第12話 ししゃも。インタビュータイム

俺たちは近くのカフェに移動し、注文を済ませると席に着いた。

まさか今日二回目のカフェに来ることになるとは。


「・・・で、・・・何から話せばいいんだ?」

「まずは自己紹介からかな?」

「そ、そうだな! 俺は五十嵐燈真! 好きな食べ物はシュークリームだ!!」

「誰もぽ前の好きな食いもんなんて聞いてねぇんだよ!!」

「はぁ!? うるせぇな! お前もさっさとあいさつしろよ!」



ししゃも。は咳払いを一つすると、やけに流ちょうに話し出した。


「あーマイクテストマイクテスト。本日は晴天なり~皆様聞こえておりますでしょうか? スイス~イ! あなたの近所の中学生、ししゃも。です!」

「お前急にどうしたんだ!?」

「え!? わからない。口が勝手に・・・」


俺たちが困惑していると、向かいに座っていた青年がいきなり元気な声で...


「は~い、ということで、皆さんきまよりー! みんなの心に笑顔のデジタル電波、デジデジでございまぁーーすぅーーー!」

「お前もなのか!?」

「なんか口が勝手に・・・」

「なんか怖ぇからさっさと話し進めようぜ!」

「そうしよっか」



気を取り直して、俺たちは今日のいきさつを一通り青年に話した。

「かくかくしかじか・・・」

「うまうまシマウマってことか・・・」



青年――デジデジと名乗った彼は、真剣な顔で頷いた。



「うーん、正直気になることはいっぱいあるけど・・・。その暴力団みたいな人たちはなんなのか? とか、どうしてししゃも。のペンダントを狙ってるのか? とか・・・」

「・・・・・・」

「まぁでも、遺失物届はいま聞いた話で書けそうだから、このあと交番に行ってみるよ」

「・・・うん。ありがちょ・・・」

「悪ぃなデジデジ。巻き込んじまって・・・」

「ううん。僕にも一部責任があるからね」

「・・・・・・」



ししゃも。が珍しく神妙な顔をしている。



「ん? どうしたししゃも。??」

「・・・燈真きゅん、デジざえもん。・・・聞いて欲しい話があるの」

「デジざえもん!?」

俺は予想していなかった単語の登場に、思わずそのまま復唱した。


「あんまり呼ばれたことないけど、ユニークで面白いかもしれないね! 僕は全然OKだよ。じゃあ僕もしゃもしゃもって呼んじゃおうかな??」

「人が真剣な話しようとしてるときに話の腰折るんじゃねぇよ!!!!!」


「「・・・・・・(お前が急にデジざえもんとか言い出したからだろう)」」


俺とデジデジの心が一つになった瞬間だった。



「なんか言えよ!!!!!」

「お前が話の腰折るなっつったから静かに聞いてたんだろうが!!」

「あぁ~もうやめた! 話すの辞めた!! 人が真剣に話そうとしてるのに二人とも全然話聞く態度じゃry」


――カット。



「事情があって全部は話せないんだけど・・・話せる範囲のことだけは話しておこうと思って」

「急にどうしたんだ?」

「・・・二人に迷惑かけてるし、何も話さないまま手伝ってもらうのも不誠実かなって思って・・・」

「しゃもしゃも・・・」

「言いたくねぇことは無理しなくていいからな」

「うん、ありがちょ。でも大丈夫。ししゃも。が話したいって思ったから話すの」

「そうか、わかった」

「・・・・・・」



ししゃも。は一呼吸置くと、重い口を開いて話し始めた。



「あのペンダントは・・・ししゃも。のママとパパの形見なの」

「形見ってことは・・・」

「・・・うん。今から大体10年ぐらいm」

「大変お待たせいたしました! 当店限定季節のフルーツ盛りだくさんヨーロピアン風スペシャルプリンパフェでございます!」

店員がうやうやしく巨大なパフェを運んできた。


「はい!!!」

俺は元気に手をあげる。



「ごゆっくりどうぞ~」

「うわぁ! すげぇうまそう!!!!!!!!」

「話の腰を・・・・・・・・・折るなぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


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