本作のワトソン役は地元に戻ってまちづくりコンサルを営みはじめた若者、能見。ホームズ役は同じく地元で父親の探偵事務所の跡を継いだ私立探偵、汐入。この二人を軸に、地元の顔馴染みたちが絡んで謎解きをしていくマチナカ探偵物語ともいうべき作品です。
汐入の最初の印象は、名探偵にありがちな高機能社会不適合者かなと思ったのですが、頭の回転が速いリケジョだからそう思っただけで、人情にも篤い、粋なお姐さんでした。まず彼女がとても魅力的です。
物語は一話六千字くらいの短編集ですが、理系知識全開の謎解き、人間心理の盲点をついたトリック、依頼人たちの思惑のすれ違いなど、さまざまな切り口で展開され、飽きさせません。作者様の言うとおり、どこから読んでも大丈夫な設計。気になったタイトルのお話から、まずは読んでみてください。