生まれ変わった神の子は完全に死んだ神とともに人間を守るために生き足掻く

沖方

甦り

 むかーしむかし、あるところに一柱の神様がおりました。名前もない、力もない、弱い弱い神様でありました。神様は二柱にちゅうの神の子でした。しかし、親である二柱の神に神様は会ったことがありませんでした。


 神様は人のことが大好きでした。他の神様が人間を嫌い、滅ぼそうとしても、その神様だけは人が死なないように他の神様を止めようとしていました。


 ある日のことです。神様はふっと気が付きました。



〈他の神々は私が「人は悪くない」「人を殺さないでほしい」と言っても、誰も同意をしてくれない。それならば、いっそ、人とともに過ごし、人とともに人を守る方が良いのではないか〉



 ああ、神様がその結論に辿り着くのに何百年かかったことでしょう。ああ、しかし、神様はようやく、思い至ったのです。


 思い至れば、神様は早く動きます。それが人のためになると気付いたからです。



 神として完全に死するという選択を神様は選び取ったのです。


 神々を裏切り、人に神々を倒させ、最後に残った神として人に倒されるという選択を神様は得たのでした。





 ああ、その日は神様にとってになったことでしょう。


                                                     

                                 おしまい

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