空想武器

　★アイテム名『錆びたナイフ　Rusted knife』　

　★真銘『ユージ・ロゥ　Yuhji Row』

　★不確定名・短刀　Dagger

　★装備可能職・全職　All jobs available

　★装備可能属性・全属性　All attributes

　★販売価格・銀貨五百枚　500 silver coins

　★備考・呪われた品　Cursed item

　★迷宮の浅い階層で見つかることが多い。

　手に取るだけで未確定状態から確定へと変化する、極めて珍しい性質を持ち、『鑑定士要らず』とも呼ばれる。

　店舗買い取り価格が銀貨二百五十枚と、迷宮探索序盤においては高額なため、新人冒険者にとっては良い収入源となっている。

　外観は木製の持ち手に、鉄製の刃を付け根の軸回転で収容することのできる、いわゆる折り畳みナイフである。

　迷宮の宝箱の中、あるいは人型の怪物から回収されることが多い。

　発見時は煤けた短い棒だが、確定状態になると赤錆びた金属部分と、乾いた黒い染みのある持ち手が露わになり、背の部分に「ユージ・ロゥ」と銘が刻まれているのがわかる。

　確定状態では呪われはしないが、刃を展開すると即座に呪われる。

　展開されると、なぜか錆が消えているという。

　装備し呪われるとナイフに意識を奪われ、誰彼構わず刺すようになってしまう。

　犠牲者の大半がパーティメンバーであることか多く、ゆえに『仲間殺し』と呼ばれることも。

　恐ろしいことに、この呪われた刃はいかなる防具の装甲も切り裂き貫くことが出来、肉体へ確実に致命のダメージを与える。

　また、実体を持たない霊的存在にも、その能力は通用する。

　ひとつの命を奪うこと、あるいは一体倒すことで呪いは解け、ナイフから解放されるため、一部の上級冒険者の間では、対ボス戦用の最終兵器扱いをしているとのうわさも。

　限定された状況下 (注1) で使えば、呪いにかかることなく、装甲無効・絶対致命の武器として使えるようになるとも。

　そうなった場合、風系の呪文全般を使えるようになり、『嵐を呼ぶもの　Call the storm』と銘が変わる。

　持ち主が成長を遂げれば、ナイフも同じように成長し、

　『太陽に吠える　Howling at the sun』(注2)

　『素晴らしき野郎ども　Wonderful guys』(注3)

　と、銘を変え、能力も格段に向上する。

　が、最終的には使い手がナイフに生命力を奪いつくされ、ボロボロになって死を遂げる。

　もしくは、ナイフに振り回されることに疲れ果て、自らを突き刺し自死を選ぶという。

　いかに強力であろうと、所詮は呪われたアイテムと言うことか。

　『ユージ・ロゥ』が武器の作り手とも、最初の使い手の名であると言われているが、定かではない。

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　注1・恋仲である男女の冒険者が、ふたりきりで迷宮に入った状況で、敵対している冒険者グループに襲われ、奪われた女性冒険者を『錆びたナイフ』を使い助け出した場合。

　と、言われているが、あまりにも芝居がかったシチュエーションであるために、後世の作り話という説が濃厚。

　この俗説は舞台化され、某国ではロングラン公演された記録がある。

　注2・この銘でナイフを装備して戦闘状態に入ると、輝く太陽のような聖なる力が漲り、悪魔や不死者、不浄の物に対して戦闘力が上がり、敵の特殊攻撃を無効にできるようになる。

　ただし、一党の新人あるいは若年者が、死亡する確率が極端に跳ね上がる因果を持つ。

　注3・この銘を授かると、爆裂系の魔法を際限なく唱えられるようになる。

　また、騎乗技術も向上し、ドラゴンでさえ乗りこなせるようになるという。

　因果として、訪れた各地の名所・名跡と呼ばれるところに必ず害を及ぼす。

　例えば、砦を壊し、塔を崩し、迷宮を崩壊させる、等々。

　また、高級蒸留酒（ブランデー）を専用グラスで飲まずにいられなくなるとも。