人間と怪異の境界線が曖昧にぼやけ、気づけば家族のように生きていると気づかされる不思議な物語です。
霊感の強さは亡くなった父親譲りのヒロイン女子高生・木杢サクラ。母親が依頼した賀茂オヅルと運命的な出会いを果たします。
しかし、両者の間には不思議な縁で繋がっていました。遡ること飛鳥時代――千三百年を越える時をまたぎ現世に転生したオヅルには人智を超えた呪という不思議な力がありました。
縁が縁を呼ぶ見えない繋がりと、人智では計り知れない奇しき因縁。人間の姿をした鬼。ぬばたまという黒狼という怪異。いつしか、サクラは巡礼のさなか、いつの間にかそちら側の人間になっていることに気づかされます。
そして巻き込まれていく時を超えた宿命の戦い。物語を深化させ、思いを高鳴らせ、心理的に大いに揺さぶりかけてきます。本当に大切なものとは何なのかを問いかける、機微を超えた心の変化が美しく尊いものに感じられることでしょう。
オヅルは魂を奪われた仲間を救うため、ある禁忌の術を使うのですが、それは命に相当する対価が必要とする反魂の施しでした。
誰かのためにそれを差し出せる純然たる想いが胸を打ちます。
刻を越えて、恋を知るオヅル。
彼女に対する想いの強さとそれに呼応するサクラの覚醒を感じさせる演出は秀逸です。
数奇な運命を辿る出会いで紡がれる仲間との成長と心の絆が素敵な恋愛譚、一人でも多くの方の手に届きますように。
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思い起こせば、近所の住宅地にぽつねんとたつ古墳に、遊び心で行ってしまい、写真を撮ったことがきっかけだった。
千年以上の時を越えて、霊感のある少女と、へそ曲がりな陰陽師が再会することになる。
千三百年。
気の遠くなる数字だ。
何せ、中国でようやく絹の取引がされる。いわゆるシルクロードが誕生し、
日本には武士すらいなかったのだ。
人の思いは、そんな莫大な時間を超えることができるか?
時輪先生の文体は、本当にブレない。
言葉遣いや語彙のレパートリーが多彩な上で、高い知識量を感じさせつつも、いつでも直球勝負である。
だから、レビュワーはこの先生のかく恋愛モノがいつか読んでみたかった。
それがこの先生初の長編で読めると言うものだから。
願ってみるものである。
一千年越しのボーイミーツガール。
お勧めいたします。ぜひ、ご一読を。
日本神話や古代オカルトの雰囲気と、現代の「青春」なコラボがとても綺麗でした。
主人公のサクラの前に現れたオヅルという名の少年。
彼はゼンキとゴキという二体の使い魔を連れ、霊的な能力を駆使して魔を祓うことが出来る少年。
木埜サクラ。そしてオヅル。
この二人の名前を聞けば、日本神話や古代の鬼道などの知識に触れた人ならニヤリとすること間違いなしでしょう。
ゼンキとゴキを連れていた古代の霊能力者・役小角に、天孫降臨したニニギノミコトの妻となったという伝説のあるコノハナサクヤヒメ。
この二人を連想させるサクラとオヅル。二人が出会ったところから物語は大きく動き出します。
本作では「サハスラーラ」などチャクラという東洋の霊的概念に基づく単語なども登場し、オカルト面でもかなり骨太なつくりになっているのも特徴です。そんな霊的な因縁・法則に満ちた世界の中で描かれるボーイ・ミーツ・ガールなストーリー。
現代ファンタジーな胸熱展開と、その中で描かれる二人の絆物語、更には日本式のオカルト世界。この三つが融合し大河で濃厚な世界を展開してくれるのがとても魅力的な作品です。
サクラとオヅルの前に待ち受ける運命とは? そして、二人の間にある「宿縁」など、見所満載の作品です!