web小説のジャンルには「異世界」「恋愛」「SF」「ミステリー」など色々ありますが、この作品を読んだ後にどう区分したらよいか名状し難い気落ちになります。それほどに独特のトンデモナイ世界観を持った作品です。
ピアスやタトゥーなどのちょっとした身体改造は我々が住む現代社会ではありふれたものになっていますが、この小説の架空の近現代ニホンでは「プレトルソ」というトンデモナイ身体改造が社会の最底辺を生きる性転換した男娼たち、通称「トリ」たちに美しさ、名声、金を得られる手段として流行っているのです。
プレトルソとは・・・自らの四肢を落とす「アンプテ」で四肢のいずれかまたは両方が欠損した人々。本来あるものがないグロテスクさと古代ギリシア・ローマの彫刻の如く歪な、そして欠損部が本来どうあったか想像を掻き立てるマネキンのような美に心がざわつかされながらも目が離せません。まさしく怖いもの見たさという心境です。
平均寿命が35年の「トリ」たちが、この退廃的な世界の中で死を間近に感じながらも刹那的で破滅的な報酬に目が眩んで、死から逃れようとそのイかれた生を疾走する様を淡麗で読みやすい文章で綴られるこのコントラストがとんでもなく残酷です。四肢を落として新しく生まれ変わろうとする彼女?たちの道の先にあるのは死亡して焼却処分「トリの唐揚げ」しかありません。火に突っ込む夜の虫の如く愚かで物悲しさを感じます。
この歪なディストピアで最後まで繰り広げられる愚かしくも生々しい「生」とゴールとして救済としての「死」が表裏一体の如く読者に突きつけられるラストまでの流れはフラストレーションが溜まること間違いなしです。
読む人をかなり選びます。ただ読むといい意味でも悪い意味でも読者の心に強烈なインパクトを与えること間違いなしです。この作者様しか持ち得ない独特の世界観は声を大にしては言いにくいですが、面白いです。よければご一読を。
読み終わりました。
軽い気持ちで読み始めたらえらいことになりました。(後悔はしていません)
読後感ですか?
作中に出てくる黄緑色のボトルの薬(ダウン系)の効果を実感した気分です。
人体改造をテーマにした作品というのもあって、家畜人ヤプーという(伝説的な)SF小説を思い出しました。
あのなんともならなさもそうですね。
他人の不幸は蜜の味と言いますか、世の中には”不幸物”というジャンルがあって、結構人気なわけですよ。
・涙を流して主人公に同情できる私は優しい!
・主人公の救済を喜べる私は善良!
・私は幸せじゃないけど、この主人公に比べたら幸せ!
・こんな人生じゃなくて、あーよかった!
そんな美しい感情と醜い感情の織り混ざったカタルシスが快感になるのかもしれませんが、それは客観視できてこそなんです。
感情移入しすぎる辛いのですが、否応もなく引き込まれてしまうんですよね〜。
ネタバレになるのでこれくらいにしますが、気になった方はぜひご一読を!
一緒に沼に沈もうではありませんか(ニヤリ)