柴犬と巡る並行世界の日本・ゾンビアポカリプスを添えて
@MoreTabasco
プロローグ
バチパチと弾ける音に、不意に目が覚めた。
アウトドアチェアでいつの間にやら
未だ世界は暗く、目の前の
「クゥーン」
鳴き声に目を向ければ、隣に伏せていた柴犬がこちらを見て鼻を鳴らしていた。
「ちょっとうたた寝してたみたいだ、おいでサクラ」
おもむろに立ち上がり近寄ってきたサクラを、適度に撫で回す。
きちんとお座りをして尻尾を振る
「ふぅ……」
サクラもそのまま伏せてくつろいでいる。微妙に冷めてしまったコーヒーを飲みつつカップを戻す。
おもむろに膝の上にある
マガジンを抜き弾数の確認を行い、セーフティを外しチャージングハンドルを少し引き、
それからドットサイトの確認をして構える。
身体が
いつも通りちゃんと動けることに安堵し、身体を椅子に預ける。
何故、僕が日本では到底持つことの出来ない代物を持っているのかにはキチンと理由がある。
現在名は
前々世はどこにでもいるオタクな大学生、サブカルもゲームも大好きで、ジャンルはポストなアポカリプス物を好んでプレイしていたし、映画もそういった物を多く観ている。
なんの因果か死んだら(死因は記憶にない)、1番長くやっていたゾンビゲーの自キャラへと姿が変わって立っていた。
転生というよりその場に作成されたという感じである、なので転生者? とハテナが着いていた。
ただ唯一、朗報であったのはMOD検証用のセーブデータだったので、デバッグモードありの
悲報はゲーム世界ではなく並行世界的なところに転生してしまったこと、もうゾンビは発生していてパニック状態であったこと、そして状況を全然理解出来なかった僕の初動の遅さであろう。
ゾンビに喰われる人々、残った物資を奪い合い争う者たち、好き勝手する
僕自身が実際に悲鳴を死の絶叫を聞き、様々な暴力と胸糞を見たし、食料を分ければ寝込みを襲われ、武器を渡せば裏切り、助けた人々が他の集団や暴徒達に蹂躙され滅ぶさまを見せられると挙げればキリがない程最悪だった。
そもそも一般の日本人が戦うことに慣れてるわけないし、人を攻撃することも直ぐに出来ない。
そのせいでチートも把握しきれずに何回も死にかけたし、今思えばもっと上手くやれただろうにと後悔することもある。
ポスアカ物を
慣れてきて結構色々チートを使ってがんばってみたけれど、結局人の心は移ろいやすく脆い、人々は依存や責任転嫁に怠惰に堕落、最期には全責任が僕に来る、そして僕が悪いということなる。
やってられない、そうして諦めた。
良い人もすぐに殺されるか、少数で危険を覚悟で
ゲームやモニターというフィルターのない世界は、残酷で無慈悲で救いのない絶望するには十分な場所だった……。
それでも備わったチートはチート、装備も物資も食料も娯楽も、自分だけならすべて世は事もなし。
心は澱み切っていたが死ぬ理由もないと、生きるだけなら問題はなかった。
ただ何もかも見ないで先延ばしにしているのは分かっていたけれど……。
生に飽きていた僕はチートやらなんやらを切っていて、サクラと仲良くあの世行き……かと思えばまた転生……。
そのまま全部
「これだもんなぁ……」
全世界で、日本で、ゾンビパニック!
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