無知全能
@gutt
第1話
歩いていた
ただ歩いていた
なぜ、どこに、何もわからず
ぐちゃぐちゃになりながら
暗く静かな光も入らないような
鬱蒼とした森の中を
ただ何も考えず歩いていた
自分自身の状態を気にもせず
自分がどんな怪我でメンタルで
歩いているのか、何も気にせず
ただ、逃げていた、、ナニカから
でも、そんな事を考える暇もなく
何も考えずに、ただ歩く、歩く、歩く、歩く
目的もなく、喋る気力もなく、
ただ逃げなければいけないという
事実しか残ってなかった
自分自身の記憶も、当てにならない状態
どこから、歩いているのか
今まで何をしていたのか
彼氏は、家族は、友達は
全てに関して、あやふや、まるで
雲が厚い夜の月のように
そこに「ある」という感覚しかなかった
そんな状態のものには、救いがあるというのが
テンプレだが、今のコイツは助けは来ない
神も、お釈迦様も、人間も
だが、歩けば歩くほど、地獄は、続く
だんだん周りの色がなくなっていく
自分の目がおかしいのではなく
周りの色が、なくなっていって
白と黒しか残ってなかった、
死にそうな、コイツには地獄しかなかった
歩いても歩いても、白黒、
歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いても
モノクロな森
生物の気配はなく
ただマイナスイオンだけが漂っていた
歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて
「色」を見つけた
まるで、白黒になるのを嫌がっているような
明るくて鮮明で鮮やか
いつもみていたような景色のような
初めてみた景色のような
それを確認するために、近いた
「色」に触れようとした
手を伸ばして「色」にふれる
しかし、触ること自体がまるで禁忌のように
その瞬間目の前が割れた
ガラスの真ん中をハンマーで叩いたかのような
ひび割れ
光ってて今まで見たことのない
眩しくて暗くてまるで宇宙のような
ソレに飲み込まれた
いや飲み込んでもらった
全てから逃げるために
吸い込まれるような
拒絶されるような
そんな状態が心地よかった
ただ自分自身の存在しかないような
自分が全てにおいて浮いてるような
そんな状態が心地よかった
そんな地獄のような状態も続かず
気づいた時には
太陽があるのに眩しくない
月があるのに綺麗じゃない
そんな偽物のような
望む世界に存在していた。
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