第7話
これまた不可思議な状況。
死体が見つかる前、死んだ女子生徒は学食にいた。
そして教室に帰る途中の廊下で、死んでいるのが見つかった。
昼休み、食堂にも廊下にも大勢の生徒たちがいた。
その中で少女は殺されたのだ。
警察が膨大な証言を集めたところ、生きていた彼女を最後に見た者と、彼女の死体を最初に見た者との時間の差、タイムラグはどう考えても数秒ほどしかないのだ。
その間に犯人は少女の頭をブチ切り、姿を消したのだ。
とても人間業とは思えない。
いったいどこのどいつが、そんなことができるというのだ。
そしてそんなとんでもない奴の捜査は、どこから始めればいいのだ。
また検死は徳田がした。
すべて同じ。
犯人がどうやってこの犯行をやり遂げたかはまるで分らないが。
検死としては、三人とも完全に同じだった。
検死をしながら徳田は、その死体がわが娘と重なっていくのを感じた。
騒ぎはより大きくなり、街はより深く沈む。
それは徳田家でも同じだ。
娘は少し前までヒステリックになっていたが、今は死んだようにおとなしい。
無理もない。
同じ街の中学生女子が三人立て続けに死んだのだ。
頭の上部を切断されて。
しかも十四歳の誕生日に。
そして娘はもうすぐ十四歳なのだ。
徳田は考えていた。
考えて考えて考えた。
そして一つの考えが浮んできた。
――あの母親。
最初の犠牲者の母親だ。
徳田はとにかく母親に会ってみようと思った。
なんでもいいからなにか糸口が欲しかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます