この作品の魅力は、自律思考型アンドロイドのミゥが、人間との交流や失敗を重ねながら、少しずつ「心」を身につけていく過程を丁寧に描いているところだと思います。
特に印象的だったのが、30kgの荷物をそのまま相手の手に載せたり、指定時刻より5分早いという理由だけで荷物を渡さなかったりする場面です。知識としては正しくても、人間社会ではそれだけではうまくいかない。その小さな失敗から学んでいく姿が、ミゥという存在をとても分かりやすく見せています。
もうひとつ印象に残ったのが、自分自身を「荷物」として両親のもとへ届けてもらおうとする少女チャイとの出会いです。最初は依頼を文字通り受け取ってしまうミゥですが、チャイと生活を共にし、会話や入浴などを通して、人間の感情や距離感を少しずつ知っていきます。
単なる高性能アンドロイドが活躍するSFではなく、完成した人格を最初から与えず、経験によって人間らしさを獲得していくという設定が、日常のエピソードそのものにしっかりと生かされている点が、この作品の大きな魅力だと感じました。
序盤までの紹介となりますが、ミゥがこれからどんな経験を重ね、どのような「心」を育てていくのか、これからも追いかけて行きたいと思います。
半ばまで読めたので書きます。
本作を一言で言うのなら、成長するアンドロイド(史上初の自律思考型)・ミゥを主役としたSF小説になります。
熱量が凄く色々とアップしたい点がありすぎるので、今回は設定とキャラを取り上げたいと思います。
設定の作り込みはSF作品ということもあって非常に作り込みが深いです。作中の文化並びに経済、今の世界が作られるまでの歴史が作られています。しかも、読み進めれば読み進めるほどに、この世界が我々が生きている世界の延長にあることがよく分かります。特に「日本の米」の話は拘りが強く感じられました。しっかり調べていることがよく分かります。
次はキャラですね。勿論、注目すべきはアンドロイド・ミゥです。設定に加えて、作中で設計した科学者・徹の拘りが強く感じられます。
実に、これがとんでもない。限りなく「人に近い」ではなく、「人」へと至らせようとしている強い意志を感じます。タイトルに書いた「神は細部に宿る」という言葉はとても相応しい……。
完成されてなお追及される顔の造形、肌、髪、ボディ、学び続ける頭……。
容姿が美しいことはさることながら、事あるごとに初めて見聞きすることに疑問をぶつける姿はどんどんアンドロイドからは離れていき、回を追うごとに人へと近づいているように感じますね。
まだまだ成長中のミゥ。
彼女は今日も新しきを知る……。
第1話のプロローグが最高の掴みだ。宇宙ステーションのゲートを「宇宙を飛ぶきのこ」が強行突破するという、なんとも珍妙な緊急事態が警備隊長と管制官のやり取りだけで描かれる。「形状の特徴は?」「えーと、きのこです」「なんだ?」「だからきのこなんです、宇宙を飛ぶきのこなんです!」この管制官の困惑ぶりとミハエル隊長の真剣さのギャップがとにかく笑える。そして出動した警備隊に伝わる追加情報が「歌っています」。アンドロイドのミゥという存在が、なぜこんな珍妙な形で登場するのか、その歌は何を意味するのか——一話だけで続きを読まずにいられない引力がある。コメディとSFと心温まる物語が一体になった作品の予感がプロローグから漂ってくる。
とあるコロニー内に存在する宅配業者の日常を描いたSF作品です。
遥か昔に政府から運送許可をもらい、ほそぼそと狭い地域の宅配業に勤しんでいた会社。
しかし、財閥の口添えが入った今、その業務は大きな変革を迎えました。
現地に向かう作業員は、人間らしさを学ばせるためにあえて不完全を目指して作成されたアンドロイド。
求められているのは、第二の人類になりえる可能性。
けれどもいまだに作業はクレームの抱き合わせであり、判断に柔軟さが足りていません。
それでも毎日から少しずつ自分を学んでいくアンドロイドは、製作者や社員が望む存在に到れるのか。
ぜひ読んでみてください。
SFファンはもちろん、「心温まる物語」を求めている方にも心からお薦めしたい作品です!
――おすすめポイント――
① 壮大な世界観
設定が非常に深く綿密に構築されており、なるほど、こんな世界になるんだなー!と違和感なく、ワクワクしながら物語の世界へ入れます。設定が深く作り込まれているにも関わらず、文章は読みやすく、スラスラと頭に入ってくるため、ストレスなく世界観を楽しめます。
② 「人とは何か」を問う繊細な描写
主人公のアンドロイド「ミゥ」が、感情、コミュニケーション、そして非言語コミュニケーションを習得し、進化していく様子が、繊細に描かれています。特に、開発者である徹とのやり取りは「人の感情とはどういうものか」「他者と心を通わせるとはどういうことか」を深く考えさせてくれます。
③ 心温まるドタバタな日常
ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが、他の登場人物たちもとても魅力的です!そんな彼女たちが繰り広げるドタバタな日常は読んでいて心が温まります。
この物語の世界に、もっと浸っていたいと思わせてくれる素敵な作品です。
是非読んでみてください。
宇宙を舞台にした「宅配便」という発想が、とにかくわくわくします。
本作の魅力は、銀河規模の世界観でありながら、描かれているのが「荷物を届ける」「働く」「仲間と過ごす」という、とても身近な日常である点だと思いました。
特に印象的なのが、学習型アンドロイドのミゥ。
最初は真っ白だった彼女が、仕事や人との関わりを通して、少しずつ感情や個性を身につけていく過程がとても丁寧に描かれていて、気づけば自然と応援したくなります。
SFのわくわくと、成長物語の優しさが合わさった作品です。
ミゥがどんな存在になっていくのか、最後まで見届けたくなりました。
1章まで、読んだところですが、引き続き拝読させていただきます♪