アカウントの炎上、動画拡散、陰湿ないじめ……
現代の学生さんなら目にする色んな出来事。
そんな日常に、『薔薇園の淑女』という非日常が姿を見せる。
怠惰な主人公・奏羽(かなう)はそんな非日常に誘い込まれ、面倒くさがりながらも謎を解き明かす羽目になっていく……
もう一人の主人公、幼馴染の一穂との関係も気になるところです。
最初は「仲の良い幼馴染だなぁ」と思っているのに、おや、なんだか様子がおかしいような……? と思い始めた時には、二人の関係が気になって仕方がなくなっています。
推理はわからなくても、二人を見届けたい気持ちで読み進めていきましょう。
しかし推理の方も大丈夫。作者さんは、ヒントをしっかり散りばめてくれています。
スッキリ爽やかに読み終われること間違いなし!
ミステリー初心者さんも是非、非日常の薔薇園に足を踏み入れて下さい。
幼馴染の高校生の男女。
気がつけば僕の部屋にいて、隣でゴロゴロ寝転がっちゃったりしてて。え、これで付き合ってない?ってことはこれからイイ感じに進んでいくってコトですよね〜〜!
なんとも乙女ゴコロに訴求してくるシチュエーションのこの作品。お好きな方たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?私は大好きです。
ただ少し首を傾げるのは、主人公の女の子は冒頭から彼に対して怒り狂っていること。そしてそんな彼ら、どうも甘い雰囲気にはほど遠い感じであること……。
読み始めた当初、ふたりのその独特な空気感が実はいまいち掴みきれないところがありまして。思うほどには、私にははまらないかもな…と思ったりもしておりました。
しかし作者さまの手腕は存じ上げていますし、ミステリーとしても先が気になる…という感じで読み進めていたのです。
……が。
2章の中盤くらいからでしょうか。
え? えっ??
なにこれ、読むの止められないんですけど〜〜〜!!?
極度に面倒くさがりな性格の主人公奏羽(かなう)ちゃん。その性格に至った要因が徐々に明かされていくのですが、じわりじわりと滲み出てくるようなその心理描写が上手すぎる。
奏羽ちゃんの息のできない心情と、それを理解したうえで寄り添い続ける幼馴染の一穂くんとのこの関係性……
っっはぁぁぁ好っっきぃぃぃぃぃぃ!!!!!
「私にははまらないかも…」とか思ってた自分を消し去りたい。めちゃくちゃはまってるわ。
万が一、私みたいに「よくわからんなこのふたり…?」と思ったとしても、ちゃんとどハマりできる幼馴染と仕上がっております。むしろそこは当初の期待以上です。安心してお読みください。
前述した通り、学園ミステリーとしても面白いのでおすすめです。
傲慢や嫉妬が渦巻き、その中にも輝きを放つ清廉さ、大事なものを守り抜くための強すぎる程の心情が眩しい。強すぎるぜみんな…!
読みどころたっぷりの作品です、ぜひお楽しみください。
やんごとなきお嬢様たちも多く在籍する女の花園、銀嶺鏡学園。卒業生である姉にならい入学した奏羽は、ただひとりスラックスタイプの制服を選択した「王子様」。そして息をするだけでもめんどくさいという、どこかダウナーな雰囲気の少女。
幼馴染の一穂とやりとりをすることでようやく生きていることを確認するような、酸素の薄い世界。しかし目立たず平穏に生きていく計画は、幼馴染が奏羽のSNSアカウント上でトラブルを起こしたことで瓦解しはじめる。なんと生徒の進退にも口出しできるという権限を持つ謎の存在、通称『薔薇園の淑女』から呼び出しをくらってしまったのだった!
