第二章 皇居占領
第二章 ① ようそこ皇居一般参観へ
「はーい、皆様。皇居一般参観へ、ようこそ!」
元気の良い声とともに、《
「これから、ツアー形式で皇居の一部をご案内いたします。自由行動は許されませんので、案内役の私にしっかりと付いてきてくださいね!」
旗につられるようにして、人々がゆっくりと行進を始めた。
ここは
「皇居はとても広大です。お
そんな宮内庁職員の声は、私語を楽しむツアー客の
めげずに声を張り上げる職員の女性を心の中で応援しつつ、儀礼服に身を包んだレイは案内役の彼女に
通常、皇居内の中央部は一般人の立入が禁止である。
しかし、このように宮内庁主催の見学会に参加すれば、ツアー形式で立入禁止区域の一部に足を運ぶことが可能だ。
ただし、民間人を数十名単位で皇居内に入れるのだから、当然に監視がつけられる。本日、レイは宮内庁の手伝いでその監視役を
監視といってもツアー客と共に皇居内を見て回るだけの仕事で、実態は案内役が
職員の説明は続く。
「皇居は、五つの区画から構成されています。一般開放されている『北の丸』と『
曜日限定で一部が開放されている『
そして皇居最大の面積を誇り、天皇陛下の御所がある『
皇居一般参観と呼ばれるこのツアーは、東御苑・
宮内庁によって定期的に開催されており、一般人が皇居内を見学できる貴重な機会として人気が高い。
「ようこそ、旧『
ツアーが東御苑から西の丸へと進んだ時、レイは横を歩いていた小学生らしき女の子に声をかけられた。
「お巡りさんも宮内庁の人なの?」
「いいえ、お嬢ちゃん」
レイは笑顔で
「私は皇宮警察本部っていう国家警察の職員で、実は宮内庁関係者でも警察官でもないんだよ」
世間一般にまったく認知されていない
次に飛んでくる質問は、レイの左腰に女の子の目線が注がれていることから容易に予想がついた。
「その日本刀、ホンモノ?」
「一応、本物だよ。正確には日本刀じゃなくて
「刀で皇居を守れるの?」
「それが絶対の使命だからね」
反射的にそう答え、少し驚いた。
今の台詞はレイが自分で考えた言葉ではなく、昔に聞いた言葉を口が自然と
そうして一人になったレイに、小さな声がかかる。
「そう、それは頼もしいわね」
体が、
ただただ目の前の光景が信じられなかった。これが夢であってほしいとさえ思う。
何故なら、レイの前に現れた人物は──。
「鳩が豆鉄砲食らったような顔をしてどうしたの、レイ? このわたしの側付き護衛官ともあろう者が、民衆の前で口をパクパクさせるものじゃないわよ」
司子だった。
身代わりのヨリではなく、正真正銘の
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