Assassin’s Life 3

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霊能者と情報資産

 20から30ほどの鑑定を実地に受け、その経験を「情報の資産価値」という観点から分析してきた。私の結論はこうだ。「本物と呼べる精度の持ち主は二割ほど存在する。だが、人生のリソースとなる有益な情報を提供できる者は、さらにその一握りに過ぎない」

 私がこれまでの検証で得た知見を、いくつかの視点から整理してみよう。


1. 霊能力の構造:DTPにおける「レイヤー」の概念

 霊能者によって「視えるもの」が異なる理由は、DTPのデータ構造に例えれば理解は容易い。彼らの能力は統合された一枚の画像などではなく、以下のような「独立したレイヤー」として分かれているのだ。

 守護霊レイヤー(その意思を言語化する)

 予知能力レイヤー(個人や社会の行く末を予見する)

 透視レイヤー(家族構成や過去の事実を暴く)

 オーラレイヤー(色と精神状態を判別する)

 生霊レイヤー(他者の執念を検知する)

 多くの霊能者はこれらすべての階層を保持しているわけではない。特定のレイヤーのみが「閲覧可能」な状態にある。ゆえに、相談内容と相手の得意とするレイヤーが合致しない限り、精度の高い情報は期待できない。


2. 情報の格付け(機密性)による価値判断

 提供される情報の価値を、私は通信事業の情報資産管理になぞらえ、四段階で格付けしている。

 ランクA:極秘 (Top Secret)

 国家機密や経営の根幹。一般の鑑定に現れることはまずない。

 ランクB:社外秘 (Confidential)

「仕事が決まる」「不採用になる」といった、個人の人生設計に直結する投資価値の高い予知。

 ランクC:一般・公開 (Public)

「性格の分析」や「スキー場のカレーは旨い」といった、既知の事実や主観的な雑音。

 ランクD:有害情報 (Detrimental)

 知らぬが仏。恐怖を煽り、高額な除霊へ誘導するような、精神と経済にマイナスを招く毒。

 占いの価値は、ある漫画の登場人物が語ったように、気休めではなく「百パーセント当たる予知」にこそある。三十年も生きていれば、己の性格を当てられたところで腹の足しにもならない。


3. コストパフォーマンスと信憑性の担保

 鑑定料の相場は、良心的な対面鑑定で三千円から。弁護士の相談料と比較すれば「聖者」に近い。だが有名どころとなれば、数万から十万円に及ぶこともある。現実には「飲み屋の親父の説教」に一万円を放り出すようなリスクが常に付きまとう。情報の信憑性を高めるには、校正作業のダブルチェックと同じく、複数の霊能者から同一の回答を得る必要がある。だが、それには膨大なコストを要する。


結論

 YouTubeに二万人を超える霊能者が溢れる現代において、ランクBの情報をもたらす「二割の本物」を探し出すのは、あまりに投資対効果(ROI)が低い。人生をより良くするための「情報」を求めるなら、不確かな存在にリソースを割くよりも、図書館で先人の知恵を借りるか、専門家の有料情報を買う方が、遥かに健全で、確実な選択と言えるだろう。

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