間違えて召喚された俺、最弱扱いだけど実は世界唯一のチートでした

空色 紫雲

第1話 間違い召喚されたんだが?

気がついたら床が光っていた。


いや、正確には俺が立ってる魔法陣が光っていた。

部屋全体はゲームのラスボス前みたいな石造り。

周囲には豪華な衣装の姫みたいな人、

いかにも勇者な剣持った金髪少年、

あと長い髭を生やした魔法使い。


状況:完全に異世界ファンタジー。


そして姫が言い放つ。


「……あれ? 誰ですの?」


まず名乗らせろや!!!!


「勇者様はそちらの方よ!」

姫が指差した方向には

天使みたいなイケメン少年がいた。


ああ、わかるわかる。

アイツが勇者。それで——

俺は誤召喚かよ。


老人魔法使いが眉をひそめる。


「召喚式に何者かの干渉が……。

不純物が混ざってしまったようじゃ」


不純物てめぇ。ふざけんな


「す、すみません!? 転生の予約してたんですが!?」


「え……転生って予約制なの?」

勇者少年が素で驚いた顔するな。


完全に空気が俺に冷たい。


姫がさっと手を振る。


「と、とりあえず追い返して差し上げて」


追い返すな。異世界来たばっかなんだが。


とりあえず俺にも恩恵はくれるらしい。

老人が呪文を唱える。


《ストレージ(容量:5kg)》

ポンッと光が俺の体に吸い込まれた。


5kg!?!?


「引っ越しバッグ以下なんだけど??」


勇者がキラキラした剣持ってる横で、

俺は学童リュックの方がマシなスキルを貰った。


老人いわく。


「それでは、道に迷わぬよう。

……たぶん生き延びられるじゃろ」


おいフラグ立てんな。


追放され、城門外へポイッ。



_______________________________________



「…………」


改めて見渡す俺。

聞いたこともない森。

スマホは圏外どころか通知すら来ない。


いや来るわけない。


「うん、死ぬなコレ!!」


即死亡エンドの未来が見える。


とりあえずストレージを試す。


「……なんか入ってろ!」


手近な石ころを収納しようとすると

黒いもやがシュンッと吸い込んだ。


お?


試しに倒れてた小枝も入れてみる。

吸い込み。

そして画面もないのに

俺の頭に情報が流れ込んだ。


—保管物:闇属性エネルギーへ変換中—


「へ?」


次の瞬間、地面がドンッと揺れた。


暗い稲妻のようなものが

ストレージから一瞬あふれた。


「…………待ってこれ、危険物倉庫じゃない??」


容量5kg。

でも中身、闇そのもの。


つまり。


このスキル、最弱のフリした最強で最恐のやつじゃん。


頭を抱える俺。

だがひとつだけ確かだ。


「バレたら絶対ろくなことになんねぇ」


異世界初日、俺は決意する。


''闇倉庫は秘密だ。''


生き延びるために。

たまにツッコミしつつ。


俺の異世界生活、スタート!

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