最後に。

 「私さぁ、私が夢を見る理由、祈りの力を自分に付与してたって理由だけじゃなくて、もっと他に理由があると思うんだ。人は夢を見ない、だけど私は夢をみる。ハイドも夢を見た。夢は怖いものだけど、楽しいとも感じたの。ハイドに夢を創ってもらってね。そもそも私は、私が夢創造人である理由もまったくわからない。わからないことだらけだよ。」

 「うん。」

 「でもね、これだけは確かだと思うんだ。」 

 「…。」 

 「記憶が夢になるのだったら、この悪夢も誰かの記憶で、忘れてほしくなかったんっじゃないかって。」

 「それがランジアの考える、夢をみる理由?」

 「そう。夢からはいつか覚める。でもそれが記憶だったとしても、私にとってはただの夢だよ。」

 「君はもうきっと悪夢を見ないよ。俺が、心地良い夢を創ってあげるから。」


                    ―崖の上、任命式が終わった当日の夜―





これで、二人の物語は一旦終わり。

次回作はランジアの弟が主人公の長編です。

少し、この小説のお話も関わってくるかもしれません。

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夢創造人 深白 @ohanadaisuki-dess777

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