備忘薬
貝塚伊吹
Case 1.頭痛(11月29日~)
この日私は、人生で初めて「本当にひどい頭痛」の一端に触れたような気がする。慢性的な頭痛、片頭痛とは無縁だと思っていた私にとって、衝撃的な体験だった。
【重要:医療免責事項】
この記録は、筆者個人の特定の時期の症状を時系列で追ったものであり、医学的な見解や治療法を示すものではありません。特に「初めての激しい頭痛」や「視野の異常」を伴う頭痛は、生命にかかわる病気が隠れている可能性があるため、自己判断は危険です。頭痛や体の不調を感じる方は、必ず医療機関にご相談ください。
※痛みレベルは10段階の主観評価(10=最悪の痛み)
~11月28日
22時30分:就寝
数日間5時間睡眠が続いており、8時間程の睡眠で調子よく動ける私にはかなり睡眠不足感があった。また、疲労がたまると歯茎がひどく腫れる体質なのだが、右智歯周辺を中心に歯周病に類似した腫れを伴っていた。
11月29日
05時10分:起床。
05時30分:コップ一杯の水を飲み、出勤する。
05時55分〜09時10分:アルバイト(コンビニ)を終える。この間、水分補給はほぼなし。
09時30分〜11時00分:帰宅。水コップ一杯とペペロンチーノで食事を済ませる。
11時00分:部活動のため車で移動を開始する。
11時30分:初めての前兆の出現
運転中、右目の中央やや右下側に点状の欠損、続いて右端の視野が欠損。判断力も急激に低下し、うまく駐車ができない。
(この時点でただちに車を止めるべき危険な状態だったが、疲れ目だろうと安易に判断してしまった。この判断は明らかに誤りだったと、今ははっきりとわかる。また、この時点ですぐに引き返して帰宅すべきだったと、強く後悔している。部活動に関わる重要な話し合いがあったため、帰る気になれなかった。)
12時00分:頭痛の発現と焦燥感
初めての頭痛が、頭部全体に若干の締め付けられるような痛み(レベル3)として発現。視野の消失は減少し、自転車を漕ぐ、歩くなどの動作はまだ可能だった。過去に低ナトリウム血症、脱水、低血糖の複合症状で搬送された経験があったため、焦燥感に駆られ、アクエリアスを500ml摂取した。
12時30分:痛みの悪化
頭痛は頭部左側へ集中し、じわじわと締め付けられるような痛み(レベル5)に悪化。視野消失はほぼ完全に無くなったものの、軽微な吐き気(レベル2)も始まりかける。
13時00分:頭痛のさらなる悪化
頭部左側の中央から前方にかけて、締め付けられる重い痛み(レベル7)となる。同時に、両目の奥にも熱を持ったズキズキとした重たい痛み(レベル5)を感じ、吐き気はレベル4へ上昇。体の操作がうまくいかないような感覚もあり、部活動を早退した。この時、アンモニア等の臭いに対してかなり気持ち悪くなっており、嗅覚過敏に類似した症状が出ていた。
13時00分〜14時20分:車内での仮眠
激しい痛みに耐えきれず、車内で仮眠をとる。晴天で日差しが強く、車内温度は汗ばむほど高かったが、それを気にする余裕はなかった。
14時20分〜15時00分:帰宅中の移動
車での移動中、締め付けられる頭痛(レベル7)と目の奥の痛み(レベル6)が継続。声を出すと嘔吐しそうなほどの吐き気(レベル7)に襲われた。幸い、この頃には認知能力の低下や視野異常はほとんど改善していた。
15時00分:嘔吐と沈静化
帰宅後、すぐに嘔吐。嘔吐後、嘔吐感はかなり減少した。同時に下痢も発症。(下痢は水分を一気に摂取したから起こった可能性があると考えている。)顔が青白いと言われる程顔色が悪かったようである。
15時00分〜20時00分:睡眠
20時00分:回復途上
起床。卵スープとお茶漬け、水を摂取する。(今思うと、ここに至るまで極端に水分が取れていなかったと自覚。)頭の左側にじんわりとした締め付ける様な痛み(レベル5)が残り、動いたり咳をしたりすると痛む。
20時00分〜:再び就寝。翌日の予定は全てキャンセルした。
11月30日(翌日)
07時30分:起床。左側中央上部あたりにわずかな頭痛(レベル3)を感じる。同時に、気分の落ち込みを自覚する。
12時00分頃:かなり回復。咳をする、急に立つ等の動作で、わずかに同様の位置に頭痛(レベル2)を感じる程度。PCやスマホ等の画面を長時間見ると辛い。
終日:1日中寝て過ごす。
20時00分:頭皮に櫛を通すと、吐くような疼く気持ち悪さを感じる。(後から調べたところ「アロディニア」に近い症状に感じた)
今回の症例から、私に起こったのは片頭痛にかなり近いものであるように思われた。この様な強い頭痛は初めてだったため、運転を強行する等、本来あり得ない行動をいくつか取っており、かなり反省している。今回は発症したのが土曜日、落ち着いたのが日曜日であった為、病院の選択肢が自然と消えていたが、今考えればさっさと病院に行くべきだった。今読み返しても、当日の判断の甘さがよくわかる。もし同じ症状が再び出た場合は、迷わず医療機関を受診するつもりでいる。しっかり寝たためか、いつの間にか歯茎の腫れも引いていた。疲労はため込みすぎず、しっかり睡眠をとる事が何より大切であると感じると、身をもって感じた。
(今回のレポートで判断した病名等は、ユビ―:医療AIパートナーを参考にしています。あくまで参考ですのであしからず。)
私、死ぬのかなあ。
きっと、そんなことはないのでしょう。でも、あのときはそう思わざるを得ませんでした。
たかが頭痛、されど人生。
もしかしたらこの不安を覚えたこの日が、
大げさだと笑える日が来るかもしれないし、
意味のある一日だったと思える日が来るかもしれない。
これは病気の話ではなく、「不安」と初めてちゃんと向き合わざるを得なかった日の話。
体が少し壊れただけなのに、
私の世界まで壊れた気がした。
備忘薬 貝塚伊吹 @siz1ma
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