友達
なぎゃなぎ
-1-
――ねぇ、何して遊ぶ?
私は最近、両親と一緒に田舎にある、この家に引っ越してきた。
肺の弱かった私は、都会の空気は合わないらしく、直ぐに喘息をこじらせる。
そんな私の体調を気遣って、両親が田舎に家を買い、小学生に入学するタイミングでの引っ越しらしい。
この家の庭は広く、向かいには雑木林が茂っていた。
引っ越し当日――
両親は、忙しく家具の設置や片づけをしていて構ってくれない。
退屈だった私は、おもむろに庭に出て、蟻の観察をしていた。
そんな時、1人の少女が私に話しかけてきたのだった――
「ねぇ、何して遊ぶ?」
「おままごととかどお?」
初めてであったはずなのに私は何故かこの子を自然と受けれていた。
――本当に初めての出会いだったのだろうか?
私は何となくこの子を知っている気がしていた。
懐かしいような、悲しいような気持にさせてくれる子。
この子も何故、初対面の私にこんなに馴れ馴れしかったのだろうか――
私は一瞬作業している両親を見やるが、その子と庭でおままごとを始めた。
この子のおままごとは本格的だった。
土で出来た庭に、大きな地図を2人で書き始める事から始まる――
「ここを、こうやって川が流れてるよ」
「じゃあ、ここは八百屋さんね!」
「ううん。 そこはお風呂屋さん!!」
こうやって描かれた、地図が私たちのおままごとの"舞台"となるのだ。
私たちの作った架空の町で私たちは好きな役割をしても良い。
「じゃあ、私は先生やるーーー!!」
「私は、お風呂屋さんね!!」
先生とお風呂屋さんのままごとなんて今思えばかなりシュールな設定だ。
先生の私はお風呂屋さんとの接点を作る為、お風呂屋さんにわざわざ行く――
「いらっしゃいませーーー!」
「大人1人お願いしま-す。」
言って私はお風呂に入る――
「お客さーん。 溺れないでくださいよーーー!」
「溺れないよ! 私大人だもん!!」
「でも危ないから気を付けるの!」
「分かった。 ありがとう、お風呂屋さん!!」
――こんなやり取りのおままごとだった。
その日から、この子の毎日が始まった――
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