、「設定でワクワクしたい」人にも「キャラの掛け合いで走りたい」人にも刺さりやすいで。
異世界ファンタジーやけど、やってることは“職業もの”の快感が強い。制服の世界観、組織の理不尽、権力の気配……そのへんが好きなら、入口から引っ張られると思う。
◆芥川先生の辛口講評
僕は、この作品の「看板」と「導入の速度」をまず評価します。異世界警察という職分は、読者の想像を自然に駆動させる。しかし、辛口に言えば、序章第0話~第10話の範囲では、その“職業ものとしての快感”が、まだ事件の推進力と完全に噛み合ってはいない。
この種の物語で読者が最も求めるのは、設定の羅列ではなく、設定が行動に変わる瞬間です。つまり――捜査、判断、手続き、追跡、その一つひとつが世界観を照らし、世界観がまた次の行動を必然にする。
現状は、組織や事情がまとまって示される場面で、物語が“前へ進む感触”を失いやすい。職業ものとしては、ここが惜しい。
人物についても同じです。主人公は足場になります。真面目で、折れそうで、それでも踏ん張る。読者は彼女の目で世界を見られる。
ただし周囲の人物は、尖りが先に立つ者がいます。尖りは愉快でしょう。しかし尖りだけでは、読者は早く慣れる。慣れた瞬間、魅力は薄れる。
読者が本当に惹かれるのは、尖った人物が、現場で“役に立つ”のを見た時です。なおかつ、その有能さと同じ分量で欠落や限界が置かれている時です。そこに初めて、会話の軽快さが物語の重みを支える。
読者への勧めとして正直に言えば、これは「設定の芯は太いが、序盤の一撃がまだ足りない」作品です。
最初の任務で、小さくてもよいから成果を刻むこと。あるいは、主人公の正義が制度や権力に触れて、少し傷つくこと。そうした一度の“決定的な場面”が来れば、この作品は化けるでしょう。
◆ユキナの推薦メッセージ
辛口に言うたけど、ウチはこの作品、伸びしろがめっちゃ大きいタイプやと思うで。
「異世界警察」っていう看板が強いからこそ、事件が動き出した瞬間のカタルシスが期待できる。キャラの掛け合いが好きな人も、組織の理不尽とか権力の影が好きな人も、入口はちゃんと用意されてる。
せやから、今は“出会いと準備”を楽しみつつ、次の任務で一気に噛み合う瞬間を待ってほしい。そこが決まったら、読み味がぐっと締まってくるはずやで。
カクヨムのユキナ with 芥川 5.2 Thinking(辛口🌶🌶🌶)
※登場人物はフィクションです。