終末論をこじらせて~超短編集~
羊羽太
第1話 夕飯どうしよう
赤い空の下、電車に揺られて身体が弾む。
僕以外に乗客はいない。
ガタンゴトン、ガタンゴトン
今日叔父が死んだ。
僕の目の前で。
両親が死んでからの育ての親だった。
いつも無口で僕のことは横目でちらりと見るほどの間柄だった。
最期の瞬間、叔父は僕にこう言った。
「なんで俺だけがこんなつらい目に……。お前が一番嫌いだった。金だけ喰いやがって。もう辞めてやる、こんな役割。もうごめんだよ」
いつもよりも力のない声だった。
足場を蹴飛ばして、縄がきれいに締め上げる。
ばたつかせる脚は犬かきのようで、必死に縄をつかむも徐々に顔が青ざめていく。
僕はリュックを下ろして支度を始めた。
衣服、水、お金、叔父さんの時計。
こんなものかとまとめると、叔父さんは血涙を流して死んでいた。
六畳一間のボロアパートを抜け出し、僕は駅へと向かった。
「叔父さん死んじゃったな」
行く当ての知らない電車は、そのまままっすぐ進んでいくようだった。
この頃はよく冷える。熱のこもったため息で、はにかんだ両手を温める。
「夕飯どうしよう」
次の駅はもうすぐだ。
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