開戦前夜
都桜ゆう
第1話
基本情報。
キスの意味。
髪・髪の毛にキスする意味 = 思慕
ほっぺ、頬にキスする意味 = 親愛・厚情
唇にキスする意味 = 愛情
手の甲にキスする意味 = 敬愛
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騎士。場内、庭。稽古後。
夜の静寂。微かな虫の声。その中に、草を踏む音。騎士、音の方を見る。
「おや? 何をしているんです? お姫様。相変わらずお転婆ですね(苦笑)。
場外に出るのは、おやめ下さいませんか」
バレて、気まずい女性。
「(笑)私ですか?私は稽古の帰りですよ。
……眠れないんですか? なら、お庭でお話しましょう。お付き合いいたしますよ」
庭のテラス。女性はベンチに腰掛け、騎士は隣に立っているので、声は上からする感じで。
「どうしました? 眠れない理由は何ですか?」
「……ああ。次の戦争の事、お父様に聞いて……(溜息)。
そうですね。次の戦いは、少し長引くかもしれません。それなりの、大国ですから(微笑)。
ええ。負傷者の人数も、それなりに……。勿論、死亡者も……」
「戦わないで。と、言われましてもね(苦笑)。この国の為に、必要な戦いなんですよ。しないわけにはいかない。
次期女王陛下なんですから、そんな事言わないで下さい。貴女は、国民を守る立場におなりになるんです。貴女の手の内にある者は、存分にお使いください。そして、国を大切に」
腕を掴まれる。
「え? ……ああ、いつもの距離がいい。と、言われましても(苦笑)。
誰もいないから? (苦笑)仕方のない人ですね」
隣に腰掛け、女性の顔を見る。ベビーシッター。若しくは、兄的感覚で。
「で、なんで行って欲しくないなんて、我儘を?
……え? 俺?
(苦笑)行って欲しくないと言われましてもね。俺はこの国の為の騎士。戦う人なんだよ。
いくら君が産まれた時から警護をしていたといっても、特別扱いされるわけないだろ?
……俺の替わりは、いくらでもいる。死ねばそいつに、役目が移るだけだよ」
涙を浮かべる女性。
今までより、少し声を甘目に。精神的距離も近付ける。兄から恋人へ。
「そんな、泣きそうな顔しないで。必ず戻る。約束するから。
俺の腕は知ってるだろ?
(笑)大丈夫。簡単には死なないって。
小さい頃した約束、忘れてないから。……ずっと一緒。なんだろ?」
「泣きながら、どっか、行っちゃヤダー。って、メイド困らせてたもんな。
(笑)むくれないの。君の我が儘は、いつも周りを巻き込むから。
(苦笑)俺も巻き込まれたし?
……普通、この立場で、君の側にはいられないんだ。わかるだろ? 王族の人間なら」
「無茶苦茶やって周りを巻き込むのは、そろそろやめた方が良いんじゃない? ……次期、女王陛下」
「そんな言い方は止めろって言われても(苦笑)……。本当の事だろ?」
静かに泣く女性。少し真剣な表情の男性。
「君の我が儘でずっと一緒にいて、それが当たり前になって……。
…好きになって」
「うん。好きだよ。
多分、君と同じくらい。
すごい大切」
髪、頬にキス。その後、ためらうように、唇へキス。
「大好き。愛してる。
出来る事なら、君の隣にずっと居たい。家族を作りたい。
でも、君には国を守る義務がある」
手の甲にキス。
「隣に居られなくなる日が、絶対にやってくるんだ。
わかってる。
たからせめて、未来の君の家族の側で。
君ごと、家族を守れる男になりたい。
守らせて。君の人生を」
女性の涙を拭う。
「そして、いつか。さ。
生き抜いて天命を全うしたら、生まれ変わるんだ。
また産まれてきた時、今度はきっと家族になろう」
手を握る。
「今回も必ず帰ってくる。
守るって決めたから。
だから、君はここで待っていて。
帰ってきたら、極上の笑顔で迎えて欲しい」
「……うん。約束。
またこうやって、秘密のお喋りしようね」
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(C),2019 sakura.
開戦前夜 都桜ゆう @yuu-sakura
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