王女様は行く‼~前世の記憶を思い出したので、世界一の魔法使いになるための10の試練に挑みます~
ライフリー
第1話 奇妙なマジックブック
あるところに、大きな大きな帝国がありました。
その帝国は、立派なあごひげを携えた王様がおさめていました。
その王様には五人の娘と、一人の息子がいました。
その、五人の娘の中の三女である、王女ライ。
ライは、好奇心旺盛&礼儀作法が大嫌いな少女で、始終家庭教師を困らせておりました。
どこで覚えたのか、と問いたくなる、男勝りの口調。
乱暴で、粗すぎる礼儀作法。
ライは、、、王女様には、向いていない子供でした。
でも、そんな、王女としてはダメダメでも、ライには責任感がありました。
つまり、自分が贅沢をしている分、王族としてのふるまいをしなければならない、ということをライは自覚していたのです。
だから、ライは、公の場では、とてもおとなしく振舞っていました。
今のところ、ライの自由奔放な性格をわかっているのは、家庭教師と、王様、王妃様ぐらいのものでした。
だから、王様は、ライのことを怒るにもおこれず、扱いに困っていたのです。
そんなライが十歳になったある日のことです。
「お父様、庭園の小屋で遊んできてもいいか?」
庭園の小屋とは、庭師が休憩するため、また道具を置くための小屋のことです。
庭師は、かまなどを用いて、草花を切り取ったりするので、そのかまが置いてある小屋は、十歳になりたてのライには危ないところでした。
王様は、何度目かわからないため息をついて、言いました。
幼子に言い聞かせている気分なんだろうな。
「ライ、小屋には、危険な道具が置いてあるんだよ。もし、間違えて、大けがでもしたら、どうするんだ?」
ライは、むっと唇を尖らせます。
「大丈夫だ。私は、もう、十歳なのだから!」
いや、だから、そういうことではなくて…。
王様は、ライのことを困った目で見つめています。
隣にいる王妃様は、まだ幼い王子の世話にかかりっきりで、助けを呼べそうもありません。
かわいそ、王様。
「に、庭師に迷惑だとは思わないかい?」
必死に、言葉を紡ぐ王様に、ライは無邪気な一言。
「思わん!」
おいおい。思いやりという言葉を習わなかったのか、この子は。
もう、これではきりがない。
王様は、騎士を呼びました。
そして、忠実で、力がある騎士二人に、王様は、ライをライの自室に連れていくよう命じます。
ライは、「おい、武力行使とは卑怯だぞ!ケチ!くそ爺!離せ!」
と、一国の王様に行ってはいけないような言葉を放ちながら、自分の部屋へと消えていきました。
王様は、その背中を見つめて、安堵の息を漏らします。
だいぶ疲れたっぽいね。
さて、連れ去られたライは、というと。
「庭園の小屋に行けなくなっちゃったのは、仕方ない。王城探検でもするか。」
この子、反省も何にも、していない。
ライは、自室から、そうっと抜けだし、王城の中を回ります。
いつもとは違うルートを回るのはもちろん、知り合いに見つからないように、隠れ隠れ進むのも楽しいのです。
そんなライは、廊下に、怪しい小部屋を見つけました。
「何だ、これは…。」
ライは、自分の中にある興味がむくむく、と膨れ上がっていくのを感じました。
そして、罪悪感も何にも感じずに、ずかずかとその部屋の中に入っていきます。
おいおい、どんな教育されてんだよ。
と、ライは何かを見つけたようです。
そうして、ライが引っ張りだしてきたのは、本。
少々、古びたその本を、ライは床に広げました。
そして、ページをめくります。
「 世界一の魔法使いになる方法~世界一の魔力を授かるために~」
そんな見出しが、目に飛び込んできました。
ライは、世界一の魔法使い…?と、目を輝かせています。
さらに、ページをめくると。
十個の項目が書いてあって、これを達成すると、世界一の魔力を授かる、と記載されていました。
それ、インチキだと思うけど。
でも、ライはまだこども。騙されやすくて当たり前でした。
「私、世界一の魔法使いになる!」
と、はっきり宣言しちゃいます。
と、その瞬間ライは、頭痛がしました。
「?」
ライは困惑し、そして、その瞬間、記憶がライの頭を駆け巡り…。
「…!?」
気づいたら、俺は、ライの体に入っていた。
え…。
何で…?
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