半顔少女

ツヨシ

第1話

少女の顔が頭が、半分ふっ飛んだ。

まだ十四歳になったばかりの女子中学生の。

その日少女は自転車で帰宅していた。

途中にある長い坂をけっこうなスピードで下っていた途中のことだった。

そこをトラックが追い抜いた。

その時トラックの荷台にのっていた大きく薄い金属板が、滑り落ちた。

その板が、女子高生の顔面を貫いた。

薄い板の側面は鋭い刃物のように、女子高生の顔の上半分、口と鼻の下部分と右目を残し、その上をきれいに切り取ったのだ。

女子高生はその場に自転車ごと倒れた。

切り取られた頭は脳みそをぶちまけながら地面に落ちた。


徳田の仕事が増えた。

それは検死だ。

十四歳の女子高生の死体。

正確には今日十四歳の誕生日を迎えたばかりの少女だ。

死に至る原因は聞いた。

トラックから落ちた薄い金属板が女子高生の頭の上半分を切り取ったのだ。

ゆえに死因も明らかだ。

検死の必要があるのか。ある。

死体の現状を細かく記録すること。

それが徳田の仕事だ

――それにしても……哀れな。

死体を見慣れている徳田も思わず目をそむけたくなる死体だ。

ご丁寧にかき集められた吹っ飛んだ頭蓋骨と脳みそもおかれている。

――やりますか。

徳田は検死をし、記録した。

こんなのはいつものことだ、とつぶやきながら。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る