第41話『王の遺跡と侵攻の影』
「カイト、宝玉を奪われたわよ!」
ディルセアが叫んだ。
「ああ、俺たちも飛ぶ......」
その時、衝撃が起こると祭壇が吹き飛び石片が飛んでくる。 その土煙の中から黒い影が現れた。 それは上部に無数の触手をうねらせており、黒いイソギンチャクのようなものだった。
「我が宝を...... 奪おうとする...... 愚か者め......」
イソギンチャクはそういうといくつもの触手を伸ばしてくる。
「なんだ!? このモンスターしゃべった!」
「や、やめろ!!」
「うわぁぁ!!」
そして騎士たちは次々と捕まり、その触手の中に取り込まれると、溶けるようにそのまま吸収されていく。
「な、なんだこいつは! 皆攻撃しろ!?」
グララヒムの命令で、騎士たちはイソギンチャクへと攻撃するが、全く効いていない。
「我が宝は、我のもの......」
そのままイソギンチャクは触手を振り回し騎士たちを吹き飛ばした。
「どうするイオリシア......」
「やむを得ません。 このままだと全滅です。 助けましょう」
イオリシアは氷の魔法を放った。 イソギンチャクの触手が凍る。
「わかった...... レンド、ディルセア」
「はい!!
「わかったわ!」
レンドの風が凍った触手を切り裂き、ディルセアの魔法が更に触手を石化させる。
「ぐぅ......」
イソギンチャクは苦痛の声を上げた。
(効いてるな! それなら)
俺は走り、イソギンチャクの体に触れる。
「
俺はディルセアの石化の魔法を使い、その場所を俺の皮膚と入れ替え、殴りつけた。
ドオオンッ
石の腕で殴りつけると、そのイソギンチャクの体はへこみ、その巨体が揺れた。
「レンド!」
「
レンドが振るう輝く剣は、イソギンチャクのへこんだ体をそのまま切り裂いた。
「ぐああぁぁぁあ!!」
イソギンチャクは声をあげ、土煙をあげながら横倒しになった。 しかしその体が集まり、再生し始めた。
「......全ての...... 宝は、このベネルスの...... ものだ......」
(ベネルス...... いや、再生がはやい!)
「
俺はその体を石へと変える。
「ぐ...... た...... か ......ら」
そうイソギンチャクは最後につぶやくと完全に石となって動かなくなった。
「こいつ...... ベネルスと言ってたな」
「その名前はリサーラの王...... モンスターが古代の王、ブラネスク、カーマインと同じってことね」
ディルセアが言うと皆言葉を失っていた。
「......まさか、ゼアルードが落とされるとはな」
ルードランドのトレイル王は考え込んでいる。 俺たちが遺跡を出て町に戻ると、サイグレシア公国がゼアルードに侵攻を始め、ゼアルードは征服されたという。
「かなりの騎士が遺跡で亡くなっていたから、兵力も減らしていたはず...... だがそれだけで落とされるとは思えないですが......」
俺が聞くとトレイル王は眉間にシワを寄せる。
「ああ、この国に逃げてきたゼアルードの城の者たちの話では、ゼアルードの兵たちが出陣すると、地面から洞窟のようなものが現れ、兵たちを次々と奥へと飲み込んだという」
トレイル王がそう言った。
「洞窟?」
「ああ、その後、サイグレシアの軍が城を取り囲んだため、降伏を余儀なくされたらしい。 ブラムという男が降伏を勧告しにきたが、この男がゼアルード国王にルードランドの侵攻をそそのかしたというがな」
「あいつが......」
レンドがつぶやく。
「じゃあ、黒幕がサイグレシアだったのね」
ディルセアがそう言ったとき、兵士が慌てて部屋に入ってきた。
「サイグレシアが兵を挙げて国境付近に迫っています!」
「......来たか」
「王よ。 ここは降伏をしたほうがよいのではないでしょうか」
大臣のブレイロが静かにそう進言した。
「ブレイロ大臣、降伏してどうなるというのです。 ゼアルードの者たちの話によると、支配された街の住民が姿を消したと言うのです。 おそらく何かよからぬことになるのは間違いない」
ゼノフォスがそう聞く。
「少数の犠牲はやむを得ぬこと...... 全ての国民と天秤にかけられませぬ。 彼らは得体の知れぬ力を持つようです。 このまま戦って勝算がおありなのですか」
そうブレイロ大臣は眉をひそめて言った。
「それは......」
「......まずは相手の戦力を見よう」
王がそう言い、俺たちも同行することにした。
俺たちは前線の国境の砦に着くと、軍勢が目の前に広がる。
「ふむ、かなりの兵力だ。 だが我らよりは少ない。 防御に徹すれば負けることはあるまいが......」
トレイル王はそう言った。
「トレイル王! サイグレシアより外交の使者が参りました!」
「通せ、カイトどのたちも同席を」
俺たちは使者との会談に同席を求められた。
そして会談場所につくと、そこにいたのはブラムだった。
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