第2話
それから俺達は練習に入った。俺はピッチャー志望だから、軽くキャッチボールをし始めた。利き手じゃない左腕で。
「サウスポーか。うちにはあまりいないからいいよな。そう感じないか、孝文」
「そうだな、弱点を補ってくれるかもしれん。しかもの決意表明、本気なら、俺の夢に一歩近づくかもしれん」
先輩達がなにかを話していたが、それを気にせず、球をグローブに向かって、投げていた。野球部を辞めてから、サウスポーの練習をしたから、少しでも気を抜くと、どっかにボールがいきかねないから、集中して投げていた。キャッチボールの相手は同じ高校出身でキャッチャーだった颯である。
やがてキャッチボールが終わり、颯が俺に駆け寄ってくる。
「なんでサウスポーになっているんだよ。右肩を壊したのか?」
まぁもっともな疑問だな。だが俺は肩など壊していない。
「両投げになったんだよ。こっちの方がサウスポーがいないから早くベンチ入りして投げれると思ったからな」
「相変わらず土肝を抜いた発想でくるよな」
そういって呆れたような苦笑いを浮かべた。俺は野球部時代から、異端児と呼ばれていた。少しでも出塁する確率をあげるために、左打ちとバスターとバントの練習をしていた。出るためなら、手段を選ばないそう俺は言われていた。
「これだけじゃないぞ。サプライズはな」
そう言って、俺はブルペンに入ると、颯に向かってアンダースローで投げた。そのボールを捕って、颯が驚いているのを感じた。俺はそれから変化球も投げていた。今日は調子はそこそこか。
監督がこっちを凝視しながら見ていた。いいアピールにはなったか。アンダースローだけで希少種なのに、サウスポーだからな。余計にだろう。
やがて投げ終えると、颯がパタパタと駆け寄ってきた。
「お前どこまで変人なんだよ。一年半でどうやってここまできたんだよ。予想の斜め上だわ。しかも一人でここまでコントロールよく投げれるまでくるとはな」
「ひたすら投げまくって、ゆいぽんや楓に動画を撮ってもらって、フォームの修正をしたからな。変化球はネット見て、投げれるようにした」
「相変わらずだな。たしかゆいぽんも東大受かったんだよな。ファンクラブが盛り上がっていたぞ」
ゆいぽんには千葉高校にファンクラブがあった。一部は東大にも進学したらしいが。まぁあれだけ可愛ければ分からなくもない。アイドルやってるくらいだし。進学校なだけあって、しっかりと統制も取れてたし。大学でも立ち上げるんだろうな。
「そうみたいだな、それに春のテレビ番組にもでるらしいな。東大分解にな」
「あの、さんもさんの番組か、東大に入ったことが売れるチャンスを産み出してるみたいだな」
結果的にゆいぽんの志望校を変えてしまったみたいだが、よかったみたい。きっとさんもさんの東大分解で爪痕を残してくれるだろう。売れる第一歩だ。ゆいぽんは努力家でよく努力してるから、なんとしてでも売れてほしい。
「そうだな、っと監督がきたな。おはようございます」
「ああ、おはよう。たしか千葉と言ったな。今度の早稲田大学の一年生との試合で投げてもらうぞ。まぁこっちはフルメンバーで行くが」
あの早稲田とか。あの試合を思い出して、俺は心のなかでうずうずしていた。最高のピッチングを見せてやる。
「分かりました。絶対に抑えて見せます」
相手はなめてくるだろうから、その鼻をへし折ってやる。東大は諦めが悪く、学力で頂点を取ってるから、運動も努力するし、できるんだぞと思い知らせるためにもな。
「そうか、楽しみにしてるぞ。サウスポーは貴重だからな」
そう言ったあと、監督は他の選手を見に、去っていった。
「もう登板決まるとは。さすがだな。頑張って東大の星になれよ」
「ああ、やって見せる」
それから俺達は走り込みをしていた。するとマネージャが集まるところで、なぜか人だかりができていた。ちょうどきりがいいところだったので、俺達はそこに向かった。
「可愛いマネージャーでも入ってきたのかね?まぁお前にはゆいポンがいるから関係ないと思うが」
「ゆいぽんとはそいう関係じゃねーよ。あくまでアイドルの幼馴染みだ」
「そんなうかうかしてると、取られるぞ」
アイドルだからそんなことにはならないだろと言ってると、人だかりにいるところに着いた。そこの中心にいたのは笑顔を振り撒いているゆいぽんだった。なんでここにいるの?
「あ、孝文私も野球部のマネージャーになったよー」
「いやなったよってアイドルのほうはどうするんだよ」
「もちろん続けるよ。両立したいんですと言ったら、監督は野球部の注目度も上がるしいいんじゃないかと言ってくれたよ」
まぁマスコミからは間違いなく注目されるし、ファンも応援するだろう。でも厄介なオタクも近づいてくるというリスクも伴う。まぁその辺の対策は東大生を率いているだけあって考えてはいるんだろうが。
「まぁ監督がそういうならいいが」
「千葉この美女とはどいう関係なんだよ」
そう同級生が言ってきた。
「幼馴染みだよ小中高大と一緒のな」
「くそ、それなら俺に付きいる隙はないってことじゃないか」
なんで勝手に付き合うみたいなことになっているの?まぁアイドルだから自然にそいうやつが生まれないのはいいことか。いちいち断るのも面倒だろうし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます