迷い続けるための、空白の左腕

他人の皮膚には「海」を描けるのに、自分の腕には針を落とせない主人公。
「描いてしまえば、迷い続ける余地を失う」という一文に、芸術家の業と、人間としての誠実さを感じました。
完成させることだけが救いではなく、未完成のまま袖を下ろすこともまた、一つの尊い選択なのだと思わせてくれる、静謐で美しい物語でした。

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