令嬢【霊場】戦記ダイゴクドー
楠本恵士
第1話・シロガ家専用の巨大ロボを造って敵を蹴散らしますわ!きょほほほッ
とある異世界の、ある日の朝食──中金持ちのシロガ家の食堂で、当主となって一年目のネーゼ嬢が、東方地域から取り寄せたメザシをかじりながら青年執事の
「葉原、シロガ家専用の巨大ロボットを造りますわよ……きょほほほッ」
欧風の屋敷でパッチワークをしたようなツギハギのドレス姿で、玄米とメザシで食事をしていたネーゼ嬢は、巨大ロボット保有が金持ちのステータスで当然といった顔でメザシの尻尾をかじった。
ネーゼ嬢の言葉に、魚の漢字名が書かれた湯呑みに安いお茶を注いでいた葉原は、お茶を湯呑みからあふれさせる。
「あちちちちッ! アチャ!」
「なにをやっていますの葉原! 貴重な
「お許しください、ネーゼお嬢さま……これ以上、給金を減らされたら生活できません」
北欧風の顔立ちをしたネーゼは、金髪を掻き上げて言った。
「きょほほほッ、知ったこっちゃないですわ……話しを元にもどして、巨大ロボ造りますわよ」
テーブルの上を手拭いで拭きながら、葉原が呟く。
「今のシロガ家に、そんな余裕無いでしょう……使用人が、わたし一人だけでその貴重な使用人の給金を、減らそうとしているくらいですから」
「嫌みですか……このシロガ家の当主の名前を言いなさい」
「ネーゼお嬢さまでございます」
「その当主が、シロガ家の資産を自由に使って何が悪いのですか……断固主張しますわ、巨大ロボット造りますわ……だいたい、どうしてそんなにシロガ家は貧困な中金持ちに落ちぶれたのですか? 誰が悪いのですか」
「なんですの、その目は……まるで、わたくしのせいで散財して、シロガ家の財産を食い潰しているみたいな目は」
「事実、ネーゼお嬢さまのせいです……お父さまが残したシロガ家の財産を、湯水のごとく使いまくった結果です……ドレスもパッチワークみたいなドレスに変わってしまって、見てください。わたしの執事服も虫食いの古着ですよ」
そう言って葉原は、黒い墨筆で虫が食った穴を塗って誤魔化した。
「きょほほほッ、このドレスはおしゃれと言って欲しいですわね……ごらんなさい、ドレスの下に見えないおしゃれで、東方地域から取り寄せたルーズソックスを履いていますわ」
そう言って裾を持ち上げたドレスの下から、ルーズソックスを履いた足が現れた。
「そういうのが、ムダ使いって言うんですよ……少し節約してください」
「でも、巨大ロボットは造りますわよ……葉原が教えてくれたのですよ、
「あれは、アニメの話しで」
「とにかく、わたくしは巨大ロボに乗って操縦したいですわ!」
気まぐれなネーゼ嬢の言葉に、別世界から召喚された葉原は肩をすくめた。
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