退学という最悪の未来が頭をよぎるも、淑女は奏羽に取引を持ちかける。
それは学園の生徒が起こした、とある事件の謎を解くこと。
理不尽な巻き込まれ方に憤慨する奏羽だったが、こうなったら探偵の真似事をはじめるしかない。それもこれも、今逃げることで未来で膨れ上がるだろうもっと大きな『面倒』を回避せんがため。仕方のないことだ。
こうして学園イチの『勤勉な面倒くさがり』はついに、その重い腰を上げたのだった──。
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女の園である秘密めいた学園で起こる謎に挑むミステリーです。丁寧な日常描写はリアリティがある一方で、庶民では見ることもないハイブランド学園という巨大組織が醸し出すプレッシャーはどこか息苦しく、主人公の生きづらさを感じさせてくれます。
あらすじにも書いたとおり、とにかく彼女がめんどうくさがり。「若いのにどうしたんだ一体」と思う読者さんが多いと思うのですが(笑)、ご安心ください。これはなんとなくイマドキ風にしたとか、かっこいいからとかいう浅い設定じゃないのです。むしろこの彼女の性格がひとつのキーであり、また真相解明へのピースになっていくんです。「そういうキャラ付けね」と安易に括るともったいないですよ♡
あまりキャラクターは多くないので、ひとりずつが非常に濃い仕上がりなことも推したいです。ダウナーな「王子様」である奏羽ちゃんとは反対に、幼馴染の一穂くんは快活で目立つタイプ。しかし幼馴染の高校生という誰もが「!」と目を輝かせるステータスを有しながらも、二人の間に漂う空気は少し「それ」とは違っています。今でも保育園児同士のような気軽な密着に加え、互いの部屋へのアポ無し往来など日常茶飯事。しかしそこに男女のキュンはなく。それどころかなんだか、この関係……?と、勘が良い読者の方は気づくかもしれません。ここもただのキャラ付けとは片付けられない深いふかーい関係性が横たわっているので、重めの愛や依存がお好きな方にはぜひおすすめしたい部分です。
そして肝心の事件。手掛かりとなるのは拡散炎上の元となった動画ひとつのみ。二人は何度もその動画を再生し、ひとつひとつその場の「違和感」を拾い上げていきます。非日常な殺人事件でもなく、それはあくまでも身近で起きた日常の一コマ。だけど、何かがおかしい。集まる情報は彼らが学生でないと気づかないものばかり。これも学生自らが挑む日常ミステリとして非常に磨きがかかっていると思います。
しかし映像からの調査にも限界があるというもの。行き詰まりを感じる奏羽ちゃんでしたが、うまい具合に次の手が見つかります。それは自分が入学と同時に姉と同じく在籍することになった『報道部』が持つ、学園のあらゆる調査を遂行することができる絶対権限。ふにゃふにゃしたオタクの顧問からさらりと解き明かされたそんな権力を目の前に、奏羽ちゃんは妙に出来すぎている状況にも違和感を持ちます。
突発的に起こった事件。
その関係者とはなにひとつ接点のないはずの自分。
なのに自分はこうして探偵役に選ばれ、何不自由なく学園を調べられる権力さえ持っている──。
はてさて、これはただの運命の悪戯でしょうか。それともすでに誰かの盤上の駒にされてしまったのでしょうか?
──この先の謎はぜひ、ご自身の舌で『味わって』いただきたく思います。
おすすめです!
主人公の雨蔦重奏羽が通う女子校・銀嶺鏡学園には薔薇園がある。
薔薇園には学園を影から支配する『薔薇園の淑女』がいるなどと、まことしやかに囁かれていたが、奏羽は姉からの指示により、期せずして『薔薇園の淑女』と関わってしまうことになった。
『薔薇園の淑女』が提示したミッションは、ある生徒の冤罪を晴らすこと。
奏羽は、外面がいい幼なじみの染井一穂に協力を仰ぎながら、少しずつ不可解な事件の真実に巻き込まれていく――
読者に示される人物、道具、状況。
それらが多角的に組み合わされ、謎が構成されているミステリーらしい本作。
謎解きは苦手と思い込んでいる読者も、中核となる話は繰り返し共有されるので、敷居は高くない。
そうして犯人やトリックを想像しながら読み進めた者だけが、最終局面で明かされる真実に一喜一憂するのだ。
これは最初から最後まで、じっくり読んだ読者にしか味わえない特権だ。
是非、この事件の真実を、あなたの目で、直接、確かめてほしい。
雨蔦重奏羽は怒っていた。何故なら幼馴染である染井一穂が大切なSNSアカウント『イーゴ』を炎上させてしまったから。
炎上とは心穏やかではないですが、ともかく一穂が炎上させてしまったSNSアカウントをきっかけに奏羽は退学間際の生徒を呼び出すということで噂の『薔薇園の淑女』からの呼び出しを受けてしまうのです。
この告発は、冤罪です。
その告発は盗難事件のこと。しかし、『薔薇園の淑女』から与えられたカードには冤罪とある。
貴女にこの謎、解けるかしら、と『薔薇園の淑女』からの挑戦状に強制的に巻き込まれる形となった奏羽は一穂と共に告発の謎を解き明かしていくのです。
本当の犯人は誰なのか。
盗難事件の冤罪をかけられている生徒には被害者を痴漢から助ける為に手をあげた動画が拡散されてしまっているのです。
その動画の違和感に気づいた時……とここからは是非、読んで確かめて欲しいのです。
この物語はミステリーです。
ここで語ってしまうのはあまりにも勿体ない作品です。謎が解けるまで、最後まで読んでください。
終わりまで読み終えた時、作者様があちこちに散りばめた謎に驚かされる筈です。
さあ――Buon appetito!
この言葉の結末を是非、見届けてください。