「命の始まり」を、こんなにも愛らしく、こんなにも壮大なスケールで描ける作品があるのかと驚きました。
語り手が“卵子”という設定も面白いです。
考古学者のママと産婦人科医のパパ。
過去を掘り起こす者と、未来を迎え入れる者。
その間に育まれた小さな奇跡。
まだ世界に触れたことのない、小さな、小さな存在。
その無垢なつぶやきは澄んでいて、あたたかくて、柔らかい。
40週間の胎内の旅を、地球46億年の記憶と重ね合わせる発想は壮大であり、生命の歴史という大きなテーマが、ひとつの命の鼓動と同じリズムで語られていて神秘的です。
私はまだ物語の途中までしか読んでいませんが、とても読みやすく、科学的テーマを扱いながらも優しく包み込むような温度で命の神秘を伝えてくれる命の教科書のように感じています。
知らなかったことが多く勉強になります。
是非、ご覧ください。
おススメです!
はじめてのタイプの小説ではないでしょうか。
受精卵目線。
受精卵が細胞分裂を繰り返し
途中、いくつもの難関を越えて
この世に生まれてくるまでの物語を
世相や時事情勢を織り混ぜて
巧みな筆の力で
ぐいぐいと読ませる作品です。
出産経験のある人であれば
こうでもないでもああないと思うでしょうし
そうでない方であれば
このような経過をたどるのかと
必ず学びがあるはずです。
物語の中のお子様たちは
ミッションを抱えて生まれ出てきているようです。
出生って、生まれ出ずる、と書く。
なんと素敵な言葉でしょう。
この世に生まれてくるすべての赤子を
祝福したくなる、そんな物語です。
冒頭から、驚かされ、かつ、感動が湧いてくる。
不妊治療が取り沙汰される昨今、この物語を読めば、
どこでつまずいて妊娠に繋がらないのかが、
理解できる。
赤ん坊が生まれるまでには、女性の身体の中で、どれ程のサバイバルを
卵子と精子が生き抜かねばならないのか、
とても解りやすく描かれている。
不妊に悩む方も、このお話を読んで、勇気をもらってほしい。
『妊娠しないのは、あなたが悪いわけではない』
そう、理解できると思うから。
かけがえの無い命。
それは、未来へ向けて、光り輝く。
子供を手にした方も、
”そうか、こんなに大変な生死をかけたバトルをくぐり抜けて
自分の手の中に来てくれたのか。”
そう思って、少々イヤイヤ期が辛くても、
反抗期でケンカのような言い合いをしても、
この作品の、どれかを読んで、気を取り直して頂ければ、
最強の親になれる筈!!
命が生まれるという現象は、それ自体が奇跡です。
しかし、その奇跡は真空の中で起こるわけではありません。
広大な宇宙の片隅にある地球という星、その中の国家という枠組み、そして一つの家庭という小さな世界。命は、そうした重層的な環境の中に生れ落ちます。
生まれたばかりの命は、母と父の愛情に包まれながら育まれていきます。
けれど、その命が成長し、やがて次の命を育てる頃には、必ずしも最善とは言えない現実が立ちはだかります。
戦争は絶えず、感染症は時に世界を揺るがし、社会の仕組みや環境は命の営みに影を落とすこともあります。
命は、世界の状況と無縁ではいられません。
だからこそ私たちは問いかけられます・・・。
この命のサイクルを、より尊く、より慈しみに満ちたものにするために、何を考え、何を選び、どう生きていくべきなのか。
一つの命の誕生を見つめることで、そんな普遍的な命題が浮かび上がります。
この物語は、単なるフィクションではありません。
今この文章を読んでいるあなた自身も、かつて生まれ、今を生き、そして世界を形づくる無数の命の一つなのです。
ぜひこの作品を手に取り、感動とともに「命をつなぐ」という使命を感じてください。
心に深く響く、素晴らしい作品です。
物語は、母親である主孝子氏と孝子氏のお腹に宿った“わたし”、そして偵察魂(※詳しくは本編をご確認いただきたい)、以上三者の視点をランダムに行き来し、胎児の成長過程を見せつつ、生命の歴史を紐解きながら、現代社会の問題点にも焦点を当て、未来に警鐘を鳴らす構造となっており、自分という一個の生命体のみならず、社会を構成する他者や、気が遠くなりそうなほど昔の生命誕生の瞬間にまで思いを馳せることができる仕様となっている。
ミクロからマクロ、そして過去から未来までをこうも広範にカバーしている作品は、ここカクヨムにも数はそう多くないのではなかろうか。
“わたし”の名前が判明したとき、きっとあなたは悟ることになるだろう。
これまで読んできた物語に記されていたのは、この物語の主人公は、面識のない誰かではないのではないか、と。
“わたし”とは、我々ひとりひとりのことだったのかもしれない、と。
このお話は卵子視点の「わたし」が、自らの希少性や受精までの道程をコミカルかつ理系寄りに語りつつ、偵察魂を通じて両親となる考子と新の会話や日本社会の少子化問題に触れていく物語です。受精に至る精子側の壮絶な旅路と、使命を託して消えていく精子の言葉、そして着床後の急速な発生過程が、ユーモアと知識を織り交ぜて描かれます。卵巣から卵管を通じ、精子軍団に取り囲まれて突進され、着床、分裂していく様子も生々しく描かれなかなかにシュールです。また現在の社会問題、スポーツ大会など社会の諸様相を批評を交えながら語る様子はなかなかに含蓄があります。みなさんもいかが?